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文化庁およびジンズ(JINS)協力のもとで実施され、前年に建築されたなかからベスト1を一般参加型で選ぶ「みんなの建築大賞 2026」。
みんなの建築大賞推薦委員会(委員長:五十嵐太郎東北大学大学院教授)は2月16日、「みんなの建築大賞2026」において、一般投票の結果、大阪・関西万博シグネチャーパビリオンの〈null²〉(ヌルヌル/プロデュース:落合陽一、設計:ノイズほか)が大賞を受賞したことを発表しました。
また、推薦委員会は「推薦委員会ベスト1」に、同じく万博で大きな話題となった〈大屋根リング〉を選定。今回から新設された「JINS賞」には、〈ラビットホール〉が選ばれました。同賞はジンズホールディングス代表取締役会長CEOの田中 仁氏により、ノミネート10作品から選定されたものです。
(施設名の後は主たる設計者)
〈null²〉
落合陽一、ノイズ(NOIZ)、フジタ・大和リース特定建設工事共同企業体、乃村工藝社、ワウ(WOW)、アスラテック ほか

Photo: 磯 達雄

Photo: 平塚 桂(左)、宮沢 洋(右)

Photo: 津川 学(左)、平塚 桂(右)

大賞を受賞された落合陽一氏(Photo: TEAM TECTURE MAG)
〈大屋根リング〉
藤本壮介、忽那裕樹、東海林弘靖、東畑・梓設計JV、大林組、清水建設、竹中工務店

Photo: 菅原由依子(左)、加藤 純(右)

Photo: 菅原由依子(左)、加藤 純(右)

Photo: 加藤 純(左)、高木伸哉(右)
〈ラビットホール〉青木淳@AS

Photo: 白井良邦(左)、倉方俊輔(右)

Photo: 倉方俊輔

Photo: 五十嵐太郎(左)、白井良邦(右)
■田中 仁氏のコメント
「ラビットホールは、完成を目指さず、使われ、壊され、更新され続けることを前提にした建築と聞いて納得しました。用途や意味を固定せず、行為の積み重ねによって空間が変化していく姿勢は、変化を恐れず挑戦を重ねる我々JINSの思想と深く重なると感じます。過剰な装飾を剥ぎ、最低限の条件だけを残すことで、人と活動に主導権を委ねる。その余白こそが、次の創造を生み続ける力になると考え、JINS賞を贈りたいと思います。」

旧香川県立体育館(画像提供:旧香川県立体育館再生委員会)
今回、推薦委員会は、完成したプロジェクトではないため一般投票の対象とはされていませんでしたが、戦後建築の活用提案において新たな方向性を示したことを称え、〈旧香川県立体育館再生計画〉(旧香川県立体育館再生計画委員会)に「特別賞」を授与することも併せて発表されました。
解体か? 再生か? 丹下健三の名建築 “船の体育館”をホテルなどに転用して民間で活用する事業案・2案を旧香川県立体育館再生委員会が提案
一般投票の5位までの結果は以下の通り。
2位〈大屋根リング〉
3位〈広島駅南口ビル〉
4位〈東海国立大学機構Common Nexus〉
5位〈ニシイケバレイ〉

