COMPETITION & EVENT

TOTOギャラリー・間 企画展「How is Life?——地球と生きるためのデザイン」

キュレーターを務める塚本由晴、千葉 学、セン・クアン、田根 剛の4氏が世界の事例を通して問う「How is Life?」

TOTOギャラリー・間の運営委員を務める4氏(塚本由晴、千葉 学、セン・クアン、田根 剛)をキュレーターに迎えて開催される企画展。
本展タイトルの「How is Life?」という問いに対し、建築やデザインを介して気候変動や社会格差など私たちを取り巻く障壁に風穴を開け、成長を前提としない繁栄のあり方を示している、古今東西のプロジェクトが紹介される。

出展プロジェクト例

出展プロジェクト例 / Capital Agricole
SOA / Augustin Rosenstiehl, architecte | フランス、パリ、アルスナル建築博物館 | 2018 ©Yann Kebbi

出展プロジェクト例

出展プロジェクト例 / Agnes Denes in Wheatfield – A Confrontation Agnes Denes | アメリカ、ニューヨーク | 1982
Copyright Agnes Denes, Courtesy Leslie Tonkonow Artworks+ Projects, New York
Photograph: John McGrail

出展プロジェクト例

出展プロジェクト例 / 藤村記念堂
谷口吉郎 | 岐阜県 | 1947 ©菊池重三郎

主催者メッセージ
21世紀に生きる私たちは豊かな暮らしを享受する一方で、気候変動や社会格差、感染症の拡大等による世界情勢の変化など、さまざまな課題に直面しています。こうした状況を受け、地球環境に対し建築に何ができるのか、運営委員と議論を重ねてきました。その過程で、建築を「人びとの暮らしをよりよくすることに奉仕するもの」として捉え直し、生活に関連するあらゆる分野に目を向けてみると、私たちを取り巻く障壁に風穴を開けるような事例の芽がいたるところで見つかりました。こうした議論やリサーチが、建築やデザインを介した、成長を前提としない繁栄のあり方を探る本展のテーマ「地球と生きるためのデザイン(Designing for our Earth)」へと発展しています。

展覧会会場では、本展キュレーターチームからの問いかけ「How is Life?」に答えている古今東西の多彩な事例をリサーチから見いだし、紹介します。
一例として、2018年にフランスで開催された展覧会「Capital Agricole(キャピタル・アグリコール)」では、色鮮やかなドローイング等を通じて、農業と共存するパリと周辺都市の未来像を提示しています。「藤村記念堂」(岐阜県、設計:谷口吉郎)は、地元出身の文豪を慕う人びとの熱意に建築家が呼応し、物資に乏しい戦後の山村において、子供や女性を含む村人たちの手で1947年に建設されました。

かつて存在した営み、現在進行形で行われている取り組み、さらに今の日本ではまだ見ることができないもの――私たちが知る都市や建築とは別の可能性を感じさせるこうしたプロジェクトを提示することで、多様な解釈やさらなる議論を導くとともに、一人ひとりに気づきが生まれ、地球とともに生きていくための新たな視点を見いだしていただくことを期待しています。(TOTOギャラリー・間)

出展プロジェクト例

出展プロジェクト例 / 古民家ゆうぎつか
茅普請主催:小さな地球+東京工業大学塚本研究室 | 千葉県 鴨川市釜沼集落 | 2021- ©小さな地球

出展プロジェクト例

出展プロジェクト例 / 古民家下さん
改修:小さな地球+東京工業大学塚本研究室 | 千葉県鴨川市 釜沼集落 | 2021 ©小さな地球

展覧会コンセプト「How is Life?」

産業革命以降手に入れた生産力を背景に、成長を是としてきた人類の活動は、プラネタリー・バウンダリー[*1]を超え、気候変動や南北格差をもたらし、声をあげることのできない生物や将来世代を搾取し続けている。その対応策として、成長の原動力となった産業や便利な暮らしを維持しつつ環境負荷を低減させる行動がSDGsとして推奨されているが、事態はより深刻で、持続的成長ではなく成長なき繁栄[*2]を本気で検討しなければならないところまで来ている。そのためには産業分野だけでなく、暮らし自体を見直し、その構成要素の1つひとつを、地球に負荷をかけない方向に転換していかなければならない。
しかし、産業からサービスを買うことに慣れてしまった我々は、自らの手で衣食住やエネルギーを獲得するスキルをもたず、また産業社会的連関による包囲網はそこからの逸脱を容易には許さない。20世紀後半につくられた生産―消費―廃棄の想定を定着し続けてきた構築環境の中に暮らしていると、その想定を疑うことも容易ではない。そこで培われた自画像は、同じ想定に基づく構築環境や暮らしを再生産してしまう。その反復から抜け出して、成長なき繁栄を選ぶのならば、我々はどう生きるか?

建築が人々の暮らしをよりよくすることに奉仕するものであるならば、そうした包囲網を障壁として発見し、挑んでいくことから、建築的営為を始めるべきだろう。その時話し合いのテーブルにつくのは、今ここにいる自分達だけでなく、立場の弱い人、地球の別の場所にいる人、未来の人、そしてヒト以外の生物かもしれない。
「How is Life?」という、彼ら、そして私達自身への問いかけを、建築展という形にする試みに、ご期待あれ。

*1.プラネタリー・バウンダリー
Rockström, Johan, et al. “A safe operating space for humanity.” Nature, vol. 461, no. 7263, 24 Sept. 2009, pp. 472+.
*2.成長なき繁栄
Tim Jackson (2009). Prosperity without Growth. Earthcan.(ティム・ジャクソン 田沢恭子訳『成長なき繁栄 ―地球生態系内での持続的繁栄のために―』一灯舎、2012年)

TOTOギャラリー・間 企画展「How is Life?――地球と生きるためのデザイン」

TOTOギャラリー・間 企画展「How is Life?――地球と生きるためのデザイン」キュレーターの4氏(左上から時計回りに:塚本由晴、千葉 学、田根 剛、セン・クアン) ©Anna Nagai

キュレーター:塚本由晴、千葉 学、セン・クアン(Seng Kuan)、田根 剛
アシスタントキュレーター:平尾しえな、アナスタシア・ゴリオミティー(東京工業大学大学院塚本由晴研究室)
展示デザイン:アリソン理恵(ARA)、飯田将平+下岡由季(ido)

TOTOギャラリー・間 企画展「How is Life?――地球と生きるためのデザイン」

TOTOギャラリー・間 企画展「How is Life?——地球と生きるためのデザイン」開催概要

会期:2022年10月21日(金)~2023年3月19日(日)
開館時間:11:00-18:00
休館日:月曜・祝日(2023年2月11日[土・祝]は開館)・年末年始休業期間(12月26日[月]〜2023年1月9日[月])
入場料:無料
入場方法:予約制(TOTOギャラリー・間ウェブサイトにて受付)
*会場ではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡⼤防⽌対策を実施
会場:TOTOギャラリー・間
所在地:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
問合せ:TEL.03-3402-1010
主催:TOTOギャラリー・間
企画:TOTOギャラリー・間運営委員会(特別顧問:安藤忠雄 / 委員:千葉 学、塚本由晴、セン・クアン、田根 剛)
後援:一般社団法人東京建築士会、一般社団法人東京都建築士事務所協会、公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部、一般社団法人日本建築学会関東支部

TOTOギャラリー・間 ウェブサイト
https://jp.toto.com/gallerma

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