「TECTURE」に参加しているタイルメーカーに取材し、タイルの最先端情報をまとめました。
タイルはどこまで進化しているのか? どのようなトレンドがあるのか? タイルの「最先端」を3回に分けて紹介していきます。
第1回はさまざまな素材を、本物そっくりに再現するスーパーリアルなタイルについて。
第1回 スーパーリアルなタイル(9月4日掲載)
第2回 大判タイル(9月11日更新予定)
第3回 サステナブルなタイル(9月19日更新予定)
タイルに色柄を施すことを「加飾」といいますが、近年、デジタル制御されたプリント技術の進化により、特定の素材に限りなく近い表情をもたせる加飾の技法が主流となり、タイルメーカー各社から“スーパーリアル”なタイルが数多く発売されています。
家庭にあるようなインクジェットプリンターが紙に印刷するように、タイルは、成型されたタイル素地にインク(釉薬)を吹き付け、焼成することで、さまざまな模様を表現することができます。写真に撮ったりスキャンできるような”イメージ”であれば、タイル素地に印刷できるのはもちろん、デジタル制御で1枚1枚模様を変えて印刷することもできます。
さらには、見た目だけでなく、手触りもリアルなタイルも次々と世に出てきています。この背景には、凹凸に合わせて色をのせたり、光沢を部分的にのせたりできるなど、細かな印刷を施してもノズルが詰まらない仕組みや、釉薬の研究など、新しい技術が詰まった印刷機の開発があり、さらにはそれらを美しく焼き上げる大型窯の開発などによるものです。
近年、解像度が格段に上がった印刷技術によって、産出地ごとに異なる自然な色や模様まで再現した大理石調のタイルが登場しています。色味は白系、茶系、グリーン系、黒系など幅広く対応し、白や淡黄などの流れるような縞柄や斑紋なども繊細に表現することができます
大理石は高額であり、またその希少性ゆえに産出が停止されることもあります。一方で、大理石調のタイルは、大理石よりも軽く、また扱いやすいため、施工性やコスト面でもメリットがあり、幅広い用途の空間に取り入れやすいと言えます。
メーカーイチオシ!大理石調タイル
- NCT-101/1200X600MAT(Danto Tile)
- 169060SANPE660RM(DINAONE)
- DTL-600/MBT-1(LIXIL)
- MEM2(マラッツィ・ジャパン)
- IN-66(ラミナムジャパン)
*アルファベット・五十音順、以下同様
粘板岩のスレートを模したタイルは、岩肌のような浅い凹凸まで表現されています。ほかにも産出地ごとに異なる花崗岩やテラゾーの柾目、斑点、色調を表現したタイルや、表面から小口まで同様のテクスチュアをもたせ、まさに本物の石材のように使用できるタイルもあります。
セラミックタイルは酸やアルカリにも強いため、石材を使いづらい清掃頻度の高い場所などにも取り入れやすく、人気が高まっています。
メーカーイチオシ!石材調タイル
- EVS-102/1200×600(Danto Tile)
- 1060229EMATITE60X60(DINAONE)
- DTL-600/BRA-22(LIXIL)
- MZSX (マラッツィ・ジャパン)
- IN-11(ラミナムジャパン)
金属の特有の鈍色や艶感を表現したものから、酸化や風化の様子を表現できるメタル調タイル。ホテルや、集合住宅、店舗などに採用事例が増えています。錆の風合いを施工当初から出せるだけでなく、それ以上錆が進行しないため竣工時の状態を保つことができ、意匠性と耐久性を維持しながら環境変化の激しい屋外でも使用可能です。
メーカーイチオシ!メタル調タイル
- OXD‐100/900(Danto Tile)
- DTL-600N/MNE-3(LIXIL)
- M8LV(マラッツィ・ジャパン)
- OX-6(ラミナムジャパン)
養生不要でコンクリートやモルタルの湿式仕上げを表現できるタイル。施工性だけでなく、色ムラや乾いたセメントの質感、セパ穴(Pコン穴)のドットまで細かく再現されたものものもあり、さまざまな仕上げを選択できることから、デザイン性にも優れています。部屋の一部を打放し風にすることも、タイルであれば柔軟に施工でき、空間デザインの幅が広がります。
メーカーイチオシ!コンクリート・モルタル調タイル
- DOT-201/1200×600(Danto Tile)
- PLAINCINDERSOFTR75X75(DINAONE)
- DTL-600/ICI-2(LIXIL)
- M9SW(マラッツィ・ジャパン)
浮造りしたような木目の凹凸や、ステイン塗装されたような木目から、木そのものに見える淡い無着色系の木目まで、さまざまな「仕上げ」を表現している木目調タイル。
ヴィンテージ材の味わいをもつものや、無塗装の無垢材のように艶感を消したものなど各社の技術が詰まっています。タイルの形状からも本物の板材に見えるものが多く、室内床とデッキで同じタイルを使用することで、一体感をもたせることもできます。
屋外や、清掃頻度が高く、耐久性が求められる場所で木材や古材を取り入れたい場合に採用が増えています。
メーカーイチオシ!木目調タイル
- NTM-101/1200×200(Danto Tile)
- J89971TMLSAVECRURET(DINAONE)
- DTL-1017/BTW-2(LIXIL)
- M9EA(マラッツィ・ジャパン)
- LV-3(ラミナムジャパン)
このようにスーパーリアルなタイルは部屋の壁や床、外部まで意匠を統一することもでき、大理石など限りある資源の代わりとなる意匠性ももっています。また木材や石など天然の建材が使いづらい個所にも適した耐久性、施工性、清掃性に優れ、吸水率が低いため汚れにくい素材です。
薄さや強度など実用面でも進化しており、新築はもちろんリノベーションの現場でも多く採用されているスーパーリアルなタイルに注目が集まっています。
そんなスーパーリアルなタイルを「TECTURE」でサンプル請求して、ぜひお手に取ってご覧ください!
トップ画像 撮影:八木元春