CULTURE

永山祐子氏が設計した〈ウーマンズパビリオン in collaboration with Cartier〉

［大阪・関西万博］主要・共用施設紹介

CULTURE 2025.07.15

DATA

設計
永山祐子（永山祐子建築設計）

エリア
東ゲートゾーン

テーマ
ともに生き、ともに輝く未来へ

ウーマンズパビリオンの見どころポイント！

ドバイ万博〈日本館〉のファサード資材を再利用
永続性と継続性を力強く象徴する組子ファサード
エズ・デヴリンがキュレーションする没入体験

伝統とモダニティをつなぐ象徴的なファサードをもつパビリオン

〈ウーマンズパビリオン in collaboration with Cartier〉（以下、ウーマンズパビリオン）は、内閣府、経済産業省、リシュモンジャパンカルティエ、博覧会協会が出展するパビリオンです。

Victor Picon ©Cartier

〈ウーマンズパビリオン〉に足を踏み入れると、そこには誰かの人生の物語や世界が抱える課題、そして私たちがともに願う未来への希望が広がっています。

2020年ドバイ万博〈日本館〉のファサードとして初めて披露された組子ファサードは、ドバイと大阪、2つの万博をつなぎ、未来へとつながるレガシーを創出するという〈ウーマンズパビリオン〉の理念を象徴しています。

Victor Picon ©Cartier

組子にインスパイアされた印象的なファサードは、ドバイ万博の〈日本館〉で使用した資材を再利用しています。7,000点以上の部品からなり、釘もハンマーも使わずにすべて手作業で丁寧に組み上げられ、建設時の二酸化炭素排出量を大幅に抑えることに成功しました。

部材の再利用により、通常の工法に比べて二酸化炭素排出量を約50％削減。永続性（持続可能な建築）への取り組みをさらに強化するため、〈ウーマンズパビリオン〉には低炭素コンクリート「クリーンクリート®」を採用し、二酸化炭素排出量を最大60％削減しています。さらに構造フレームの75％に電炉鋼を使用し、基礎部分の鋼材はリース方式とすることで、環境への負荷を最小限に抑えました。

総床面積1,708.38㎡を誇る〈ウーマンズパビリオン〉は、プロミエ（2,000点以上の再利用可能な部品をQRコードで追跡・管理するシステム）をはじめ、最先端の建設技術をシームレスに組み込んでいます。

こうした革新的な技術は耐久性の高い建築を実現するだけにとどまりません。一時的な構造物における新たな基準を打ち立て、環境意識の高いデザインの指針を世界に示してもいるのです。

Victor Picon ©Cartier

繊細で精巧な組子ファサードをくぐった先には、生命力に満ち、絶えず変化する物語のような展示が広がります。

「Three Women」ではエズ・デヴリンと映画監督・河瀨直美氏が制作したショートムービーを鑑賞。吉本ばなな氏（小説家）、エムティハル・マフムード氏（詩人・活動家・科学者）、シエ・バスティダ氏（気候活動家）の3人の女性が登場します。続く「Three Pathways」では、3つのルートのうち1つに進みます。

Victor Picon ©Cartier

どのルートも最後は、日本語で休息や幕間を意味する「間（ま）」へと通じます。

瞑想的な空間で、オーバルに開いた開口部から光が射し込み、その光を受けるオーバルの暗いテーブルの上には、水が広がり、黒い小石が撒かれています。言葉のないその空間は、水と、光と、石とともに、人々が集う場所。「時（time）」を感じる「間（moment）」です。

Victor Picon ©Cartier

2階に位置する「WA」スペースは、アイデアの合流点としてアゴラ（ギリシャ語で人が集まる場所）の役割を果たし、講演会やパネルディスカッション、展示を通じて、主要なグローバル課題を掘り下げていきます。

6カ月の万博開催期間中、一般に開放される「WA」スペースでは、数々の魅惑のセッションが開催され、世界的なリーダーや先見性のある人々、専門家を招いて「大いなる地球」「ビジネスとテクノロジー」「教育と政策」「芸術と文化」「フィランソロピー」「役割とアイデンティティ」という6つの重要なテーマについて意見を交わし、人々の行動を喚起する発信をしていきます。

Victor Picon ©Cartier

KUMIKO facade diagram_Japan Pavilion

KUMIKO facade diagram_Women’s Pavilion

Plan

Elevation

建築DATA

パビリオン名：ウーマンズパビリオン in collaboration with Cartier
用途：展示場
敷地：大阪夢洲
延床面積：1,708.0㎡
共同出展者：内閣府、経済産業省、博覧会協会
設計：永山祐子建築設計
施工：大林組

構造設計：オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッド
照明計画：岡安泉照明設計事務所
植栽計画：荻野景観設計株式会社
グローバルアーティスティックリード：エズ・デヴリン
撮影：Victor Picon ©Cartier