黒川紀章(1934-2007)が設計したメタボリズム建築の名作〈中銀カプセルタワービル〉が解体された際に、”救出”された複数のカプセルを使用して、黒川らが1960年代に提唱したメタボリズム建築の実現を目指すプロジェクト「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」(代表:いしまるあきこ)[*1]への支援を求めるクラウドファンディングが実施されています。期間は、10月26日(水)10時から11月25日(金)23時までの30日間で、目標金額は300万円を設定しています。
2021年夏の実測調査と、発掘したオリジナルマットレスをもとに復元したカプセルA606室内。ベッドやスツール類を置き、レストア[*2]が完了した状態(2022年3月末当時)
1972年に竣工した〈中銀カプセルタワービル〉は、黒川がゆくゆく交換して新陳代謝していくことを想定して140個のカプセルユニットが取り付けられていましたが、解体が決定する間に1つも交換されることはなく、敷地は現在、更地となっています。
中銀カプセルタワービル 解体前の2022年2月(左)と解体後の2022年10月(右)の様子
「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」では、廃棄されるカプセルのうちの7個を”救出”し、保管しています。黒川が提唱した「動く建築(モバイルカプセル)」と「メタボリズム建築の実現」を目指し、いずれ”ミニタワー”を建設したいと考えています。
代表のいしまる、プロジェクト副代表の2名が自らアスベスト関連資格を取得し、解体現場から複数のオリジナルパーツを取り外す作業の様子
救出した7個のカプセルとオリジナルパーツ類(現在は北関東の倉庫で保管)
プロジェクトのメンバーおよび協力者は、ビルの解体直前まで全館で実測調査と写真撮影を行っています。これらの成果を全戸図録『カプセル1972-2022』としてまとめています。
解体工事の過程で、黒川が設計した50年前のカプセルは、そのままでは外すことも再度取り付けることも困難であることが判明したとのこと。このときの調査内容やカプセルと接続部分のオリジナルのつくりなどを、全戸図録『(仮)カプセル1972−2022 解体編』として再びまとめる計画です。50年後まで使いながら残すためのカプセルメンテナンス資料として「(仮)カプセル・全パーツリスト」も作成されます。
クラウドファンディングのリターン例 / 中銀カプセルタワービル全戸図録「カプセル1972−2022」
中銀カプセルタワービル全戸図録「カプセル1972−2022」中面
中銀カプセルタワービル全戸図録「カプセル1972−2022」中面
今回のクラウドファンディングの目標金額は300万円。支援金は、A606のほかに6個のカプセルの追加救出にかかった運搬費・重機費用、クラウドファンディング手数料、リターン制作費用などに充てられます。
同プロジェクトでは今後、黒川氏の設計どおりに、カプセルを交換可能な状態にして、ミニニタワーを建設する意向を示しています(敷地は未定)。黒川によるメタボリズム建築をさらに50年後の未来へとつないでいくことを目指しています。
実施期間:2022年10月26日(水)10時〜11月25日(金)23時
目標金額:300万円
リターン例:
・中銀カプセルタワービル全戸図録『カプセル1972−2022』※A4縦・400ページ・オールカラー・実測図面と800点を超える写真掲載の冊子(メイン撮影機はPhaseONE「IQ4 150MP」/ 1億5100万画素の超高性能カメラ)
・中銀カプセルタワービル全戸図録2『(仮)カプセル1972−2022 解体編』
・中銀カプセルタワービル「(仮)カプセル・全パーツリスト」
・カプセルA606+共用部オンライン見学会 ※2022年3月末撮影
・中銀カプセルタワービル クリアーホルダー2枚セット
・中銀カプセルタワービル ハガキ5枚セット
・中銀カプセルタワービル A606Tシャツ
・中銀カプセルタワービル ポスター
クラウドファンディングのリターン例
クラウドファンディングのリターン例
クラウドファンディングのリターン例