CULTURE

内藤廣設計、奈良に中川政七商店の複合商業施設〈鹿猿狐ビルヂング〉がオープン

CULTURE2021.04.13

1716年創業、中川政七商店(奈良県奈良市 代表取締役社長 十四代 千石あや)として初の複合商業施設〈鹿猿狐ビルヂング(しかさるきつねびるぢんぐ)〉が、2021年4月14日(水)に奈良市の中心部にオープンします。

開放的なガラス窓と、周囲の街並みを活かした瓦屋根が特徴の、地上3階建ての建物は、内藤廣建築設計事務所が設計を担当しました。

内藤 廣 近影

内藤 廣氏

内藤 廣 氏プロフィール
建築家・東京大学名誉教授
1950年生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了後、フェルナンド・イゲーラス建築設計事務所、菊竹清訓建築設計事務所を経て、1981年内藤廣建築設計事務所を設立。2001〜11年東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻において教授、東京大学にて副学長を歴任。2007〜09年度には、グッドデザイン賞審査委員長を務める。主な建築作品に、海の博物館、牧野富太郎記念館、島根県芸術文化センター、虎屋京都店、富山県美術館、とらや赤坂店、高田松原津波復興祈念公園 国営 追悼・記念施設、東京メトロ銀座線渋谷駅など。

内藤 廣氏メッセージ「建築について」
まず考えたのは、街並・伝統・現代・近未来を建築として表現する、ということです。屋根を瓦葺きにし、通りに面した軒庇を細かく分節化して、ファサードを街並みと違和感がないようにつくり込んでいます。建物は3階建てなので鉄骨造ですが、この架構には高度な現代技術を駆使しています。柱間の寸法を伝統的な建物で使われる3.6m(二間)にして柱を細くすることができたので、内部の空間も周りの木造の建物の空間に調子を合わせた雰囲気になるはずです。
街並みに合わせた瓦屋根と現代技術を駆使した繊細な鉄骨造、これがわたしたちが目指したこの建物の特徴です。でも街それ自体がそうであるように、建物はここでの飲食やお店などのさまざまな活動が営まれる背景でしかありません。歴史を紡いできたこの街の一角から、近未来を感じ取れるような「今」という背景を生み出すことができたら、と思っています。

街並・伝統・現代・近未来を建築として表現

建物の中央には、中庭と、そこにつながる新たな路地がつくられ、古きよき時代の趣が残る「ならまち」の風景に溶け込んだ新たな空間が生まれています。

竣工前のイメージパースと、先ごろ撮影されたばかりのビルの外観写真などで、施設の概要をお伝えします。

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉イメージパース

同施設がオープンするのは、猿沢池にほど近い元林院町。「ならまち」と呼ばれるエリア。中川政七商店の創業の地である奈良に「満を辞して」、旗艦店「中川政七商店 奈良本店」を構えます。

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉イメージパース

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉

撮影:淺川 敏

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉

撮影:淺川 敏

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉

撮影:淺川 敏

猿田彦珈琲が奈良県初進出

ビルの1階には、猿田彦珈琲の奈良県初進出店となる「猿田彦珈琲 奈良 鹿猿狐ビルヂング店」が開業するのも話題となりそうです(面積・席数:106.40m² / 32.24 坪 / 35席)

「猿田彦珈琲 奈良 鹿猿狐ビルヂング店」

内藤 廣氏メッセージ
「TVドラマ『相棒』の杉下右京は紅茶通、冠城 亘は珈琲通。珈琲には、自分のなかの隠された熱い気持ちを押し上げる役割があるようです。建物はそのひとときの時間を生み出すための背景なのだと思います。テーブルの上の珈琲と柱梁や壁やガラス窓といった建物を構成するものとの間、それを空間と呼んでもよいのですが、そこにその人だけの時間が生まれます。最小限の鉄骨で構成された見通しのよい空間、簡素な設えに居心地のよい木の椅子を配しました。カップから立ち上る湯気と香りが空間を満たしていきます。身体の中を満たしていく琥珀色の液体は、隠された熱い気持ちを呼び覚まします。そのひとときが豊かなものであることを願って建物を設計しました。

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉テナント

「猿田彦珈琲 奈良 鹿猿狐ビルヂング店」

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉テナント

「猿田彦珈琲 奈良 鹿猿狐ビルヂング店」

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉テナント

「猿田彦珈琲 奈良 鹿猿狐ビルヂング店」

「猿田彦珈琲 奈良 鹿猿狐ビルヂング店」

オープン記念企画メニュー「ならまちブレンド」

コワーキングスペースもオープン

このほか、ミシュラン1つ星掲載店が手がけるすき焼き店「㐂つね(きつね)」、3階には、中川政七商店として初のコワーキングスペース「JIRIN(じりん)」もオープン。奈良に魅力的なスモールビジネスを生み出す「N.PARK PROJECT」がここに拠点を構えます。ライブラリの選書は、BACHの幅 允孝氏の手によるものです。

