生物(いきもの)のすがた・かたちや習性にあわせて、オーダーメイドで設計された「人工のすみか」を設けた水槽で、個性豊かな小さな水棲生物6種を展示する企画展「カタチとくらし」が、京都水族館にて2021年10月31日(日)まで開催されています。
「カタチとくらし」は、2020年1月末から2月末、6月中旬から7月中旬にかけて、東京のすみだ水族館で開催され、好評を博した企画展示です[*]。すみだ水族館と同じくオリックス水族館株式会社が運営する京都水族館に、期間限定で”お引越し”中です。
*COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止による臨時休館前の予定会期は2020年1月31日(金)~4月27日(月)/ 後援:墨田区教育委員会
企画展「カタチとくらし」の見どころは、その独創的な水槽のデザインです。デザイナー・アートディレクターの藤井北斗氏(hokkyok代表)が展示デザインを手がけています。
生物のかたちや色、模様は、外敵や天敵から身を守るために、その棲み処(すみか)や習性と深い関係性があります(京都水族館プレスリリースより)。
本展では、それらを踏まえ、すみだ水族館の企画・監修のもと、展示生物6種それぞれの特徴をわかりやすく観察できる「人工のすみか」を設計しました。
水槽の中に設置する構造物と、三角屋根の家を模した展示台を藤井北斗氏がデザイン。小さいながらも個性豊かな6種を、めいめい「●●の家」と名付けた水槽に入れ、展示しました。
組み合わせは、以下の通りです(すみだ水族館、京都水族館 共通)。
「あなあなの家」×ナベカ
「ぐるぐるの家」×ビッグベリーシーホース
「しましまの家」×ミスジリュウキュウスズメダイ
「だんだんの家」×スザクサラサエビ
「とげとげの家」×ヘコアユ
「にょきにょきの家」×クダゴンベ
海の浅瀬などで暮らすナベカは、フジツボやオオヘビガイの貝殻などを巣穴にする習性があり、小さな孔(穴)に対してからだを後ろ向きのままで収まります。ナベカのそのような習性や特徴をわかりやすく見られるようデザインしたのが「あなあなの家」です。
丘のようなデザインは、危険が迫るとすぐに孔に入れるよう、腹の部分を接地させながら泳ぐナベカたちが移動しやすい設計となっています。
また、ナベカは細長い体にぴったりとフィットする孔を好むため、大小さまざまな大きさの孔を用意しているとのこと。
2020年にすみだ水族館で開催された企画展「カタチとくらし」は、空間デザインの新しい可能性を拓いたとして専門家からも高く評価され、「日本空間デザイン賞2020」の金賞を受賞(エキシビジョン、プロモーション空間部門、金賞受賞はアワード全体で計8点)、さらに「第54回日本サインデザイン賞」でも金賞4点の1つに選出されています。
デザイン:hokkyok / 藤井北斗
http://hokkyok.com/20_katachi/
日本空間デザイン賞2020
https://kukan.design/award_year/2020/
第54回日本サインデザイン賞
https://www.sign.or.jp/about_sda/business/sda-award
大きな水槽の中では気づきにくい、小さな生物たちの「カタチ(姿)」と「くらし(棲み処)」の関係性をデザインとして表現した、注目の展覧会です。(en)
会期:2021年7月31日(土)~10月31日(日)
会場:京都水族館 2階 交流プラザ
所在地:京都府京都市下京区観喜寺町35-1(Google Map)
営業時間:日により異なるため、公式Webサイト>営業時間年間カレンダーを参照
入館料:大人 2,200円、高校生 1,700円、中・小学生 1,100円、幼児(3歳以上)700円
京都水族館公式Webサイト
https://www.kyoto-aquarium.com/
本稿の画像:水槽・展示会場 撮影:見学友宙(京都水族館プレスリリース)