CULTURE

進行中の「芝浦プロジェクト」

槇文彦がツインタワーを設計、上層階のホテルはフェアモントが日本初上陸

CULTURE2022.05.24

東京・芝浦の湾岸エリアにて、野村不動産と東日本旅客鉄道が共同で推進している「芝浦プロジェクト(旧仮称:芝浦一丁目計画)」の計画詳細が発表されました。

本プロジェクトは、1984年竣工の浜松町ビルディング(東芝ビルディング)をツインタワーに建て替え、東日本旅客鉄道が保有するカートレイン乗降場跡地と一体となった大規模複合開発で、国家戦略特別区域計画に認定されている特定事業です。
タワーの設計者として、建築家の槇文彦氏を迎え、東京湾岸部の新たなシンボルとして、国際ビジネス・観光拠点を創出する計画概要は、2017年8月に発表されています。

芝浦プロジェクト

「芝浦プロジェクト」(旧仮称:芝浦一丁目
計画)イメージパース 計画概要発表プレスリリースより(2017年8月15日)

槇文彦氏プロフィール
1928年東京生まれ。東京大学、ハーバード大学に学び、教鞭も両校で執る。1965年槇総合計画事務所設立、同事務所代表取締役を経て、現在デザイン・アドバイザー(同社代表取締役は亀本ゲーリー)。
国内の代表作に、ヒルサイドテラス、スパイラル、幕張メッセ、東京体育館、風の丘葬斎場など。国外では、MITメディア研究所、4ワールド・トレード・センター、シンガポール・メディアコープキャンパス(国営放送局)などがある。
主な受賞に、日本建築学会賞、朝日賞、毎日芸術賞、恩賜賞・日本芸術院賞、高松宮殿下記念世界文化賞、プリツカー賞、プリンスオヴウェールズ都市デザイン賞、UIAおよびAIAゴールドメダル受賞などがある。
主な著書に『見え隠れする都市』(共著、鹿島出版会)、『記憶の形象』(筑摩書房)、『漂うモダニズム』(左右社)、『Nurturing Dreams』(MITプレス)などがある。

槇 文彦

槇文彦氏コメント
「芝浦運河、日の出桟橋を介して東京湾を一望するこの敷地に建設される2棟の超高層は、東京のどこにもない壮大な景観を享受し得るに違いない。我々はこの場所が浜松町駅から海や田町方面に至る交通ネットワークの1つの拠点となり、時代とともに緑豊かな環境に包まれ、人と自然が共存しダイナミックに成長していく場になるよう心掛けてきた。
また、さまざまな社会変化に伴って、建物の使われ方は多様に変遷していくが、ここに築きあげる環境は、時を超えて安定した心象風景をかたちづくっていく存在となるように、芝浦運河側も、素晴らしいポテンシャルを秘めた東京湾の自然の恵みを享受できるよう将来に渡り更に進化し続けることを願う。
ここを利用する人、訪れる人々が一度この場所にきたら、一生忘れることのできない、新しい祝祭性の実現を目指すことを約束したい。」

芝浦プロジェクト

海側の施設〈Hi-NODE〉は、東京・日の出埠頭に2019年8月にオープンした舟運施設

「芝浦プロジェクト」の区域面積は、約4.7ヘクタール(ha)。東京ドームとほぼ同じ広さの計画地に、東京ベイエリアの新たなシンボルとなるツインタワーが建設されます。
S棟は2021年10月に着工、N棟は2027年度着工予定です。タワーの高さはともに約235m、合計で約55万㎡の延床面積に、オフィス・ホテル・商業施設・共同住宅などが入ります。
なお、野村不動産グループは、2025年2月竣工予定のS棟に、本社を移転することを5月23日に発表しています。

芝浦プロジェクト

芝浦プロジェクト

「芝浦プロジェクト」イメージパース

同日に野村不動産と東日本旅客鉄道が発表したプロジェクトの続報では、都心の利便性と、眼前に広がる空と海を有する芝浦エリアならではの立地を活かして、空と海、世界へひらかれたこの街で、新しい人と社会の未来をつくりだすことを目指したコンセプト「TOKYO WORKation(トウキョウ ワーケーション)」と、イメージビジュアルなどが公表されました。

芝浦プロジェクト「TOKYO WORKation」

また、S棟上層階には、欧州における最大手のホテルグループの1つ、アコー(本社:フランス)が手掛けるラグジュアリーホテルブランド「フェアモント」が入ることが発表されました。
同ブランドとしてこれが日本初進出となる〈フェアモント東京〉は、スイートを含む全219室のゲストルーム、3つのレストランとバー、スパ、フィットネスセンター、プール、バンケット、カンファレンス、チャペルが付帯する予定。

芝浦プロジェクト

〈フェアモント東京〉テラスからのパノラマビュー(イメージ)

1907年の創業以来、世界に80を超えるホテルを展開するフェアモントとして、また、エリアのコンセプトである「TOKYO WORKation」の一角を担う宿泊施設として、最上級のパーソナルなサービスとラグジュアリーな体験を提供するとのこと。
〈フェアモント東京〉のインテリアデザインは、世界各国で数多くのラグジュアリーホテルを手掛けている、BAR Studio(本社:オーストラリア・メルボルン)が担当します。

すでに建設が始まっている同プロジェクトでは、「芝浦サステナブルアクション」を掲げ、自社施設などでの創電による再生可能エネルギーの導入や、街区全体でCO₂排出量を実質ゼロにすることを目指して計画され、また、東京大学先端科学技術研究センターと、カーボンニュートラル技術の普及促進を目指した、産学官連携拠点の整備に関する連携も始まっているとのこと。
産業、官公庁、学校と連携しながら、誕生する新街区がまちとして成長をつづけるための各種取り組みが進められます。

芝浦プロジェクト

「芝浦プロジェクト」

事業主体:野村不動産、東日本旅客鉄道
設計:槇総合計画事務所、清水建設、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッド、日建設計
計画地:東京都港区芝浦1丁目1-1 他
施工
S棟:清水建設
N棟:未定
区域面積:約47,000m²
延床面積:約550,000m²
主用途:オフィス・商業・ホテル・共同住宅・駐車場 他
階数 / 高さ
S棟:地上43階+地下3階 / 約235m
N棟:地上45階+地下3階 / 約235m
着工 / 竣工(予定):
S棟:2021年10月着工、2025年2月竣工
N棟:2027年度着工、2030年度竣工

プロジェクトの経緯・詳細 / 野村不動産プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000414.000025694.html

芝浦プロジェクトWEBサイト
https://shibauraproject.com/

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