[大阪・関西万博]トイレや休憩所などを紹介_トイレ6 - TECTURE MAG(テクチャーマガジン) | 空間デザイン・建築メディア
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[大阪・関西万博]トイレや休憩所などを紹介_トイレ6

KUMA & ELSAが設計した〈One water(トイレ6)〉

[大阪・関西万博]トイレや休憩所など、若手建築家が手掛ける施設を紹介

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施設DATA

  • 設計
    KUMA & ELSA
  • 主用途
    トイレ、休憩所
  • エリア
    静けさの森ゾーン

 

〈One water(トイレ6)〉の見どころポイント!

  • 水の循環を可視化する「水のパビリオン」
  • 介助や多様な性のあり方に応えるオールジェンダートイレ

水と人との多様な出会いをつくる、開かれたトイレ空間

〈トイレ6〉では、水資源とジェンダーという私たちに身近で切実なテーマを軸に、人と水、人と人とが交わる新たな公共空間のかたちを提案しています。水の循環プロセスを建築全体で可視化するとともに、屋根の勾配や素材、動線に至るまで、自然の摂理に寄り添う設計が徹底されています。

Photo: KUMA & ELSA

万博のトイレを設計すること。自然資源の消費に直結する「水を流す」というトイレの仕組み。身体の分類と必ずしも一致しない、心の性別。そのことがようやく、ゆっくりと考慮され始めている今。私たちに肉薄する資源とジェンダーの事柄が、人間の生理現象を中心に交錯している。

Photo: KUMA & ELSA

Photo: KUMA & ELSA

トイレを「水のパビリオン」として考えた。空から雨水が落ちて、蒸発し、雲となり、また雨として戻ってくる。あるいは、溜まった雨水が人に使われ、排水管へと吸い込まれていく。水が循環するそのプロセスの中に、水と人の多様な出会いをつくる。トイレという、水が不可欠な建物の中で、すべての生命の根源である水にまつわる現象を可視化し、その循環の場面に人々が触れる。パビリオンは、水で育った木材、水の流れで丸みを帯びた川砂利、水色の自然塗料など、水にまつわる素材で組み立てられている。

会期6ヶ月という、短い命の建築。材料に会期後のセカンドライフを与える。再利用をたやすくするために、内外仕上げの木材は穴を開けず、木のブロックで押さえて固定した。基礎に使われた覆工板と山留材はレンタルで、会期終了後に返却される。

Photo: KUMA & ELSA

Photo: KUMA & ELSA

「ひとつの水の中に生きる魚たち」のように、私たちも同じ水を分かち合って生きている—— 内部の大半を、異性の家族の介助や多様な性のあり方の受け皿となる、オールジェンダートイレとした。入口から出口まで、ひと目で全体を見渡せる死角のないオープンな空間で、皆が等しくトイレを利用できる。建物の三角形の断面形状は、暖かい空気が上昇し、南西からの海風が新しい空気を運ぶという自然の仕組みによる換気(重力換気)を促す。室内はいつも新鮮な空気に保たれ、心地よいスギの木の香りが残る。屋根をつたって流れる水の方向は、そのまま一方通行の内部動線を示している。

Photo: KUMA & ELSA

Photo: KUMA & ELSA

出口へと続く道は、雨水が貯まる水庭へとつながる。ここで集められた雨水は、機械室の貯留池に取り込まれ、トイレの排水や屋根の散水に再利用される。屋根に敷かれた砂利は水を吸収し、その蒸発時に建物の熱を逃がしてくれる。蒸発した水は空へのぼり、やがて雲になり、また雨として帰ってくる。丘のような屋根を登ると、万博会場の中心にある「静けさの森」を見渡せる。視線は自然と水の流れる方向を向き、その先には水によって生かされている森の風景が広がる。

Photo: KUMA & ELSA

Photo: KUMA & ELSA

Photo: KUMA & ELSA

Photo: KUMA & ELSA

平面図。Image: KUMA & ELSA

屋根伏図。Image: KUMA & ELSA

断面図。Image: KUMA & ELSA

建築DATA

構造:木造
階数:地上1階
敷地面積:492.00m²
建築面積:292.00m²
延床面積:288.00m²

設計:KUMA & ELSA
担当:隈 翔平、エルサ・エスコベド
構造設計:井上健一構造設計事務所
設備設計:裕健環境設計、都設備設計事務所
外構:浦田庭園設計事務所
温熱環境設計:Société Coopérative 2401
グラフィックデザイン:Ang Studio
施工:東建設

 

テキスト提供:KUMA & ELSA


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