ミニマル・アートの代表的な彫刻家のひとり、カール・アンドレ(Carl Andre|1935–2024)の作品を紹介する展覧会が、千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館で開催されます。作家夫妻と所属ギャラリーの全面的な協力を得て実現した、国内の美術館では初の個展となります。
カール・アンドレは、木材・金属・石といった素材を工業製品のような同一規格に加工し、床に直接並置した作品および展示スタイルで知られています。それについてアンドレは、自身の作品が置かれる周りの空間に作用することを含めた作品であり、「場としての彫刻」という言葉で表しています。
本展では、〈スクエア〉や〈カーディナル〉をはじめとする代表的な床置きの大型彫刻13点が展示されます。大型彫刻の展示のため、DIC川村記念美術館では天井高7m、約400m²の企画展示室を仮設壁で区切らず、開放的に使用するとのこと。そのほか、日本では紹介されることが稀という「小さな彫刻」も8点が来日します。
またアンドレは、詩の仕事も残しました。タイプライターで断片的な単語を打ち込んで構成されるアンドレの詩は、彫刻に通ずる空間的、構造的な認識や、文学、美術、歴史、政治など、作家自身の幅広い思考が反映されたもので、文字情報を読みとるだけでなく、それ全体を鑑賞することができる作品でもあります。
本展では、初期の詩のアンソロジーである〔セブン・ブックス〕から厳選された約40ページを、作家本人のデザインをもとに制作した展示台で紹介します。これに〔ユカタン〕全26ページを合わせて、アンドレの制作を多角的に紹介します。
カール・アンドレ(Carl Andre)プロフィール
1935年アメリカ・マサチューセッツ州の工業都市クインシーに生まれ、詩を共通の趣味とする両親のもとに育つ。同州アンドーバーにある名門フィリップス・アカデミーで学んだ後、ヨーロッパ滞在や兵役を経て、1957年にニューヨークに居を移し、出版社で職を得る。
1958年より、アメリカの抽象絵画を代表する画家で彫刻家のフランク・ステラ(Frank Stella|1936-)とスタジオを共有し、コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncu|1876-1957)に影響を受けた、鑿(のみ)で木に切れ込みを入れる彫刻を制作。1960年から約4年間ペンシルヴェニア鉄道で制動手として勤務する傍ら、詩作やユニット状の木を組み合わせる〈エレメント〉シリーズに取り組む。1964年にグループ展で初めて作品を発表、翌年にティボール・ド・ナギ・ギャラリーで初個展を行う。1966年「プライマリー・ストラクチャーズ」展に137個のレンガを直列に並べた〈レヴァー〉を出品。ほどなくして正方形の金属板を並べた床置き彫刻の制作を始め、アメリカ、ヨーロッパなどの各地で、空間にあわせて規模の異なるさまざまな作品を発表する。1970年「第10回日本国際美術展(東京ビエンナーレ):人間と物質」の招聘作家として来日。
そのほかの主な展覧会として〈作品の37番目のピース〉を発表したグッゲンハイム美術館における1970年の個展、1996年「Carl Andre Sculptor 1996」、2014年「Sculpture as Place 1958-2010」などがある。
2024年1月24日にニューヨークにて逝去。
会期:2024年3月9日(土)〜6月30日(日)
会場:DIC川村記念美術館
所在地:千葉県佐倉市坂戸631(Google Map)
開館時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
入館料:一般 1,800円、学生・65歳以上 1,600円、高校生以下無料
※障害者手帳の提示で本人と付き添い1名まで無料
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:DIC株式会社
協力:ポーラ・クーパー・ギャラリー、ギャラリーヤマグチ
後援:千葉県、千葉県教育委員会、佐倉市、佐倉市教育委員会
本展詳細
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2024/carlandre/
DIC川村記念美術館 ウェブサイト
https://kawamura-museum.dic.co.jp/
DIC川村記念美術館 SNS
https://twitter.com/kawamura_dic
https://www.instagram.com/kawamura_dic_museum/
https://www.youtube.com/user/KawamuraMuseum