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「自然素材と同じ密度をもつリアテックで空間の質を上げる」

[Interview]サンゲツ空間デザインコンテスト審査員・山田紗子

本物(リアル)素材の質感(テクスチャー)を再現し、高いデザイン性と機能性をもつ粘着剤付化粧フィルム「リアテック」。サンゲツでは「リアテック」の発売30周年を記念して、初めての空間デザインコンテストを開催します。

9月より募集が始まっているコンテストの審査員にインタビューする第2弾となる今回は、建築家の山田紗子氏(山田紗子建築設計事務所 代表)に、リアテックの印象やどんな設計に使ってみたいか、また応募作品に期待する点をうかがいました。


リアテックの第一印象は「バリエーションがすごい!」

山田:初めてリアテックの見本帳を見たとき、木目調や石目調それぞれの種類がものすごく多く、「リアルでもこんなにもバラエティに富んでいたかな」と思うほどでした。艶のあるものやマットなもの、ちょっとした表情の違いのものまであって、これを空間で体験したら面白いだろうなと感じました。

「天然素材か、壁紙か」ではない、もう1つの選択肢になりうる

山田:自然の素材がもつテクスチャーの密度は、取り入れることでその空間の質が変わると思っています。なぜか毎回新鮮味を感じる空間というのは、天然のものを使っているからだと気づくことがあります。

しかし実際は天然石など、ものすごく高価で思うように使えない事例も多くあります。だからといって「使えないから壁紙でいいか」とするのはさみしいですよね。リアテックは、本物かそうでないか一見分からないほどの意匠性があるので、空間に使うことでインテリアの奥行きの深さを出すことができるし、私たちのような設計者の創作活動でとてもいいツールだと感じています。

継ぎ目のない加工とレストランテーブルに耐える機能性に期待

山田:今、大分県で牧場の再生プロジェクトを進めています。大きな食堂があるのですが、空間もメニューもリニューアルする予定です。一面ガラス張りになっていて牧草地が眺められるレストランに、海外の祝祭やヨーロッパの結婚式のように多くの人が囲める長いテーブルを製作しようと考えているところです。

少し湾曲していて、長さが大きいほうで15m、小さいほうでも8mほどあるのですが、部材を並べていくのではなく、天板をずーっと道のように続くように表現したいのです。そこで、なるべく斜めに継ぎ目を見せず、シームレスでつながっていくような仕上げにできないかと検討しています。

意匠性やシームレスに仕上げたいことも重要なのですが、食堂のテーブルなのでちゃんと水拭きができたり、冷たい飲み物のコップを提供したときに輪染みができない、傷つきにくいといったことなども必要な要素になります。リアテックは抗菌や防カビの性能をもつタイプがあると聞きました。強度もあるそうなので、リアテックを使ったテーブル製作に挑戦してみたいと思います。

大分県にある牧場の再生プロジェクトイメージ

床、壁、什器の仕上げを揃えられるラインアップと施工性

山田:床や壁、什器を同じ素材で店舗デザインなどをやってみたいと思っています。たとえばコンクリートの床からコンクリートの什器が出てきたような空間をつくろうとしたとき、コンクリートの床にコンクリート製の什器を置くことはできますが、インテリアとしては重くなってしまいます。テナントに入るショップなどではリニューアルや入れ替えのことも考えると、天然素材と遜色ない意匠性のあるリアテックは選択肢になりますね。いろいろな色の石やモルタル調のリアテックも使ってみたいです。

リアテックは粘着剤が付いたシートなので、施工性がよいのも魅力ですね。リノベーションの現場だと工事を始めてみたら下地がさまざまだったということもよくあります。改めて下地をすべて入れ直すとなると費用も時間もかかるので、自由度が高いシート状のリアテックは使いやすそうだなと思います。

—— どんな応募作品に期待されますか?

山田:普通に壁に貼っただけでなく、リアルな建材ではなかなかできない曲面に加工したものや、家具に使っていたり、「こんなところに、こう使うんだ!」という発見があったらいいなと思います。

リアテックを空間に取り入れることで、空間に軽さや重さといった変化をもたせられた事例などがあればぜひ見てみたいですね。

カタログやサンプルを手に取って、「これが壁一面に貼られたらどうだろう」といろいろ想像しますが、その想像を手助けしてくれるのはやはり実例写真です。リアルな素材感を活かしたさまざまな空間の施工例を楽しみにしています。

山田紗子(山田紗子建築設計事務所 代表)

1984年東京都生まれ。大学在学時にランドスケープデザインを学び、藤本壮介建築設計事務所で設計スタッフとして勤務の後、東京芸術大学大学院に進学。在学時に東京都美術館主催「Arts&Life:生きるための家」展で最優秀賞を受賞し、原寸大の住宅作品を展示する。独立後の主な仕事として、屋内外を横断する無数の構造材によって一体の住環境とした〈daita2019〉、形や色彩の散らばりから枠にとらわれない生活を提案した〈miyazaki〉などの住宅作品や、樹木群と人工物が渾然一体となる環境を立ち上げる2025年大阪・関西万博休憩施設(2025年公開)などがある。

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