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「春日神霊の旅 —杉本博司 常陸から大和へ」

神奈川県立金沢文庫にて1/29より特別展開催

日本を代表する現代美術作家の1人、杉本博司氏が長年にわたり収集してきた、奈良の春日信仰を中心とする神道美術作品をはじめ、春日信仰とその周辺の美を紹介する展覧会が、神奈川県立金沢文庫にて1月29日より開催されます。

古美術の収集家としても知られる杉本氏は、日本の歴史・文化にも造詣が深く、2017年には自らの遺作と位置付ける「小田原文化財団 江之浦測候所」を設立。本展は、同財団と、会場となる神奈川県立金沢文庫、春日大社、日本経済新聞社の1社3団体の共催で開催されます。

「春日神霊の旅 一杉本博司 常陸から大和へ」出展作品

地蔵菩薩立像・春日神鹿像 鎌倉時代 個人蔵

本展では、東国所縁(ゆかり)でもあり[*後述]、称名寺・金沢文庫とも縁が深い、春日大社への信仰と、それにまつわる美術的にも価値の高い宝物やゆかりの品々が特別に公開されます。
さらには、称名寺と小田原文化財団が所蔵する史料や、杉本氏の作品もあわせて展示され、それらをとりまとめる杉本氏による会場構成も、本展の大きな見どころとなります。
杉本氏自身が登壇する特別講演会や連続講座シリーズなど、関連プログラムも各種開催予定。

杉本博司「春日神霊の旅に寄せて」

私はアーティストとしての霊感を何処からともなく感受してきた。若い頃は、それが私の心の底から湧いてくる何ものかだと思っていた。しかし齢を重ねるにつれて、もともと私の心は空虚で、その空虚を満たし来る何ものかによって、私は操られていると感じるようになっていった。特に30代から始めた古美術収集の過程で、私が特別に惹かれたのが平安初期の弘仁仏や貞観仏と呼ばれる仏像だった。まだ仏師と呼ばれるような職人集団が生まれる前。仏の姿は仏を感得し得た修行者のみがその姿を具現し得たのだ。それ以前の奈良時代、仏の姿は隋や唐の様式を真似て作られた。平安の御代になって、日本人は日本人の心に観想される仏を削りだせるようになったのだ。そしてその姿は神とも仏ともつかない混淆する姿になってゆき、それまでは、目には見えないとされてきた神の姿も形作られるようになる。

「春日神霊の旅 一杉本博司 常陸から大和へ」出展作品

春日鹿曼荼羅 鎌倉時代 個人蔵

私には私の心にも同じようなことが起きているのではないかと思うようになっていった。私は古美術収集の過程で、30代に春日鹿曼荼羅を入手し得たことによって、そしてその畫を毎日見続けることによって、その畫の精髄を我が身に浸透させることができたような気がした。それからというもの、不思議なことに私が探し回るというよりも先に、春日信仰に関連する古物が私の目の前に立ち現れるようになっていった。私には拒否権はないのだ。時には後になって、それが春日信仰の遺物であることが判り、私を驚かせることも度々あった。私の作品は私の収集とともに成長していったように感じる。

今私は、私の遺作と位置付ける「小田原文化財団 江之浦測候所」に春日社を招魂するにあたり、神護景雲二年、常陸から大和への旅の途次、神霊がこの地をお通りになった故事に思いを馳せ、この展覧会を企画することで、私の心の旅路をも辿れるのではないかと思う。この展覧会は私がいちばん見てみたい展覧会なのだ。


杉本博司(すぎもと ひろし)氏プロフィール
1948年生まれ。1970年渡米後、ニューヨークを拠点に制作を続ける。代表作に「海景」「劇場」シリーズがある。
2008年に建築設計事務所「新素材研究所」、2017年「小田原文化財団 江之浦測候所」を開設。古美術、伝統芸能に対する造詣も深く、演出を手掛けた『杉本文楽 曾根崎心中』公演は、海外でも高い評価を受ける。2019年秋には『At the Hawk’s Well(鷹の井戸)』をパリ・オペラ座にて上演。
主な受賞に、1988年毎日芸術賞、2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞。2010年秋の紫綬褒章受賞。2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲。2017年文化功労者。
日本経済新聞に連載された『私の履歴書』に大幅加筆した「影老日記』(新潮社)が2022年3月に刊行予定。

