CULTURE

安井・平田設計共同企業体が設計した〈EXPO ナショナルデーホール「レイガーデン」〉

［大阪・関西万博］主要・共用施設紹介

CULTURE 2025.07.04

DATA

設計
安井・平田設計共同企業体（安井建築設計事務所・平田晃久建築設計事務所）

エリア
東ゲートゾーン

テーマ
海や大地との関係をセレブレートする

EXPO ナショナルデーホール「レイガーデン」の見どころポイント！

地形や海風の吹く方角に合わせた配置計画
ギャラリーEASTからのびる能舞台のようなポップアップステージ南
ランドスケープのように野趣あふれる植栽を眺めながら、スロープでつながる屋上

参加国の文化や歴史を感じる国際交流拠点

©Kenya chiba

2025年の大阪・関西万博における式典やパフォーマンスが行われる催事場、伝統工芸などが展示される展示場、レストラン・ラウンジが複合した建築である。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博にふさわしい、空、風、水、大地がからみ合う、生命のような建築をつくろうとしている。

©Kenya chiba

敷地に対して斜めに伸びる帯状の屋根がこの建築を特徴づけている。この方向は関西の地形の窪みの斜めの方向にほぼ対応し、淀川の河口付近に向かっている。

プレートが押し合ってできた地形のシワが、中央構造線の影響で斜めに傾いている。この生きている地球の活動が生んだ基盤が、淀川水系を育み、人間活動を含む生態系を育んだわけである。大阪の地形に対応したストライプの方向は、大阪湾から吹く海風の方向と一致している。帯はこうした風を捉えて、屋内や屋根下広場に促すウインドキャッチャーにもなる。緑化した帯の気化冷却によって、その効果はさらに高まる。

©Kenya chiba

建築と庭、人工と自然が重なり合う、内外が浸透し合う場所をつくりたいと考えた。建築とランドスケープを一体的に捉え、緩やかなスロープで屋上と接続する地形をつくる。この場所の自然な植生を生かして、チガヤなどを主体とした野趣のある植栽とした。

生命体が周囲の環境要素を取り入れながら、自分自身の環境をつくり出すのと同じように、この建築においては、光と風の交わり、水、植物が一体となって、人々の交流を支える微気候が生み出される。

©Kenya chiba

この建築には、さまざまなものを「結ぶ」働きをもった万博のリングと接しつつ、ふっと「緩める」おまじないのようなところがある。海との関係をセレブレートする空気と光を含んだ建築が、リングと調和しつつ、会場を海の広がりへと開くだろう。

©Kenya chiba

Diagram

Plan

Section

建築DATA

用途：以下の4つの施設により構成
メインステージ（ナショナルデー・スペシャルデー式典、その他の劇場催事の実施）、ラウンジ＆ダイニング（飲食施設）、ギャラリー EAST（アニメ、ファッションなどの展示会を会期中入替制で実施）、ポップアップステージ南（音楽、トークイベント、祭りなどを会期中入替制で実施）
座席数：メインステージ / 約500席（車いす席含む）、ラウンジ＆ダイニング / 約280席
構造：鉄骨造
階数：2階建て
床面積：4,836.97m²
基本設計：安井・平田設計共同企業体（安井建築設計事務所・平田晃久建築設計事務所）
実施設計・施工・監理：鴻池・安井・平田晃久グループ

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