石上純也が設計するパビリオン〈木陰雲〉の下にレストラン「maison owl PROLOGUE（メゾンアウル・プロローグ）」が今夏限定オープン

2021年6月22日初掲
6月27日コンセプト文追記、9月1日予約受付期間延長

東京・千代田区九段北1丁目にある〈kudan house〉に、建築家・石上純也氏の設計によるレストラン「maison owl PROLOGUE（メゾンアウル・プロローグ）」が期間限定でオープンします。

このレストランの前庭には、2021年7月1日から開始される「Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13」の一環として実施される「パビリオン・トウキョウ2021」[*1]の展示作品、石上が設計したパビリオン〈木陰雲〉が設置される。
*1.石上純也氏を含む、世界各地で活躍する建築家が設計したパビリオンを都内各所に展示し、未来の建築やアートとして紹介するプロジェクト（会期：2021年7月1日～9月5日 / 主催：東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、パビリオン・トウキョウ2021 実行委員会）
https://ttf-koubo.jp/

建築家 石上純也 ©︎CHIKASHI SUZUKI

〈木陰雲〉設計コンセプト：
「九段下に昭和2年、実業家の山口萬吉によって建てられた古い邸宅がある。設計には東京タワーの構造計画をおこなった内藤多仲も関わっている。この邸宅の美しく古い庭に2021の夏期限定で、日差しを柔らかく遮る日除けを計画する。

新しく計画される日除けが、歴史ある風景に溶け込むように、新築であるにも関わらず、はじめから古さを含み持つようにと考えた。具体的には、木造の柱と屋根を庭いっぱいに計画し、その構造体を焼き杉の技術を用いて焼いていく。様々に火力を調整しながら、杉の表面を炭化させ、場所によっては構造体そのものを焼き切る。庭に広がる木の構造体が、既存の庭に生い茂る老木を避けるように、焼かれながらしなやかに形状が整えられていく。炎で炭化した真っ黒の構造体は、廃墟のような趣もある。新築から廃墟の状態に、瞬時に駆け抜け変化したようでもあり、建築が経年によって得られる移り変わりを一気に獲得したかのようだ。

昭和初期の時代にはまだ存在していなかった周りの高層建築を黒い構造体が覆い隠し、構造体に開けられた無数の穴からの無数の光の粒が、樹木からの木漏れ日と混ざり合う。樹木の間から覗く現代の風景は消え去り、夏の強い日差しは和らぎ、訪れる人々はこの庭のなかに流れる古い時間とともに過ごす。真っ黒の構造体は、夏の午後に老木の間を漂う涼し気な影である。」（石上純也）

〈kudan house〉にオープンするレストラン「maison owl PROLOGUE（メゾンアウル・プロローグ）」の店名は、山口県宇部市にて今秋開業を控える、石上純也氏が設計したレストラン〈maison owl〉に由来します。

House ＆ Restaurant〈maison owl〉模型（石上純也建築設計事務所）
個展「石上純也―FREEING ARCHITECTURE」会場写真（パリ・カルティエ財団現代美術館、2018年）

〈maison owl〉は、「シェフの隠れ家にゲストを招き、ロマンを感じる時を過ごしていただきたい」という、オーナーシェフの平田基憲氏の思いを元に、石上氏の設計で、”洞窟のような”空間が実現。こちらは1日1組限定で宿泊も可能となる予定です。

〈maison owl〉イメージ

九段に今夏から期間限定ででオープンする「maison owl PROLOGUE（メゾンアウル・プロローグ）」では、〈kudan house〉の庭園に、ところどころに孔が開いて陽が差し込み風も通り抜ける〈木陰雲〉の”屋根”の下に、テーブルがセッティングされ、1日3組限定で、石上建築がを眺めながら、ディナーを楽しんでもらうという贅沢な趣向です。

メニューは、石上作品〈木陰雲〉の特徴である焼杉の黒、山口県の食材、さらにはレストランがオープンする「夏」、九段ハウスの建築様式などからインスピレーションを受けた要素をフランス料理で表現するとのこと。

「maison owl」オーナーシェフ / 平田基憲氏 ©︎SatoruEMOTO@SARUTO Inc.

同レストランの管理・運営は、安藤忠雄建築として知られる〈瀬戸内リトリート青凪〉（愛媛県松山市）や、岡山県玉野市に来春開業予定のスタジアム一体型ホテル〈KEIRIN HOTEL 10〉のプロデュースなど手がける、株式会社温故知新（代表：松山知樹）が担当します（本レストラン開業のプレスリリースも同社の発表）。

温故知新プロヂュースによる全国各地の施設

本イベントの会場となる〈kudan house〉は、1927年（昭和2）に、実業家の山口萬吉の邸宅として建てられたもので、カミヤアーキテクツ（代表：神谷修平）と竹中工務店（PM,設計）が2018年にリノベーションした施設です。元の建物の設計には、内藤多仲、木子七郎、今井兼次が携わっており、2018年5月には、国の有形文化財に登録されています[*2][*3]。

〈kudan house〉外観（庭園は画面の奥、建物の裏側）

現在では会員制オフィスとして活用され、イベントに貸し出されることも。これまでに、クリエイティブの祭典「AnyTokyo 2019」や「つくらない都市計画」などのイベントの会場となっています。
*2.参照元：竹中工務店 公式ウェブサイト「建築作品」ページ
https://www.takenaka.co.jp/majorworks/21800242018.html
*3.参照元：カミヤアーキテクツ 公式ウェブサイト「PROJECTS」ページ
https://kamiya-architects.com/projects/kudan-house-renovation/

九段下の駅からのアクセスでは、坂を上がった先にあり、門をくぐれば、夏場は木々が生い茂り、都会の真ん中とは思えない静けさの中に、意匠を凝らした昭和の知られざる名建築が佇んでいます。
この歴史ある旧山口萬吉邸・〈kudan house〉の庭園に、特別なレストランがオープンします。（en）

レストラン概要
店名：maison owl PROLOGUE（メゾンアウル・プロローグ）
所在地：東京都千代田区九段北1丁目15-9 kudan house 1階
期間：2021年7月1日（木）7月1日（木）～10月5日（火）9月5日（日）予定 ※パビリオン展示は7月6日から
※プロローグ期間が10月5日まで延長されました
営業時間：17:00-20:00
※COVID-19（新型コロナウイルス感染症）拡大状況を踏まえた政府や自治体からの要請で変更する場合あり
定休日：月曜
料金：コース24,000円（1名料金 / 消費税込、サービス料別途）
利用方法：完全予約制 / 1日3組限定（6月21日より予約受付を開始）
予約・問合せ：080-9455-5399（受付時間：12時-16時）
https://maison-owl.com/

山口県宇部市「maison owl」公式ウェブサイト ※現在は本イベントの情報を掲載
http://maison-owl.com/

詳細・温故知新「note」（2021/06/21）
https://note.com/onkochishin_h/n/nbbbb85a4e7c6