前回は、フローリングの中身とその種類について紹介していきました。今回は、フローリングを選んだその後、フローリングの貼り方のデザインについてご紹介していきます。貼り方ひとつで空間の印象がぐっと変わりますので、じっくりと検討していきたいですね。
第1回 身近な建材の1つ、フローリング選びの基礎知識(10月10日掲載)
第2回 貼り方ひとつで空間の印象が変わる!フローリングのデザイン(10月23日掲載)
フローリングは、製品ごとに施工できる工法が異なる場合があります。ここでは主に、住居で用いられる工法について紹介します。新築だけでなくリノベーションにおいても、既存の床下構造によって対応が変わります。戸建て(木造)とマンション(コンクリート)によって異なる。
戸建て(木造)の場合:一般的に「根太貼り工法」と「捨て貼り工法」の2つがあります。根太貼り工法は、根太上にフローリングを直接施工する工法です。古くからある床構造ですが、重い家具などが根太と根太の間にかかった場合、床材がたわみやすく床鳴りも発生しやすいという弱点がありました。捨て貼り工法は、根太や大引き(根太を使わない場合「根太レス工法」とも呼ばれています)の上に下地合板を張り、その上にフローリングを施工する工法です。床の剛性を高めることができるので、現在の木造住宅では主流となっています。
マンション(鉄筋コンクリート造)の場合:一般的に「直床工法」と「二重床工法」の2つがあります。直床は、コンクリートのスラブの上に、直接フローリングを張る工法です。施工の工程をいくつか省くためコストカットが可能です。 一方、配管を後から自由に動かせないため、大規模なリノベーションでは制約となります。二重床は、コンクリートスラブの上に防振アジャスターやパーティクルボードなどで二重床の下地を組み、その上にフローリング材を張る工法です。湿気や冷気から距離を保ち、床下に配管を回すことができます。ただ床下に空間を取るため、H=50mmほど天井高が減ってしまいます。
マンションなどの集合住宅において、遮音性は真っ先に検討しなければならならないでしょう。「直床工法」と「二重床工法」の遮音性は一長一短で、それぞれ得意な音があります。使用できるフローリングの遮音性能を規約で定めているマンションも多いので要注意です。
床から伝わる音には、軽量床衝撃音と重量床衝撃音があります。軽量床衝撃音はスプーンなど軽い物を落としたときなどの音、重量床衝撃音は走ったり飛び跳ねたりしたときなどの音です。二重床では、軽量床衝撃音が伝わりにくくなります。直床では、重量床衝撃音が伝わりにくくなります。どちらの工法も床材や下地材、施工の工夫で弱点となる音の伝達を抑えることが可能です。
また踏み心地においては、直床では遮音性を高めるため、フローリングの下にクッション材を施工することが多いです。そのため、柔らかい踏み心地になる場合もあり、人によっては「歩くとフワッとする」感覚を苦手と感じてしまうこともあります。また遮音フローリングのバリエーションが極めて少なく、意匠の幅が狭くなるというデメリットもあります。
近年のDIYブームにも後押しされ、施工が容易なフローリングがラインナップに上がるようになってきました。「直貼り用フローリング」と呼ばれる裏面にクッション材が貼られているタイプは、釘を打つ必要がなく、ボンドなどの接着剤だけで貼ることが可能です。さらに、接着剤すら使わない、原状回復が可能なフローリングも登場してきています。
フローリングは貼り方の違いでも、空間の印象をがらりと変えることができます。単純な向きだけでも、居室内の長手方向に沿って張っていくことで、奥行き効果で空間が広く見える作用があります。また、張り方のパターンも豊富です。あまり見かけないデザインもありますが、参考までに代表的なものをいくつか紹介します。
住居で見かけるのは「定尺貼り」や「乱尺貼り」、「斜め貼り」などでしょうか。「パーケット」は学校や図書館などで比較的よく使われていたパターンで、どこか懐かしさを感じる人もいるかと思います。「パーケット」や「ヘリンボーン」などの幾何学的な貼り方はオーダーメイドの場合は価格コストが高くなりますが、そういした貼り方を前提とした既製品も販売されおり、比較的リーズナブルに仕上げることもできます。
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フローリングの木幅は、空間の広さと施工性に合わせて選ぶのが合理的です。一方で流行りも緩やかにあり、近年は広い板幅が好まれる傾向にあります。幅広と言われていた120mm幅はもはやスタンダードになり、より広い板幅を扱うメーカーが増えてきました。
ただし、天然木を使うフローリングの多くでは1本の丸太から切り出して加工しているため、幅が広い方が希少性が高く、価格も高くなる傾向があります。また、木幅が広いほど膨張収縮の比率が高くなるので、取り扱いにも注意が必要です。
同じ面積でも木幅によって板の枚数が変わり、木目の見え方も変わります。幅広のフローリングは空間にゆったりとした印象を与えると言われていますが、小さな部屋では返って圧迫感を与えてしまう可能性があります。人によって感じ方は異なるので、さまざまな幅で比較してみましょう。
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施工事例をたくさん見よう!
フローリングはなるべくたくさんの事例を見て、イメージを固めるのがおすすめです。フローリング1枚だけを見て決めるのはNG。板1枚で見た時の印象と、部屋に敷き詰めた時の印象は異なるからです。床は部屋の顔、といっても過言ではありません。理想をリアルにイメージできるようになれば、満足のいく空間が完成するはずです。
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