
東京都庭園美術館の敷地内、正門横の展⽰スペースにて、特別展示「ランドスケープをつくる ラ・サマリテーヌ 修復と再生」展が5月20日より開催されています。
〈ラ・サマリテーヌ(La Samaritaine)〉とは、フランス・パリのセーヌ川にかかる橋のなかでも著名なポン・ヌフの右岸(北側)に建つ老舗の百貨店です。
百貨店としての創業は1870年。1890年に現在の地に当時最先端の建築工法を用いて、アール・ヌーヴォー様式の建物が建設されました。1926年にはアール・デコ様式で建物を増築。長年にわたり、パリ市民に愛されてきましたが、2005年に安全上の理由から建物を閉鎖。その後、ルイ・ヴィトンなどのトップブランドを有するLVMHグループが建物を取得し、建物の再生プロジェクトが立ち上がりました。
ラ・サマリテーヌ(La Samaritaine)セーヌ川対岸からの遠景 Photo: iStock.com / Wirestock
改修されたポン・ヌフ館のほか、SANAAが設計した新館のリヴォイ館で構成される
アール・ヌーヴォー様式の装飾が美しい吹き抜け大空間で知られる「ポン・ヌフ館」の改修に加えて、同館の北側にあるリヴォイ通りに接して新館が建設されており、波打つガラスファサードが特徴的なこの「リヴォリ館」の設計を、建築家の妹島和世氏と西沢立衛氏が率いる建築設計事務所、SANAA(サナア)が担当しています。
ラ・サマリテーヌ(La Samaritaine)リヴォイ館 ファサード Photo: iStock.com / Jerome LABOUYRIE
ラ・サマリテーヌ(La Samaritaine)リヴォイ館 外観 Photo: iStock.com / Paul Bella
ラ・サマリテーヌ(La Samaritaine) Photo: iStock.com / YASEMIN OZDEMIR
ラ・サマリテーヌ(La Samaritaine)ポン・ヌフ館 外観 Photo: iStock.com / HJBC
10年以上におよんだ設計・改修工事期間を経て、2019年にホテルやオフィスなどからなる複合施設としてリニューアルオープンしたラ・サマリテーヌ。百貨店としても2021年6月に営業を再開し、グランドオープンを果たしています。この間、コロナ禍となった2020年には、ルイ・ヴィトンが新作発表の舞台としてポン・ヌフ館の吹き抜け大空間でファッションショーを開催、話題となりました。
ルイ・ヴィトンが2021年春夏 ウィメンズ・コレクションを、SANAAが改修設計を手がけるパリの老舗百貨店〈ラ・サマリテーヌ〉で開催
本展は、SANAAが参画した、〈ラ・サマリテーヌ〉の修復と再生の物語に焦点をあてた特別展示です。
欧州でも指折りの都市であるパリにおいて、19世紀の建物をいかにして現代に甦らせ、さらに未来へと引き継いでいくかを命題に、パリの新たな風景(ランドスケープ)となっていったのか、その過程をあらためて紹介しています。
修復作業の様子 / Restoration of glazed lava stone © Vladimir Vasilev for La Samaritaine.
「ランドスケープをつくる ラ・サマリテーヌ 修復と再生」展 会場風景 ©︎ y.tanase
会期:2025年5月20日(火)〜7月13日(日)
開場時間:10:00-18:00
会場:東京都庭園美術館 正門横スペース
入場料:無料
休館日:月曜(祝日の場合は開館し、翌平日に休館)
主催:東京都庭園美術館、フェルミエ
協力:ラ・サマリテーヌ
問合せ先:東京都庭園美術館(TEL.03-3443-0201)
詳細
https://www.teien-art-museum.ne.jp/news/la-samaritaine_news/
#Samaritaine Paris Pont-Neuf YouTube: Le renouveau du quartier Samaritaine ©Elqui Films(2019/06/13)注.再生と同時に音声が流れます