ちなみに、〈鹿猿狐ビルヂング〉というインパクトのある施設名称は、中川政七商店のロゴマークにもあり奈良のシンボルでもある鹿、猿田彦珈琲の猿、きつねの狐からとられたものです。

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉テナント

すき焼き店「㐂つね」メニュー(イメージ)

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉テナント

「JIRIN」イメージ

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉イメージパース

テナント配置図

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉フロアマップ

フロアマップ

創業の地・奈良の新拠点

ビルの1階と2階で展開する「中川政七商店 奈良本店」では、日本の工芸を活かした衣食住にまつわる商品約3,000点を展開。同店でしか買えない限定品や、地元奈良の伝統工芸品などを販売します。

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉内「時蔵」展示イメージ

手績み手織り麻 展示イメージ

中川政七商店は、江戸時代中期に麻織物「奈良晒」の問屋として奈良に創業。現在でも、手績み手織り麻にこだわった製品をつくり続けてきました。2007年にアートディレクターの水野 学氏がロゴマークを一新するなど、新たなブランディング戦略を展開して以降は、現代のデザインを取り入れた商品などを世に送り出してきました。

〈鹿猿狐ビルヂング〉の敷地内には、長年にわたりものづくりに携わってきた中川政七商店の歴史を知ることができる施設も公開され、貴重なアーカイブ資料を無料で見学することができます。

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉敷地内「時蔵」

展示施設「時蔵」

築100余年の町家の貯蔵庫を改装した「時蔵」では、同社の歴史的資料のアーカイブ展示を、「布蔵」では、創業の商いである手績み手織り麻のものづくりを体験できるワークショップなどが開催されます。

蔵を改装した「時蔵」

蔵を改装した「時蔵」

「時蔵」内観 収納

「時蔵」内観 収納

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉敷地内「時蔵」

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉敷地内「時蔵」

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉敷地内「時蔵」

「時蔵」内部から出入口を通して中庭の眺め

路地を巡り出会う、触れ、学び、味わう奈良

また、新施設〈鹿猿狐ビルヂング〉から足をのばせる近隣には、中川政七商店の既存店「遊 中川 本店」と「茶論 奈良町店」があり、先ごろリニューアルしています。

中川政七商店「 遊 中川 本店」

「 遊 中川 本店」内観

中川政七商店「 遊 中川 本店」併設「茶論 奈良町店」

「 遊 中川 本店」併設「茶論 奈良町店」内観

中川政七商店「 遊 中川 本店」併設「茶論 奈良町店」

「茶論 奈良町店」メニューの例

「茶論 奈良町店」で提供される季節の和菓子は、同じ「ならまち」に店舗を構える「樫舎(かしや)」のもの。〈鹿猿狐ビルヂング〉からも徒歩圏内です。

〈鹿猿狐ビルヂング〉のコンセプトは「路地を巡り出会う、触れ、学び、味わう奈良」。この場所でしかできない買い物や飲食、ワークショップなど、さまざまな体験型コンテンツを用意し、奈良在住の近隣の人々はもちろん、国内外から訪れる人にも、より一層奈良の魅力を感じてもらえるような拠点を目指すとのことです。(en)

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉

撮影:淺川 敏

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉

撮影:淺川 敏

中川政七商店〈鹿猿狐ビルヂング〉

撮影:淺川 敏

〈鹿猿狐ビルヂング〉施設概要
読み:しかさるきつねびるぢんぐ
所在地:奈良県奈良市元林院町22番(Google Map
敷地面積:419.06㎡(126.98坪)
規模:地上3階建て
構造:鉄骨造
テナント数:4(中川政七商店 奈良本店、猿田彦珈琲、㐂つね、JIRIN)
定休日:なし
営業時間:各店舗で異なる(下記参照)
中川政七商店 奈良本店 10:00-19:00
猿田彦珈琲 9:00-21:00(4月14日のみ10:00オープン)
㐂つね 11:30-15:00(LO 14:00)/ 17:00-22:00(LO21:00)
JIRIN 9:00-21:00
設計:内藤廣建築設計事務所
開業日時:2021年4月14日(水)10:00

「JIRIN」
https://n-park-project.jp/jirin/

〈鹿猿狐ビルヂング〉公式ウェブサイト
https://nakagawa-masashichi.jp/shikasarukitsune/

2020年春の開業発表

CULTURE2020.04.16
中川政七商店 ならまちに初の複合商業施設を今秋オープン
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