鎧と人間をテーマに、現代性や人間性を問いかける美術作家、野口哲哉氏の展覧会が、群馬県立館林美術館(設計:高橋靗一 / 第一工房)にて、9月5日まで開催されます。
野口哲哉(のぐちてつや)プロフィール:
1980年香川県高松市生まれ。2003年広島市立大学芸術学部油絵科卒、2005年同大大学院修了。「鎧と人間」をモチーフに、 樹脂やアクリル絵具を使って彫刻や絵画作品などを制作する。
2016年香川県文化芸術新人賞受賞。
主な個展に、「野口哲哉展-野口哲哉の武者分類図鑑-」(練馬区立美術館、アサヒビール大山崎山荘美術館)、「中世より愛をこめて」(ポーラ ミュージアム アネックス)、「鎧ノ中デ-富山編-」(秋水美術館)。
著書に『侍達ノ居ル処。』(青幻舎 2014)、『野口哲哉作品集 〜中世より愛をこめて〜 From Medieval with Love』(求龍堂 2018)。
CHANELやAudi Japanなどの企業とコラボレーションした作品も制作。2015年には羽田空港国際線ターミナルでアートディレクションを手掛けた。
野口氏は、2009年に都内で開催されたグループ展に、シャネルと日本の甲冑をデザイン的に組み合わせた〈シャネル侍着甲座像〉を出品し、脚光を浴びました。以降、ユニークな世界観を形成する作品群を世に発表し続け、国内外から支持されています。
その作品は、鎧を着た人物が所在なくたたずんでいるかと思えば、風船を見つめていたり、頬杖をして居眠りをしていたり、鎧ウォークマンを聞いていたり、時には空中に浮かんだり、戦国時代のブランドロゴの付いた鎧を自然に着こなしたり。これらの彫刻作品は、プラスチックなど現代の材料も使いながら、博物館などから本物の甲冑の修理依頼を受けることもある野口氏がもつ、卓越した技術と豊富な専門知識に裏付けされたものです。
近年は絵画も製作している野口氏の作品は、いずれもユーモアを感じさせながら、どこか物悲しい雰囲気も帯び、そこには、目まぐるしく移り変わる文明の中で、喜びや苦悩といった矛盾を抱えながら生きる人間の姿が、時代を超えて、作家独自の鋭い視点で表現され、見る者の目に浮かび上がるのです。
本展では、鎧をまとう人々の彫刻や絵画など、初期から新作まで、代表的な作品・約180点が、5つの章立てで展示されます。サブタイトルの「THIS IS NOT A SAMURAI」とは、現代の素材と技術を使いつつ、史実に照らし合わせて極めて精巧に制作される野口氏の彫刻作品を言い表すと同時に、他人にレッテルを貼らない作家自身の作品世界をも表現しています。
本展は、2021年2月より香川、山口を巡回し、群馬会場で3カ所め。本展のあと、愛知会場(刈谷市美術館)に巡回します。
#朝日新聞 Arts & Culture YouTubeチャンネル「野口哲哉展―THIS IS NOT A SAMURAI 山口会場CM」(2021/04/02)
会期:2021年7月3日(土)~9月5日(日)
休館日:月曜(但し、8月9日、16日は開館)、8月10日(火)
開館時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)
会場:群馬県立館林美術館 展示室2・3・4
所在地:群馬県館林市日向町2003(Google Map)
観覧料:一般 830円、大高生410円、中学生以下、障害者手帳等を提示の方と介護者1名まで無料
主催:群馬県立館林美術館、朝日新聞社
協賛:野﨑印刷紙業
群馬県立館林美術館公式Webサイト
http://www.gmat.pref.gunma.jp/
野口哲哉展公式Webサイト
https://noguchitetsuya2021.exhibit.jp/