上位5件の得票数と3メディアの内訳
総評/五十嵐太郎
みんなの建築大賞は、3年目を迎え、投票数が飛躍的に増えたことが、大きな成果だった。その牽引力となったのが、大阪・関西万博から選ばれ、2トップの競り合いがあった「null2」と大屋根リングである。やはり、国民的なイベントにおいて建築の存在が広く意識されたことを示すだろう。通常、万博のパビリオンは、外部のデザインと内部のコンテンツが乖離しがちであるという宿命をもつが、「null2」は両者を連続的につなげることに成功した奇跡的なプロジェクトだった。また、これをプロデュースしたメディアアーティストの落合陽一氏によるnoteのテキスト「最後くらいリングに勝ちたい」は、印象に残った。大屋根リングについても、藤本壮介氏がプレゼン総選挙の番組とは別に、約13分バージョンの動画を公開している。いずれもSNS上で多くの投票を集めるとともに、万博を楽しんだ人たちからありがとうというコメントが多く寄せられていた。そしてX(旧twitter)、InstagramとGoogleフォームの3つのプラットフォームにおいて、「null2」がいずれも最多の得票を集め、みんなの建築大賞に決まった。圧倒的に規模が違う相手に対するジャイアントキリング、おめでとうございます。また大屋根リングは、候補となる10作品に絞る際、推薦委員からもっとも多く挙げられていたことから、推薦委員会ベスト1となっている。
3位と4位となった広島駅南口ビルと東海国立大学機構Common Nexusは、誰もが空間を体験できる公共的な性格をもつ施設であり、おそらく地元からも愛され、票を集めたのだろう。さて、みんなの建築大賞の候補となった10件のプロジェクトは、昨年と同様、リノベーション系の作品が多い。すなわち、ニシイケバレイ、霞ケ浦どうぶつとみんなのいえ、ド・ロさまと歩くミュージアム 大平作業場跡、横浜美術館 空間構築、ラビットホールであり、半数を占める。そしてGinza Sony Parkは新築だが、どこかリノベーション的な感覚をもつ挑戦的なプロジェクトだった。かつてこうしたアワードは、新築ばかりが当たり前だったが、これからは定常化するかもしれない。個人的に興味深いのは、霞ケ浦どうぶつとみんなのいえ、横浜美術館 空間構築、ラビットホールは、ポストモダン建築に対する介入だったこと。モダニズムのリノベーションはめずらしくないが、ポストモダンもそうした対象となる時代に突入したことを実感する。知的かつ遊び心のある操作を探求したラビットホールは、今回新設されたJINS賞に選ばれた。
また推薦委員からそれぞれ3作品を挙げてもらうなかで、旧香川県立体育館再生計画が入っていた。本来、みんなの建築大賞は、竣工したプロジェクトに与えられるものであり、対象外のノミネートとなる。しかしながら、建築の専門外に広く推したいものを応援する賞という性格をもつことから、投票の対象とはしない代わりに、例外的に特別賞の枠で、その試みを選ぶことにした。(五十嵐太郎東北大学大学院教授)
投票の参考として、ノミネート建築10選の設計者によるライブ解説が2月5日にオンライン配信で開催されました。全設計者が出演した内容は、2月末まで見逃し配信中です。
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(タイトル写真:みんなの建築大賞推薦委員会、TEAM TECTURE MAG)
3rd “Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—” Announces Grand Prize and Nomination Committee’s Top Selection
Executive Office of “Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—”
The Executive Office of “Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—” today announced that 〈null²〉, won the Grand Prize, selected based on public votes, in “2026 Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—,” presented by the Nomination Committee (Chairman: Taro Igarashi) with the cooperation of the Agency for Cultural Affairs, Government of Japan and JINS Inc.

Photo: Tatsuo Iso
The Executive Office of “Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—” also selected the 〈Grand Ring〉, which became a hot topic at the Expo, as the “Recommendation Committee’s Best 1.”
The newly established “JINS Award” was awarded to 〈THE RABBIT HOLE〉. The award was selected from 10 nominees by Hitoshi Tanaka, Chairman and CEO of JINS Holdings.

Photo: Yuiko Sugawara(left)、Jun Kato(right)
“Japan Architecture Award—Architecture Awards for Everyone—” is an architectural award selected by a nomination committee, consisting of approx. 30 professionals committed to promoting architecture to the general public, and popular vote. The first award was held in 2024.
The nomination committee selected 10 architectural works, completed or announced in 2025, that they are “passionate about communicating to the world” and announced them as the Top 10 Greatest Architectural Works. The 10 entries were posted on “X”, “Instagram”, and “Google Forms”. The entry that received the most “likes” during the voting period from February 1 to February 10 was selected as the Grand Prize.
The Agency for Cultural Affairs and JINS Inc. endorsed the purpose of this award and cooperated in its implementation.
The following lists the 2025 Top 10 Greatest Architectural Works, selected by the nomination committee in the first stage (in the order of the project titles in the Japanese syllabary)
Top 10 Greatest Architectural Works
1) Grand Ring
2) Lake Kasumigaura Animal and a place for everyone
3) Ginza Sony Park
4) Tokai National Higher Education and Research System Common Nexus
5) Walking around the museum with Marc Marie de Rotz
6) NISHIIKE Valley
7) null²
8) Hiroshima Station South Exit Building
9) Renovation of the Yokohama Museum of Art / Space construction
10) THE RABBIT HOLE