日本の映画館の歴史を辿り、観客の映画史に迫る企画展が、東京・京橋の国立映画アーカイブにて開催されます。
いま全国の映画館は、1カ所に多くのスクリーンを持ち、効率的経営を行うシネマコンプレックス(シネコン)が主流となり、映画が”娯楽の王”だった時代に建てられた豪勢な大型劇場や、どの都市の街角にもあった小さな映画館など、その多くは姿を消してしまいました。東京・浅草に日本初の映画常設館が誕生してから120年近く経ちますが、その間、私たちはどんな空間で映画を楽しんできたのでしょうか。
「映画館で映画を見る」という何げない行為も、震災、戦争、復興、経済成長、さらには昨今のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のような疫病の流行といった社会情勢や、人々のライフスタイルや暮らしのモードの変化とともに移り変わってきました。
この展覧会では、映画館の写真、プログラム、雑誌・書籍、実際に映画館で使われた品々などを通して、映画館の誕生、映画興行の発展期からミニシアターの時代まで、シネマコンプレックス登場以前の日本の「観客の映画史」に迫ります。
とりわけ、往年の貴重な興行資料を軸に、2つの大都市(川崎・北九州)の例を通して、映画館と人々のかかわりを示すとともに、建築としての映画館の変遷や、人の目に触れにくいフィルムの映写という技能にも着目します。見どころは、映画興行発展の象徴となった東京浅草六区、戦前期の映画館建築、劇場が発行したプログラム・雑誌、戦時下の映画館の状況、フィルム映写、大型劇場が開場した戦後の映画黄金期、映画館を飾った絵看板、日本各地の映画館、1980年代のミニシアターブーム、映画館をめぐる本といった多彩なトピックで、日本の映画館の歴史を辿ります。
本企画は、映画館に人々が集うことの意義を再び確認するとともに、映画の持つパワーを映画館という場所から捉え直す好機となるでしょう。
現時点で関連イベントの開催は未定。
5月18日は「国際博物館の日」につき、入場無料となります。
英題:Movie Theatres in Japan)
会期:2022年4月12日(火)〜7月17日(日)
休室日:月曜、5月24日(火)〜5月27日(金)
開室時間:11:00-18:30(入室は18:00まで)
*毎月末の金曜のみ開室時間を20:00まで延長(入室は19:30まで)
会場:国立映画アーカイブ 7F展示室
所在地:東京都中央区京橋3丁目7-6(Google Map)
料金:一般250円、大学生130円、
※65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者(付添は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
※割引を希望する学生、65歳以上、障害者、キャンパスメンバーズは入室の際、証明できるものを要提示
※5月18日「国際博物館の日」は無料
主催:国立映画アーカイブ
協力:チネチッタ、北九州市松永文庫
問合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)