東京・下谷に1928年(昭和3)に建てられた銭湯・快哉湯。戦禍で焼け落ちることもなく、富士山のペンキ絵と、格天井の脱衣所といった昔ながらの風情が、地元の人々に長年、愛されてきましたが、2016年(平成28)11月にその歴史に幕をおろしました。
「人々の記憶が詰まったこの建物を未来に残したい」という想いをしたためたオーナーの手紙が、NPOたいとう歴史都市研究会に届き、それが常連客でもあった会員の手に渡り・・・といった人と人、縁のつながりによって、快哉湯はオフィス兼カフェラウンジとして保存・再生され、まちに開かれた場としてさまざまに利用されてきました。
建物及び歴史調査:NPO法人たいとう歴史都市研究会
マスターリース:ヤマムラ
改修設計施工:ヤマムラ
設計協力:栗原荘 牛嶋詩織 宮本啓
施工協力:渡部屋
耐震補強:川端建築計画
造園計画:FOLK
企画コーディネート:まちあかり舎
総合監修:後藤 治(工学院大学教授)
上記参照元:ヤマムラ 2018年10月5日ニュースリリース「台東区下谷の銭湯建築「快哉湯」をシェアオフィスとして再生します」より(タイトルはリンク先の表示ママ)。改修前の銭湯の内外観の写真も掲載されています。
2019年には、うぐいすチャンネルによるイベント「快音祭」や、Visual Programin Artistの西条信広氏との合同企画によるアートイベント「REPLAY」なども開催されています。
# 西条信広「REPLAY : on Display at 快哉湯」(2019/07/30)
今回の「rebon Kaisaiyu(レボン快哉湯)」プロジェクトでは、福岡に本社を構え、飲食店・宿泊業を営むベステイトのrebonブランドとして、カフェ〈rebon Kaisaiyu(レボン快哉湯)〉として再生、2020年7月11日より営業を開始しています(ベステイト 2020年7月8日プレスリリース)。
コンセプトは「記憶をつなぐ」。「女湯」と「男湯」の表示はそのまま。銭湯ならではの木札の下駄箱も残されており、ここで靴を脱いで中に入ります。
内部に入ると、古き良き銭湯時代の雰囲気が伝わってくる無垢材を張った床と、格天井の大空間が迎えてくれます。一枚板のカウンター席は、足元部分の前板がタイル貼りのレトロなしつらえ。フロアーの中央に鎮座する番台では記念撮影も可能です。
カフェで提供されるメニューのテーマは「マリアージュ」。地元・台東区出身のバリスタが淹れる自家焙煎のコーヒーと、農園直送の果物を使った自家製アイスクリームなどを用意しています。カフェスペースは、高速wifiと電源も完備。また、展示・物産展・講習会などのイベントスペースとしても利用できます。
〈rebon Kaisaiyu(レボン快哉湯)〉
東京都台東区下谷2丁目17-11
平日 12:00-19:00 / 土日祝 10:00-19:00
年中無休(年末年始を除く)
席数:16席
https://www.rebon.jp
Instagram:@rebon_kaisaiyu