人間の目の錯覚などを利用した空間や絵柄の作風で知られる、オランダを代表する版画家のマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898-1972年)の大規模展が、富山市内にて開催されています。内藤廣建築設計事務所が設計して2017年に開館した富山県美術館にて、6月30日まで。
本展は、オランダのエッシャー財団の全面的協力のもと、エッシャーの代名詞ともいえるいわゆる「だまし絵」的な作品のルーツを見出せる、活動初期のイタリア滞在時代の風景画から、世界的にも知られる代表的な作品まで、約160点が展示されています。
エッシャーは自身を「芸術家」ではなく「版画家」と位置付け、版画というジャンルにこだわり続けた作家でした(水彩画や油彩画などは残されていない)。ある1つの形を幾何学的に展開して平面をくまなく覆い尽くす「テセレーション(敷き詰め)」や、ひとつの形が次第に別の形へと変形する「メタモルフォーゼ(変容)」など、人間の視覚や錯覚を利用することで不思議な魅力を放つ作品群は、驚くほど複雑かつ繊細な作業となる手彫りの木版やリトグラフで制作されています。没後から50年余が経ち、デジタル全盛期で芸術作品の複製や加工が容易となった現代の私たちの目には、アナログな手法で卓越した表現を追求した版画家の姿がより新鮮なものとして浮かび上がってきます。
会期中は、担当学芸員によるギャラリートークやワークショップなどもあわせて開催されます(詳細は富山県美術館ウェブサイトを参照)。
北日本新聞創刊140周年記念「エッシャー 不思議のヒミツ」
会期:2024年4月27日(土)~6月30日(日)
会場:富山県美術館
所在地:富山県富山市木場町3-20(Google Map)
開館時間:9:30-18:00(入館は17:30まで)
休館日:水曜
観覧料:一般 1,500円、大学生 1,000円 ※高校生以下無料
※企画展入場当日に限り、コレクション展も観覧可
※障がい者手帳の提示で本人と付き添い1名まで無料
ギャラリートーク「エッシャー 不思議のヒミツ」
開催日(掲載時点で終了した回を含む):4月28日(日)、5月3日(金)、5月19日(日)、5月25日(土)、6月1日(土)、6月16日(日)
会場:富山県美術館2階 企画展示室2,3,4
参加方法:申込不要
参加費:無料(ただし、当日有効の本企画展観覧券が必要)
主催:富山県、エッシャー展実行委員会(富山県美術館、北日本新聞社)、NHK富山放送局、NHKエンタープライズ中部
協力:アルテミジア、M.C.エッシャー財団、マウリッツ
企画協力:NHKプロモーション
協賛:大谷製鉄、塩谷建設、ダイト、東亜薬品、東洋ガスメーター、日東メディック、前田薬品工業、リードケミカル、リッチェル(五十音順)
問い合わせ先:富山県美術館(TEL.076-431-2711)
富山県美術館ウェブサイト
https://tad-toyama.jp/