1716年創業の奈良の老舗で現在は工芸をベースにした生活雑貨の製造小売(SPA)などを営む中川政七商店と、東京・ロンドン・ニューヨークに拠点を構え、世界を舞台に活躍するデザイン・イノベーション・ファーム、Takramが、新会社PARADE(パレード)を2021年1月に設立。2021年10月1日より、ビジョンを起点としたブランディング「ビジョナリーブランディング」に特化した、コンサルティングサービスの提供を開始することをプレスリリースで発表しました(2021年9月30日)。
PARADEは「志あるブランドを世の中に届ける」をビジョンに掲げ、ブランドのビジョンと、顧客(コンシューマー)の信頼をつなぎ合わせるビジョナリーブランディングチームとして位置づけられています。
代表取締役社長には、中川政七商店代表取締役会長の中川政七氏が、取締役副社長にはTakram ビジネスデザイナーの佐々木康裕氏が就任しています。
全国60店舗の直営店を中心にブランディングを展開し、これまでに60社を超える工芸メーカーの経営再生に取り組んできた中川政七商店。テクノロジーとデザインの両面から数々のプロジェクトのブランディングに取り組んできたTakram。2社の代表に共通していたのは、「ブランディングの根幹となるのは企業が目指すビジョンである」という考え方でした。
消費者のブランドに対する価値は、かつての「安心・憧れ・共感」から、企業に対する「信頼」へと変遷しています。この信頼は、会社やブランドにとって一番大切なもの=ビジョンに対する共感・共鳴から生まれると、中川と佐々木の両氏は考えており、その一方で、多くのブランドでは、ビジョンが言語化されていない、あるいはビジョンがあったとしても、コンシューマーに届いていないといった課題があります。
PARADEでは、これらの補完を事業として担います。ブランドのビジョンをつくり、コミュニケーション戦略をサポート。Takram が持つ世界最先端の事例と、中川政七商店が培ってきた実践力の掛け合わせを強みに、志(ビジョン)あるブランドを世の中に届けていく役割を果たすことを目指します。
PARADEが展開するサービスは大きく2つ。ブランドの歴史や会社における位置づけなどを振り返りつつ、プロダクトやデザイン、ポジショニング戦略などの全てを包含した、ブランドづくりの指針となるブランドビジョンを策定する「ブランドビジョンづくり」と、ブランドパーソナリティの設定や、リアル・デジタルの多様なタッチポイントの整理、タッチポイントごとの特徴を踏まえたコンテンツ検討を通じ、ブランドビジョンへ共感を生むための「コミュニケーション戦略策定」です。
同サービスのパイロット事例として、中川政七商店の既存商品で、ハンカチブランド「motta(モッタ)」をリブランディング。2021年11月3日に販売を開始します。
2013年に発売した、普段使いの「肩ひじはらないハンカチ」の価値の再検討を行い、ブランドビジョンを言語化したもので、ブランドを体現するロゴのリニューアルとパッケージの変更を行うとともに、コンセプチュアルな新商品の開発などもPARADEにて手がけています。
motta(モッタ)詳細
Instagram:@motta_handkerchief
https://www.instagram.com/motta_handkerchief/
PARADEのビジョナリーブランディングのサービス開始にあたり、中川・佐々木の両氏が登壇するトークセッション「未来のブランドの在り方 ーこれからの、ブランドとビジョンの関係ー」が、10月21日にオンラインで開催されます。10月12日時点で満席、キャンセル待ちの状態です。
オンライントークセッション「未来のブランドの在り方」
日時:2021年10月21日(木)19:00-20:00
参加費:無料
定員:あり(満席、キャンセル待ち中)
登壇者:中川政七(PARADE代表取締役社長)、佐々木康裕(PARADE取締役副社長)
詳細:https://parade-brandvision-talk.peatix.com
設立:2021年1月8日
代表取締役社長:中川 淳
取締役副社長:佐々木康裕
資本金:1000万円
事業内容:ビジョナリーブランディングに特化したコンサルティングサービス
公式Webサイト:https://join-parade.jp/
中川政七氏プロフィール:
京都大学法学部卒業後、2000年富士通株式会社入社。2002年に中川政七商店に入社し、2008年に十三代社長に就任、2018年より代表取締役会長を務める。
