大阪を拠点に、宿泊施設「Apartment Hotel 11(Eleven)」の運営業務を展開するHIWIN。土地開発から建築・デザイン、最先端のDXを活用したオペレーション、さらには自社アプリを通じた地域サービスとの連携まで、一気通貫で手がける独自のビジネスモデルで、現在は約3,000室規模へ急成長を遂げました。
急速に拡大するインバウンド需要を捉え、単なる宿泊施設の提供にとどまらない「街全体を巻き込んだサービスエコシステム」の構築を目指す同社。その強靭な事業基盤と圧倒的なスピード感の裏側、そして次なるステージへ向かう組織の展望について、同社副社長の林 貴人氏にインタビューしました。
林 貴人 氏(取締役副社長/以下、林):私たちHIWINは、大阪を中心にアパートメントホテルブランド「Apartment Hotel 11」を展開し、宿泊を軸に、飲食・サービス・テクノロジーをつなぐ体験価値を追求しています。
当社最大の強みは、土地の仕入れから設計・デザイン、建築、自社DXシステムによる無人オペレーション、さらには現場の清掃や周辺連携にいたるまで、すべてを一気通貫で推進するビジネスモデルです。圧倒的な開発スピードと高いコストパフォーマンス、そしてゲストの満足度を高次元で両立させながら、グローバル市場に向けた新しい時代の宿泊のあり方を創り出しています。

林 貴人 氏。Photo: 福田 駿
林:「アパートメントホテル」とは、キッチンや洗濯機などの生活設備が備わっており、長期滞在も想定した、まるで自宅のように過ごせる宿泊施設のことです。民泊と言った方が分かりやすいかもしれませんが、私たちが展開しているのは、民泊事業を進化させたビジネスモデルです。従来の民泊は、マンションの数室を借り上げて運営する形式が主流でした。しかし、そうした数室単位の手法では、一般住民の方とのトラブルリスクに加え、あちこちに分散した部屋を個別に管理・清掃しなければならず、運用効率の悪さが課題になっていました。
そこで私たちは、土地の仕入れから自社で手掛け、1棟丸ごと開発するスタイルへと大きく舵を切りました。また、同一エリアに複数店舗を出店することで管理を集約し、現場のオペレーション効率を劇的に向上させつつ、ゼロから自由度の高い空間を設計できます。ここ1〜2年で会社の資金力も大きく向上し、今では大規模なプロジェクトへ積極的に投資を行える体制が整っています。

〈Apartment Hotel 11 難波南2〉
林:私たちがここまでの事業拡大を遂げられた背景には、業界全体が直面した最大の試練であるコロナ禍での決断があります。当時は先の見えない状況が続き、民泊や不動産を扱う事業者のほとんどが撤退を余儀なくされていました。そのなかでも、代表の伊藤は「必ずインバウンドが戻ってくる」という確信を持ち、粘り強く事業を維持し続けました。
そうして、需要回復の兆しが見えた瞬間に一気にアクセルを踏み込みました。2022年の再スタートから急速に規模を拡大し、現在では客室数が約3,000室にまで成長することができました。
一般的に民泊事業は参入障壁が低い反面、事業者としての信頼を勝ち取るのが難しい領域でもあります。しかし当社の場合、コロナ前から誠実に積み重ねてきた実績と現場のクオリティがあり、その人柄や事業に対する姿勢が不動産業界内で高く評価されていました。その強い信頼基盤があったからこそ、これほどのスピード感で事業を伸ばすことができたのだと感じています。
林:空間デザインにおいては、当社のゲストの85%以上が訪日外国人であるため、現代的なデザインの中に日本の情緒や心地よさを感じられるような「和モダン」をテーマに据えています。
これまで数多くの物件を手掛ける中で、ゲストからのリアルな口コミやフィードバックが蓄積されてきました。そうした現場の知見が結実した形として独自の「標準仕様書」を作成し、品質管理を徹底しています。現在運用している約60棟のうち、すでに約半数がこの仕様書ベースになっており、ブランドとしてのクオリティを保っています。

