CULTURE

バブル期の象徴、1993年村野藤吾賞の〈ホテル川久〉にミュージアムがオープン

CULTURE2020.06.23

和歌山県・南紀白浜温泉にある〈ホテル川久〉を運営するカラカミ観光株式会社(北海道札幌市)は、同ホテルが保管している美術品の数々を一挙公開、私設美術館「川久ミュージアム」として本格始動すると発表しました(2020年6月15日プレスリリース)。オープンした公式ウェブサイトによれば、本格始動は7月1日とのこと。

バリー・フラナガン(イギリス)〈うさぎ〉

中尾淳〈六曲一双〉

〈ホテル川久〉が計画されたのはバブル経済期の1989年。設計をゼネコンに一任せず、当時のオーナー自らが一流の職人に仕事を依頼し、竣工まで2年をかけ、総工費400億、延床面積26,000㎡のスケールでオープンした、技術と理想が詰まった「夢の城」でした。1993年には「村野藤吾賞」を受賞しています。

〈ホテル川久〉http://www.hotel-kawakyu.jp

ジョルジオ・チェリベルティ(イタリア)〈愛と自由と平和〉

ローマンモザイクタイル

1,500㎡もの広さがあるホテルのエントランスホールには、1本1億円の価値があるという、久住章氏が主宰する左官集団「花咲団」が、ドイツのシュトックマームア技法を用いた疑似大理石で作り上げたの柱が26本並び、床には、イタリアから呼び寄せた職人の手でローマンモザイクタイルが敷き詰められています。見上げると、フランスの人間国宝による22.5金の金箔ドーム天井、壁には鹿と豹のビザンチンモザイク画(ニューヨーク・メトロポリタン美術館の鑑定で、2世紀頃のシリアのものと判明)が埋め込まれています。このほか、かつて中国の紫禁城にのみ使用を許された鮮やかな「老中黄」の瑠璃瓦や、、土佐漆喰で仕上げたホテルエントランスの大庇、陶芸家・加藤元男氏による信長塀や陶板焼きのタイル壁など、館の内外いたるところに美術品ちりばめら、アートと建築とが融合する形で存在しています。

ヘンリー・ムーア(イギリス)〈母と子〉連作

創業当時より、館内にはインテリアから骨董、絵画まで、オーナーが世界各国で買い付けたアートの数々が収蔵され、約30年にわたって眠っている状態でした。中国清代前期の七宝焼きや陶器、ダリ、シャガール、横山大観など、名だたる名画家の作品も含めて、数百点に及ぶ作品が、ミュージアムのオープンに伴い、一挙公開となります。(en)

川久ミュージアム
開館時間:10:30-18:00(入場は閉館30分前まで)年中無休
入館料:一般 1000円 高校生・大学生 800円 中学生以下無料(学生証の提示要) 障害者手帳を持参の方は付添1名まで入場無料
住所:〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町3745 ホテル川久内
※入口はホテル川久と同じ

https://www.museum-kawakyu.jp

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