「Minecraft カップ」とは、世界各国の教育現場で活用されているマイクロソフト社の「Minecraft(マインクラフト): Education Edition」を使用して創出されたプログラミング作品(ワールド)に対し、評価指標に基づいて審査を行い、表彰する作品コンテストです。
開催の背景と狙い
日本政府はICT教育を推進し、2020年から小学校でのプログラミング教育を必修としました。しかしながら、実際の教育現場では設備が整っていないところが多く、参考とされるモデルケースも不足しています。
子どもたちがプログラミングに接する機会は限定的であり、地理的ないし環境的な差異なく体験できる機会を提供することが現場の急務となっています。
このような状況を改善すべく、本大会では、子どもたちが等しくプログラミング教育や、デジタルなものづくりに触れる機会を設けて、幼少期からプログラミングの思考を醸成することを目指し、2019年より同コンテストを開催しています(主催:Minecraftカップ2020全国大会運営委員会)。
本大会では、世界各国の教育現場で活用されている「Minecraft: Education Edition」をツールとして指定し、大会にエントリーすると、同エディションが期間限定で貸与されます。
前回は小・中学生を対象としていましたが、今回は参加資格の年齢を9歳以上から18歳以下(2021年3月31日時点での年齢)まで引き上げ、参加資格も、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が拡大する中での開催ということもあり、複数人によるチーム編成ではなく、すべて個人としました。
今回の総エントリー数は1,770名、実際に作品が提出された483作品の中から、1次審査を通過したのは120作品(「Minecraft カップ2020」公式ウェブサイトにて2021年1月11日に発表)。続く2次審査では、コンテスト参加者の相互投票(ピアボーティング)を実施。20作品ならびにファイナリストが選出されています(マイクラカップ2020公式ウェブサイト内「バーチャル展示場」にて2月5日より公開、視聴にはMicrosoftアカウントが必要)。
審査員は7組(コロコロコミック編集部を含む)。日本初でアジアでも初のプロマインクラフターであるタツナミシュウイチ氏(Japan Crafuters Union[*1]代表、マイクロソフト認定教育イノベーター: MIEE)、動画クリエイターのKazu氏のほか、建築家の髙﨑正治氏(王立英国建築家協会名誉フェロー)も名前を連ねています。
ファイナリスト20名に対する最終選考の結果は、マインクラフト上に”建設”された表彰式会場にて、2021年2月21日(日)に発表されます。
主催者メッセージ:
全国の学校が休校となり、再開後も学校での過ごし方は大きく変わりました。しかし、このような変化は今回が初めてではありません。
過去の歴史を振り返ると、学校の形は大きく変化していますし、いまも日本と他の国の学校の形態は異なっています。みなさんの学校は、将来どんな学校になったらいいでしょうか?
教室・体育館・音楽室・運動場など、学校の施設は将来どんな形になっているのでしょうか?
Society5.0・SDGsなど、未来を考えるテーマを元に構想を広げて「Minecraft: Education Edition」のワールドで表現してください。
応募期間:2020年7月22日~11月23日(受付は終了しています)
参加対象:2021年3月31日時点で18歳以下の個人
募集部門:小学校低学年部門、高学年部門、中学生部門、高校生部門
応募要件詳細はこちら)。
受賞式
開催日時:2021年2月21日(日)
最終審査会 / 10:00-13:45
表彰式 / 15:15-16:50
会場:YouTube UUUMTV チャンネル
https://www.youtube.com/user/uuumtv
主催:Minecraftカップ2020全国大会運営委員会(構成団体:日本マイクロソフト、一般社団法人ICT CONNECT21、公益社団法人ユニバーサル志縁センター)
「Minecraftカップ2020」全国大会 公式ウェブサイト
https://minecraftcup.com/
*1.Japan Crafters Union(JCU):マインクラフトゲーム内のストアにワールドやスキンパックを出品する、Minecraft公式のプロマインクラフターたちが集まるコミュニティ。公式ウェブサイトおよびYouTubeチャンネルを公開し、日本のマインクラフターたちの技術力や発想を世界に向けて発信中。日本のクラフター文化を多くの人に伝え、海外からも注目されている。https://crafters-union.jp/
https://www.youtube.com/channel/UCo_ocdeVUXTy_Yz8Das5kmw/featured
マインクラフト(マイクラ)を使った教育現場での導入事例を、参考までに1つ、ご紹介します。
千葉県柏市にある麗澤中学・高等学校では、中等部2年生の2020年度の修学旅行として、伊勢・奈良・京都を訪問して日本文化について学ぶ予定でしたが、コロナ禍により、旅行が中止となりました。その後、同校では、生徒のアイデアを採用し、MinecraftによるICTを活用した日本文化研究へと移行しました。
具体的には、訪れる予定だった寺社仏閣などの建造物を、生徒がマイクラで建設し、再現しました(麗澤大学 2020年10月21日プレスリリース)。下の画像は作品例です(右:寺と倉庫、左:平城京の門)。
このように、マイクラのツールとしての1側面として、建築との親和性があります。建築士の資格や知識を有していなくても、容易に「建てる」ことができ、建てられるがゆえに、自由な発想で、現実世界では不可能な、法的には違法となるような建築でもビジュアルとして見ることができるという、バーチャル空間ならではの魅力があります。
今回の「Minecraftカップ2020」の上位20作品もそれぞれ独創的です。入賞者の中から、実際にリアル世界で活躍する建築家が輩出される日もそう遠くないかもしれません。(en)