信州の郷土料理の1つである「おやき」の製造・販売を行なっている、大正14年創業のいろは堂(長野県・鬼無里)が、長野市内に新たな複合施設〈OYAKI FARM〉を7月31日にオープンします。
立地は、長野インターチェンジの至近。
長野名物「おやき」の製造・販売以外にも、カフェやショップも併設し、「おやき」の製造工程も公開・見学できるようにするなど、「おやき」の魅力を伝えるさまざまなコンテンツを用意した、いろは堂の新拠点となります。
〈OYAKI FARM〉のデザイン設計・監理は、長野県北佐久郡軽井沢町に事務所を構える遠野未来建築事務所が担当。
代表の遠野未来氏は、長野を拠点に、地場産の自然素材を用いたサステナビリティを提唱し、活動する建築家です。近代の工業的な素材や工程からの解放と、伝統技術の現代的な活用を設計作品などで示した功績により、国内外の賞も多数受賞しています。
設計者・遠野未来氏コメント
「長野市篠ノ井は、”赤い土器のクニ”と呼ばれ、弥生時代に栄え、環濠集落があった場所。
土器と集落の”円”を森の記憶と共に未来につなぎ、長い時間軸の中で”土から生まれ土に還る」”建築を目指しました。
施設は、杉とヒノキを構造材とした約1500m²の木造の準耐火建築物で、柱・梁あらわしによる円形のカフェと、HACCP(ハサップ)に基づく国際衛生基準を満たす矩形の工場で構成されています。工事残土による版築でできた風除室と、テラス中央の工場階段室を中心に、『工場・地域』と『カフェ・社会』を表す2つの”円”が重なり、さらに円弧を描いた屋根が施設全体を包むことで、周囲の山並みと響き合う景観を生み出しています。
在来工法の手刻みによる木組みと版築という伝統技術の継承も、本設計における大きなポイントです。
長野名物「おやき」の新たな100年が芽吹く場所
大正14年(1925)、長野県で創業した「いろは堂」。鬼無里村を拠点に、おやきを作り続けてきました。
2022年、そんな私たちがはじめた新たな取り組みが、工場併設店舗「OYAKI FARM(おやきファーム)」です。
それぞれの家庭でつくられたり、食卓に並んだり。暮らしに溶け込んだものだったおやき。しかし、いつの間にかそんな光景を見ることが少なくなりました。
だからこそ、もう一度、”今”の文脈に合わせて、おやきのある暮らしを提案したい。そんな想いで、この場所をつくりました。
おやきをつくる場として、おやきに親しむ場として・・・・・・。
〈OYAKI FARM〉は、おやきの新たな100年をつくっていきます。(いろは堂ウェブサイト 店舗案内ページより)
いろは堂の発表(2022年7月20日プレスリリース)によれば、2022年3月期の売上は約6.2億円、直近3年での売上は1.3倍(EC売上は2.4倍)で、事業規模を拡大中。今回の新店舗の稼働により、いろは堂のおやきの生産能力は従来の1.5倍となり、近年の課題となっていた、商品の安定した供給の実現を図ります。
所在地:長野県長野市篠ノ井杵淵7-1(Google Map)
営業時間:9:30-18:00
駐車場:40台
用途:店舗、工場
構造:木造
規模:地上2階建
敷地面積:9649.88m²
延床面積:1663.96m²
竣工:2022年7月
開業日(予定):2022年7月31日
デザイン設計・監理:遠野未来建築事務所
構造設計:岸上構造事務所
施工:寺島工務店、守谷商会、フリーザーシステム
設計協力:長澤剣太郎(長澤剣太郎建築計画事務所)
意匠設計協力:荒井寿和(at建築設計)
実施設計協力:百田有香(CUSTARD 一級建築士事務所)
環境・設備設計協力:谷口景一朗(スタジオノラ)
防火設計協力:安井 昇(桜設計集団)
版築設計協力:松田昌洋(信州大学)、田中正史(武蔵野大学)、中村傳穂(傳工房)
外構設計協力:下崎建築設計事務所 下﨑明久
サイン計画:アートディレクション 鈴木龍之介(Necton)、設計 香川翔勲(トベアーキテクト)
クリエイティブチーム
プロデュース:徳谷柿次郎(Huuuu)、カズワタベ
プロジェクトマネジメント:藤原正賢(Huuuu)
アートディレクション:鈴木龍之介(Necton)
スチール・ムービー撮影:キムヤンス(YOIN)、飯田雄平
コピーライティング:小林拓水(toishi)
ウェブサイト:渡部恵美
〈OYAKI FARM〉店舗詳細
https://www.irohado.com/f/oyakifarm
いろは堂 会社概要
1925年(大正14)に鬼無里村(現在の長野市鬼無里)にて創業、現在も本社と長野本店を同地に構える。同県内を中心に、長野本店、善光寺仲見世店、小布施店など7店舗を展開。長野を代表する、老舗のおやき屋の1つ。