
「時の流れに寄り添いながら更新されてきた建築」を巡る展覧会が各地で開催されます。百貨店や図書館、邸宅など、かつて多くの人々と時間を共有してきた空間は、その歴史を受け継ぎつつ、時の流れとともに新たな空間の表情をまとっていきます。丁寧に守られ、受け継がれてきた意匠や空気感に触れながら、建築の記憶を辿る穏やかな時間の旅に出かけてみませんか。
国の重要文化財でもある東京都庭園美術館にて、年に一度の建物公開展「建物公開2025 時を紡ぐ館」が開催されます。アール・デコ様式の邸宅として設計されたこの建物は、朝香宮家の私邸として竣工され、吉田茂元首相の政務の場、国の迎賓館、民間の催事施設、そして現在の美術館へと、時代の流れの中でその役割を変えながら様々な歴史を紡いできました。本展では、それぞれの時代にゆかりのある作品や写真・映像資料を通して建物の歴史にが紹介されます。また、今回は約6年ぶりとなる夏の開催となり、緑豊かな庭園を望む窓辺の展示や、3階のウインターガーデンの特別公開も実施されます。
建物公開2025 時を紡ぐ館
会期:2025年6月7日(土)〜 2025年8月24日(日)
会場:東京都庭園美術館
駒澤大学旧図書館(禅文化歴史博物館・耕雲館)が国の登録有形文化財(建造物)に登録決定したことを記念し、展覧会が開催されます。本展覧会では、設計者である菅原榮蔵の活躍についての紹介から、彼が強く影響を受けたフランク・ロイド・ライトの建築様式を受け継ぐライト風(式)建築とは何か、関東大震災後の復興建築としての図書館について、菅原榮蔵と本学を結んだ縁についてなどが紹介されます。
有形文化財(建造物)登録記念企画展 大正モダン 復興の図書館
会期:2025年5月12日(月)〜 2025年7月31日(木)
会場:駒澤大学 禅文化歴史博物館
妹島和世+西沢立衛 / SANAAが手がけた、パリの老舗百貨店「ラ・サマリテーヌ」の修復と再生に焦点を当てた展覧会。アール・ヌーヴォーとアール・デコという二つの時代を象徴する建築様式が共存する本館の歴史を背景に、閉鎖後10年以上に及んだ修復プロセスと、2019年にホテルやオフィスなどを含め新たに生まれ変わった複合施設としての姿が紹介されます。過去の記憶を受け継ぐ建築が現代に再生され、新しいランドスケープとして再構築されていく姿を体感できる展覧会です。
ランドスケープをつくる ラ・サマリテーヌ 修復と再生
会期:2025年5月20日(火)〜2025年7月13日(日)
会場:東京都庭園美術館 正門横スペース
参照元:東京都庭園美術館、駒澤大学ウェブサイト
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