2023年1月23日初掲・実施概要掲載、7月18日公開2次審査開催概要を追記、10月14日結果発表を追記
愛知県西尾市に建設予定の「生涯学習センター(仮称)」の設計者を選定する公募型設計競技がコンペティション方式で実施されます[*]。
西尾市のウェブサイトにて、2023年1月23日にコンペの実施要領が公表されました(その後、9月9日に最終審査、9月26日に西尾市が結果を発表)。
「生涯学習センター(仮称)」は、西尾市および西尾市教育委員会が進めている計画で、既存の老朽化が進む2つの施設、「中央ふれあいセンター」と「にしお市民活動センター・アクティにしお」を統廃合し、多目的な複合施設建設するもの。
建設地は、市内の山下町城南にある、移転を予定している「西尾公園テニスコート」跡地および「西尾公園の一部(テニスコートに隣接する部分)」。
西尾市生涯学習課【公式】西尾市生涯学習センター(仮称)設計者選定設計競技 実施要領 動画配信(3)建設地(2023/01/17)
建設地:愛知県西尾市山下町城南23番地(Google Map)
敷地面積:8,354.81m²
延床面積上限:2,600m²程度(建築面積:2,900m²)
※外構部で駐車場と公園(2,5000m²程度)の整備を計画
施設コンセプト:「共生社会実現のために全世代の市民が集う多様な学び・交流の場」
基本方針:
1.多様な個人が共存可能となる「心の安らぎ」を感じられる場のデザイン
2.歴史文化及び自然環境と調和する建築・ランドスケープのデザイン
3.維持管理・運営がしやすく持続可能性に配慮した施設のデザイン
選定委員会:
審査委員長:千葉 学(建築家、東京大学大学院 工学系研究科教授)
審査委員:伊藤恭行(建築家、名古屋市立大学大学院 芸術工学研究科教授)、小野田泰明(建築計画者、東北大学大学院 工学研究科教授)、加茂紀和子(建築家、名古屋工業大学大学院工学科教授)、手塚由比(建築家、手塚建築研究所)
選定点数:
最優秀案(1点)
優秀案(1点):謝金(予定)30万円
佳作(3点程度):謝金(予定)各30万円
スケジュール(以下は予定、変更の場合は西尾市ウェブサイト等にて発表あり):
令和5年(2023年)1月23日 (月):実施要領公表
同年2月1日(水)〜2月28日 (火):応募希望者からの質問受付期間
同年2月27日(月):応募希望者に対する建設地視察会(2月20日までに要申込)
同年3月1日(水)〜3月13日(月):本コンペ登録期間
同年3月22日(水)〜4月10日(月):登録者からの質問受付期間
同年5月8日(月)〜5月12日(金):1次審査用提案図書等の提出期間 ※期日必着
同年5月15日(月 〜5月19日(金):事務局による書類確認期間
同年6月中旬:1次審査(非公開)で5案程度を選出
同年6月23日(金):2次審査に進む登録者に1次審査結果など諸事通知
同年8月31日(木):2次審査用提案図書等(A1パネル、模型など)の提出期限 ※期日必着
同年9月9日(土):2次審査 ※ファイナリストによるプレゼンテーションと審査委員会によるヒアリングを公開で行う(注.選定委員会での審査は非公開)
※会場では最終審査の提案図書(模型とパネル)の閲覧が可能
日時:2023年9月9日(土)12:00-16:00(開場 11:00)
会場:西尾コンベンションホール
所在地:愛知県西尾市花ノ木町4丁目64番地(Google Map)
定員:300名
内容:ファイナリスト5組によるプレゼンテーション(各15分)、選定委員会による質疑(各20分)※プレゼンテーションの順番は当日朝に決定
ファイナリスト:ihrmk / 斎藤信吾建築設計事務所 / 砂越陽介一級建築士事務所 / タトアーキテクツ / 千田建築設計
観覧方法:要申込(西尾市電子申請システム(以下のURL)にて8月1日~18日受付、会場定員を超えた場合は抽選)
https://www.shinsei.e-aichi.jp/city-nishio-aichi-u/offer/offerList_detail?tempSeq=76858
※動画配信あり:ファイナリスト5組のプレゼンテーションおよび選定委員会との質疑応答の様子は、西尾市生涯学習課公式YouTubeチャンネルにて当日18:00より動画配信を予定
https://www.youtube.com/channel/UCD2zyqUak-TqRjo4IHKqiJA
問合せ先・本設計競技および選定委員会 事務局:西尾市教育委員会事務局 生涯学習課 西尾市生涯学習センター(仮称)整備推進室
「西尾市生涯学習センター(仮称)設計者選定設計競技」詳細
https://www.city.nishio.aichi.jp/sangyo/nyusatsu/1001494/1008112.html
審査後のスケジュール(予定)
同年9月26日(火):設計者選定結果
同年9月下旬:優先交渉権者と委託業務協議等
同年10月上旬:基本設計・実施設計の一括契約締結
※カッコ内は応募登録者の代表者
最優秀案
斎藤信吾建築設計事務所(斎藤信吾)
優秀案
ihrmk(井原正揮)
佳作
砂越陽介一級建築士事務所(砂越陽介)
タトアーキテクツ(島田 陽)
千田建築設計(千田友己)
審査講評(最優秀案の選定理由)
最優秀案となった斎藤信吾建築設計事務所の案は、敷地の外周に沿って「逍遥空間」と呼ぶ回廊状の空間を設け、そこにぶら下がるように多世代交流広場やあゆみ学級、コンパスなどの目的室を連ね、さらにこれらの部屋群に囲まれるようにして公園を配置するという提案です。さまざまな目的、多様な利用者が使うことになる生涯学習センター(仮称)において、それぞれの部屋の独立性やプライバシーを担保しつつ、逍遥空間を介し、また公園を介して多彩な交流を築こうとする狙いは、施設の趣旨を的確に捉えたもので、魅力的です。
またこの公園を、近隣の学校に通う児童も自由に通り抜けられるようにしているところは、ここでの活動が地域にごく自然に浸透していくことにもつながりそうで、好感が持てます。
果たして逍遥空間は単なる廊下にはならないのか、各部屋と公園のつながり方は単調ではないか、分棟は管理が難しくないかなど、いくつかの懸念点も指摘されましたが、こうした点は、今後具体化する過程で発展的に解決できるポテンシャルがあること、また各部屋の配置や繋がり方や将来に向けての用途変更など、長
期にわたって使用される公共施設に必要な可変性も備えている点を高く評価し、最終的に最優秀案に選定しました。(選定会 審査委員長 千葉 学)
審査後のスケジュール
2023年度(令和5年度):基本設計(設計者との市民ワークショップ開催予定)
2024年度(令和6年度):実施設計
2025年度(令和7年度):整備工事
2026年度(令和8年度):整備工事
2027年度(令和9年度):供用開始
*.本設計競技会では、公共建築では未だ実例の少ないコンペ方式による選定を効率的かつ効果的に進めるため、選定委員(5名)の選出などの面で、第三者的立場で公共建築設計のプロセスをサポートする日本建築家協会(JIA)東海支部の支援を受ける。
また、応募者に対する参加資格の門戸を広げ、建設地の動画をYouTubeにて事前に複数配信するなど、信頼性とチャレンジ精神を高めたコンペ方式にて実施するとしている。(西尾市報道発表資料より)
西尾市ウェブサイト 本コンペ審査結果
https://www.city.nishio.aichi.jp/sangyo/nyusatsu/1001494/1008112.html
※本稿 イメージパース画像提供:西尾市