業界初の工芸をベースにしたSPA業態を確立し、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、業界特化型の経営コンサルティング事業を開始。初クライアントである長崎県波佐見焼の陶磁器メーカー、有限会社マルヒロでは、新ブランド「HASAMI」を立ち上げ、空前の大ヒットとなる。2015年に、独自性のある戦略により高い収益性を維持している企業を表彰する「ポーター賞」を受賞。経営者・デザイナー向けのセミナーや講演歴も多数。
主な著書に『小さな会社の生きる道。』(CCCメディアハウス)、『経営とデザインの幸せな関係』(日経BP社)、『日本の工芸を元気にする!』(東洋経済新報社)などがある。
中川政七氏コメント:
「会社やブランドにとってビジョンが重要であることは、昨今のビジョン(あるいはミッション、パーパス)ブームを見るまでもなく、中川政七商店で20年やってきた中で身を持って感じています。しかしながら世の中ではビジョンが本当の意味で機能していない事例が散見されます。PARADEではビジョン達成に向けて愚直に取り組むブランドがきちんと報われるお手伝いをしていきたいと思います。その中で、海外の先進事例やデジタルに対する知見と未来を見据える視点を併せ持った、Takramとともに取り組めることは大変心強いです。」
佐々木康裕氏プロフィール:
ビジネスデザイナーを務めるTakramでは、デザイン思考や認知心理学、システム思考を組み合わせた、領域横断的なアプローチでエクスペリエンス起点のクリエイティブ戦略、事業コンセプト立案を展開。スローメディア『Lobsterr』の共同創業者、ベンチャーキャピタル・Miraiseの投資家メンター、グロービス経営大学院の客員講師(デザイン経営)も務める。
主な著者に『D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 』(NewsPicksパブリッシング)、『パーパス「意義化」する経済とその先』(同)、『いくつもの月曜日』(Lobsterr Publishing)などがある。
佐々木氏コメント:
「生活者の興味は、商品やデザインの良さから、多くの人の共感を呼ぶ社会性を帯びたビジョンに移ってきています。PARADEの「ビジョナリーブランディング」は今まさに求められているブランドのビジョンづくりをサポートできると信じています。また、PARADEはビジョンの策定だけでなく、これからのブランドビジネスの主戦場であるデジタル領域の取り組みも進めて行く予定です。中川政七商店が持つ数々のブランド再生の実績とTakramのデジタル時代を踏まえた顧客体験設計の経験を統合することで、PARADEから「志あるブランドを世の中に届ける」ことを楽しみにしています。」
中川政七商店(なかがわまさしちしょうてん)会社概要
1716年(享保元年)創業。「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げ、中川政七商店・遊 中川・日本市などのブランドで全国に約60の直営店を展開するほか、業界特化型の経営コンサルティングなども行う。代表:中川政七(代表取締役会長)、千石あや(代表取締役社長)
本社所在地:奈良県奈良市東九条町1112-1
資本金:1000万円
事業内容:生活雑貨の企画・製造・卸・小売、業界特化型経営コンサルティング、産地支援事業など
公式Webサイト:https://nakagawa-masashichi.jp/
Takram(タクラム)会社概要
2005年設立。「Discover and deploy value. In our clients, society, and in ourselves.」をミッションに掲げ、世界を舞台に活躍するデザイン・イノベーション・ファーム。
未来をつくる人や組織のパートナーとして、プロダクトからサービス、ブランドにアイデアまで、デザインの力で変化を生み出す。現在、東京・ロンドン・NYを拠点とする。代表:田川欣哉(代表取締役)
本社所在地:東京都渋谷区神宮前5-7-4 穏田今泉ビル
資本金:1500万円
事業内容:デザインによるイノベーション支援
公式Webサイト:https://ja.takram.com/
注.Takramは、ホールディングカンパニーである、Takram Oneness株式会社からPARADE株式会社へ出資している