本展フライヤーの作品:春日神鹿像 鎌倉時代 公益財団法人小田原文化財団 補作:須田悦弘 撮影:小野祐次 題字:杉本博司

特別展「春日神霊の旅 —杉本博司 常陸から大和へ」

英題:JOURNEY OF THE KASUGA SPIRIT
会期:2022年(令和4年)1月29日(土)〜3月21日(月・祝)
※前・後期で展示替えあり:前期:2月23日(水・祝)まで、後期:2月25日(金)から開始
開場時間:9:00-16:30(入館は16:00まで)
休館日:月曜(ただし3月21日は開館)、2月24日(木)
会場:神奈川県立金沢文庫
住所:神奈川県横浜市金沢区金沢町142(Google Map
当日観覧料:20歳以上 800円、20歳未満・学生 600円、65歳以上 200円、高校生 100円、中学生以下・障がい者の方は無料
※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策のため、予約制を実施(公式ウェブサイトより申し込み)
https://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm

関連プログラム

特別講演会「春日信仰と小田原文化財団—春日神霊の旅展によせて」
開催日時:2022年3月19日(土)14:00-15:45
会場:小田原市三の丸ホール大ホール
所在地:神奈川県小田原市本町1-7-50
登壇者:花山院弘匡(春日大社宮司)、多川俊映(興福寺寺務老院)、杉本博司(現代美術作家、小田原文化財団設立者)、瀬谷貴之(神奈川県立金沢文庫主任学芸員)、湯山賢一(神奈川県立金沢文庫長 / 開会挨拶)
受講料:2,200円
聴講方法:要申し込み
申し込み方法:小田原文化財団および金沢文庫の公式ウェブサイトにて案内
※COVID-19の今後の拡大状況などにより、予定が変更される場合あり
※本講演会は、小田原市民ホール開館記念「市民優待企画」事業として開催される

講座「春日神霊の旅展」シリーズ(全4回)
詳細は神奈川県立金沢文庫ウェブサイトを参照
https://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm

公益財団法人小田原文化財団 概要
2009年設立、古典演劇から現代演劇までの伝承・普及、美術品等の保存・公開、現代美術の振興発展に寄与することを目的とし、2017年秋に開館した「小田原文化財団 江之浦測候所」を拠点にして、神奈川県および小田原市との協力関係のもと、活動を続けている。

公式ウェブサイト
https://www.odawara-af.com/ja/


神奈川県立金沢文庫 概要
鎌倉時代中期に執権北条氏一族の北条実時が、金沢(現横浜市金沢区)の屋敷に開いた武家文庫に起源を持つ。金沢文庫は、南北朝時代以降は隣接する称名寺に引き継がれたが、所蔵する「金沢文庫本」は、徳川家康をはじめ権力者達により持ち出され、現在は各所に伝来して国宝などに指定されている。
金沢文庫は、江戸時代には有名無実化したが、明治30年(1897)に伊藤博文により称名寺内に再興。称名寺に残った多数の宝物を公開した。昭和5年(1930)には昭和天皇御大典事業として、神奈川県立の施設として再整備。現在は国宝の称名寺・金沢文庫文書を中心に、2万点以上の文化財を保管。中世歴史博物館として、仏教文化や仏教美術などを主なテーマに、調査研究とともに展覧会も行っている。

公式ウェブサイト
https://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm

*注.春日大社は神護景雲二年(768)に、奈良盆地の東に位置する御蓋山の麓に造営された。その祭神は、第一殿が武甕槌命、第二殿が経津主命で、それぞれ常陸国(現茨城県)鹿島神宮、下総国(現千葉県)香取神宮から降臨されたとされる(いわゆる「鹿島立ち」)。すなわち春日大社は、平城宮鎮護の守護神ながら、東国とも所縁が深い。
また、春日大社は藤原氏の氏神とされ、氏寺である興福寺と密接な関係を持ちながら、我が国の神仏への信仰の中核を成してきた。鎌倉時代以降になると、東国仏教の拠点となった称名寺・金沢文庫に、膨大な仏教書である聖教が伝来。その中には、奈良ゆかり、とりわけ春日大社・興福寺に関するものが多数含まれており、両社寺の信仰を考えるうえで見逃せないものとなっている。

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『TECTURE MAG』への感想など、アンケートにお答えいただいた方の中から、本展の観覧チケットを2枚1組・計5名さまにプレゼント! (2月4日受付終了)

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受付期間:2022年1月26日(水)〜2月4日(金)終了
※応募者多数の場合は抽選
※結果発表:チケットの発送をもって了
※発送に関する個々の問合せには対応しませんのでご了承ください
※発送完了後、都道府県を除く住所情報は削除し、データとして保有しません

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設計は新素材研究所、ローカルアーキテクトは小大建築設計事務所
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