〈Apartment Hotel 11 心斎橋9〉

〈Apartment Hotel 11 難波南5〉
林:もっとも、この「標準仕様書」がApartment Hotel 11の完成形というわけではありません。時代やゲストのニーズに合わせて、常にアップデートし続ける必要があります。策定から1年が経った今、まさにその改訂を進めているところです。
たとえば、無人運営のホテルはスタッフが不在な分、どうしても共用部が無機質な印象になりがちです。現在は主張を抑えたシンプルな空間にしていますが、演出としてはまだまだ「足し算」をして魅力を高める伸びしろがあると感じています。近年はSNSが集客の大きな主戦場となっていますから、そうしたマーケティング視点を取り入れつつ、実際の居住性やメンテナンス性と高次元でバランスさせるデザイン提案が求められています。
これまでは外部のデザイン事務所と連携してスタイルを築いてきましたし、今後もその関係は続いていきます。しかし、年間数十棟という開発スピードに対して、外部リソースだけではデザインの供給が追いつかなくなってきたのも事実です。だからこそ今、自社内に専門チームを構築する「インハウス化」を本格的に推進しています。

〈Apartment Hotel 11 難波元町〉
林:高い空間クオリティと収益性を両立できている背景には、中国の提携工場を活用した独自のサプライチェーンがあります。建材から家具にいたるまで現地で直接開発・輸入することで、極めて低コストかつ高品質な商品を仕入れることができています。
これにより、デザインの選択肢や表現の幅は格段に広がります。一般的な設計であればコストオーバーで諦めてしまうような上質な素材やこだわりの意匠も、妥協することなく積極的に組み込める。理想の空間づくりを追求したいデザイナーにとって、ご自身のアイデアを存分に発揮していただけるフィールドです。

〈Apartment Hotel 11 浅草2〉

〈Apartment Hotel 11 道頓堀4〉
林:こうしたハード面の進化に加えて、私たちが目指しているのは、無人ならではのプライベートな気軽さと、手厚いサービスを兼ね備えた新しい宿泊体験です。
そのソフト面で特に力を入れているのが、自社アプリの活用です。出張マッサージや観光送迎の手配はもちろん、フードデリバリーとの連携も進めています。Apartment Hotel 11の客室はゆとりある広さがあり、本格的なキッチンを備えた部屋も多いため、お部屋でゆっくり食事を楽しむ滞在スタイルと非常に相性が良いのです。
さらに、必要な備品やサービスをアプリ上で即座に注文・決済できる仕組みも導入しています。ゲストのフィードバックを素早くシステムへ反映し、テクノロジーの力で「ストレスフリーで豊かな滞在」を実現しています。

〈Apartment Hotel 11 浅草2〉
林:私たちは2036年を目処に、客室数15,000室への拡大を目指しています。現在、当社の物件の約90%は大阪エリアに集中していますが、当面はこの大阪を強固な軸としつつ、次なる主戦場として東京への本格進出を進めていく計画です。全国へ薄く分散させるのではなく、需要の高い主要都市に集中投資することで、管理効率とブランド認知の最大化を図ります。

Photo: 福田 駿
林:私たちが手がける空間は、日本を訪れる世界中のゲストの旅の思い出そのものになります。これからジョインしていただく方には、当社のデザイン基準そのものをアップデートし、ブランドを自らの手で創り上げる中核を担っていただきたいのです。
与えられた条件の中で図面を引くだけのデザイナーではなく、「自らのデザインがどれだけの収益を生み出し、ゲストの感動に繋がるか」という事業家目線を持って挑戦したい方にとって、ここはこれ以上ない打席であり、成長環境です。
世界から注目されるアパートメントホテルブランドへ。私たち経営陣と同じ目線で会社の未来をデザインし、共に切り拓いていける情熱を持った方のご応募を心よりお待ちしています。
インタビュー:7月14日 HIWIN本社オフィスにて
トップ写真:〈Apartment Hotel 11 難波南5〉
特記なき画像提供:HIWIN