東京オペラシティ アートギャラリーにて、美術家の野又 穫(のまた みのる|1955-)の展覧会が開催されています。
1999年に開館したアートギャラリーは、東京オペラシティの共同事業者でもある寺田小太郎(1927-2018)が、東京オペラシティの文化事業に賛同し協力するために現代アート作品の収集を開始し、その後は篤志により同館に収蔵された「寺田コレクション」を中心とし、開館以来、所蔵品展として広く公開されています。
野又 穫が描く作品世界をこよなく愛した寺田は、1980年代から毎年、収集を続けたといいます。現在では代表作40点余がアートギャラリーに収蔵され、国内最大の所蔵館となっています。
本展は、アートギャラリーの企画展示室では初となる野又の個展です。同館のコレクションはもとより、初期から最新作まで、野又作品を総覧することができる構成の大規模展です。
目の前に広がる見知らぬ風景に、不思議な構築物がそびえ立つ。なぜか懐かしさを感じさせる野又 穫の絵画は、架空の光景と一言で片付けることのできない、現実と地続きにある非現実とでもいうべき独特の世界が特徴です。
野又は東京藝術大学でデザインを学んだ後、広告代理店のアートディレクターとして勤務するかたわら絵画制作に取り組みました。1986年に佐賀町エキジビット・スペースで開催された個展を皮切りに、いくつかの個展を開催して作家活動に専念することとなり、以降「知る人ぞ知る」作家として熱心なファンの注目を集めてきました。
2020年にイギリスの有力ギャラリー、ホワイト・キューブにてオンライン個展が開催された後、同ギャラリー所属が決まり、一躍世界を舞台とする作家となりました。そのきっかけとなったのが、2004年に東京オペラシティ アートギャラリーで開催された、ドイツの写真家、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans|1968-)の作品展との同時開催による野又の個展でした。来日していたホワイト・キューブの現ディレクターが野又の個展を見、そのときの記憶が年月を経て2020年に結実、さらに今日の国際的な注目へとつながりました。
一人のコレクターの眼から始まった作家と美術館の長年の関係、そして世界へ。点が線で結ばれて星座がつくられるように、いくつもの幸せな出来事によって編まれた物語とも言うべき本展にご期待ください。(主催者メッセージ)
会期:2023年7月6日(木)〜9月24日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
所在地:東京都新宿区西新宿3丁目20-2(Google Map)
開館時間:11:00–19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜休)、全館休館日8月6日(日)
入場料:一般1,400円、大学・高校生800円、中学生以下無料
※同時開催「収蔵品展076 寺田コレクション ハイライト(後期)」、「project N 91 小林紗織」の入場料を含む
主催:公益財団法人東京オペラシティ文化財団
協賛:ジャパンリアルエステイト投資法人
協力:ホワイト・キューブ
アートギャラリー公式ウェブサイト
https://www.operacity.jp/ag/