建築構造接合に適用可能な構造用接着シート「ATLAS™」をセメダインが開発、概要が2月4日に発表されました。
工法開発に関しては、清水建設株式会社との共同で行われ、同社も同日にプレスリリースを発表しています。
構造用接着シート「ATLAS™」は、2種類の液剤とスポンジ状の樹脂シートをパッケージ化したもので、建築の梁や鉄骨柱などの取り合い部分をボルト・ビスで接合する際の使用を想定して開発されました。
あらかじめ接合部分に同製品を挟み込むことで、面接合による大幅な耐力向上が図れるとのこと。
使用時には、パッケージ上から圧力を加えて液剤を樹脂シートに含浸させた後、パッケージからシートを取り出し、所定の接合場所に配置します。続いて、天井下地固定用金物をシート上に設置し、接着剤が硬化するのを待つだけで、下地材の設置作業の準備が整います。
接着剤が実用強度を発現するまでの時間は約6時間で、シートの配置後、1時間程度まで位置の調整が可能です。
施工時の使いやすさを考慮し、新たに開発した構造用接着剤を特殊樹脂シートに含浸させ、2つの成分から成る接着剤を1つのパックの中に収納することを実現。これにより、接着剤の計量が不要となるほか、パックのまま混合することができるため、現場で手が汚れることなく作業が可能です。接着剤の混合状態は、透明のフィルムを通して確認できるため、混合不良なども回避できます。
開発にあたり、柔軟で復元性の高い特殊スポンジを特殊樹脂シートに採用したことで、複雑な形状の金物や建材の不陸に対して、現場での対応が可能となっています。経験の少ない作業員でも簡単に作業ができる施工性の高さに加え、部材表面の不陸を接着シートのスポンジが吸収するため、部材の状況を問わず、接着強度を確保できます。
清水建設では、2021年9月に同社の技術研究所本館の天井改修工事の一部に、この構造用接着シートを採用。既存鉄骨梁の下フランジの上面に取り付けた金物を介して、天井下地を建物躯体に固定する天井改修工法を採用。鉄骨梁と金物の接合に、構造用接着シート「ATLAS™」を使用しました。
この実証の結果、天井下地の設置工程の簡素化が図れ、作業に必要な人工数を従来工法の半分に抑制できたとのこと。また、作業時に粉じんや騒音も発生せず、改修場所がオフィスなどの場合でも、稼働しながらの工事が見込めるとのこと。火気も不要となるため、作業員の労働環境の改善にもつながっています。
「ATLAS™」を開発したセメダインでは、清水建設が実証した前述の天井改修工事や、耐震補強工事など、複雑な形状の金物取付や、新築現場での大型設備の固定など、幅広い施工シーンでの適用を想定しています。(en)
セメダインプレスリリース
https://www.cemedine.co.jp/company/news/000678.html
清水建設プレスリリース(施工中の写真あり)
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2022/2021065.html