京都を拠点に活動中の彫刻家・名和晃平氏の個展「At Random」が、東京・原宿に新たにオープンするアートスペース・seeen Harajuku(シーンハラジュク)にて11月1日より開催されます。
表参道から南側に路地を入った敷地に新築された建物を、名和晃平氏と同氏が率いるSandwichが設計しており、建築とアートが呼応した会場構成となるのも見どころです。

表参道から〈seeen Harajuku〉が建つ路地の眺め

〈seeen Harajuku〉外観



〈seeen Harajuku〉建築概要
〈seeen Harajuku〉は、彫刻家・名和晃平とSandwichが設計を手がけた、1F~4Fの4フロア構成の上質なアートスペースです。曲面を積み重ねた彫刻的なルーバーの外観「Shading Drapes」は、商業エリアの喧騒から自身を切り離し、周囲から浮き出たような異質な存在感を醸し、建築そのものが、原宿・神宮前の通りでひと際目を引く作品となっています。洗練された無垢な空間だからこそ、あらゆるクリエイティブな企画が自在に馴染み、その魅力を最大限に引き立てます。コンテンポラリーアートの展示をはじめ、ハイブランドのイベント、ワークショップやレクチャーなど、クリエイティブにまつわる多様で質の高い体験を生み出す場として機能します。
原宿・表参道エリアは、東京の商業と文化の前線であると同時に、古くからの住宅街が立ち並ぶ閑静な場でもあります。〈seeen Harajuku〉はその中において、クリエイティブの先端を拓き続けながら、展示やイベント、ワークショップといったかたちで地域へと還元し、地元のコミュニティやアート愛好家、観光客、若者から高齢者までが交流を深める、地域に根ざした文化芸術の拠点として醸成されていく予定です。
都市環境に新たな文化的価値をもたらす触媒として、seeenHarajukuは、日本と世界へ向けて発信し続けます。(本展プレスリリースより、文中敬称略)
















展覧会ステートメント
名和晃平|Sandwichが手掛けたアートスペース『seeen Harajuku』の杮落としとなる記念展
seeen Harajukuでは2026年11月1日(日)から11月28日(土)にかけて、彫刻家・名和晃平の個展「At Random」を開催します。
名和とSandwichが設計を行った建築全体——4つのフロアと階段室——に広がる本展では、「記憶の断片」をキーワードとした新作〈PixCell-Memorandum〉を含む多様な作品シリーズが展開されます。イメージやマテリアル、テクスチャが絶えず交錯し、相互にフィードバックを繰り返しながら進む名和の創作プロセスは、一見ランダムのようでありながら有機的なつながりを帯びています。本展ではそうしたダイナミックな展開の数々が、空間体験と呼応しながら立ちあらわれます。
グローバルな情報の流動がますます激しくなるとともに、それらを学習したAIが絶えず言葉やイメージを生み出す現代。私たちの記憶はすでに、断片的かつ多元的なものとなっています。世界は記憶の断片の組み合わせによってかたちづくられており、そこでは過去と現在、自己と他者の境界がゆらぎ続けています。名和はこうした情報環境における私たちの経験を、新たな知覚として提示します。
とりわけ、私たちが暮らす都市空間は膨大な情報刺激で満たされ、一種の飽和状態にあります。seeen Harajukuはそうした喧騒からいったん意識を切り離し、クリエイションを通じた深い知覚体験に没入するための場所として構想されました。建築は影を纏ったかのような黒いルーバー状の外皮と、無数のアルコーブを備えた洞窟的な内部空間によって構成され、それ自体がひとつの彫刻としての存在感を湛えています。そこに名和の作品群が呼応することで、本展特有の鑑賞体験があらわれます。
会場では、彫刻・平面・インスタレーションといった作品たちが、形態や色彩、イメージを通じてゆるやかに響き合います。名和の代表作である〈PixCell〉やそこから派生した〈Prism〉、日本初公開となる〈Spark〉、AIという新たな知性の到来をあらわした〈Throne〉、ボックス型の構成によって独立した彫刻となった〈Biomatrix〉など、作品群はそれぞれに、これまでとは異なる側面や関係性を垣間見せています。また、ルーバー状の外皮のテクスチャを思わせる〈Plotter〉の描線や、螺旋階段の中央でトップライトに向けて伸び上がる新型の〈Ether〉など、その共鳴関係は建築空間自体へと広がっています。
特に2階では、名和が近年試みている「PixCell」の絵画的展開のひとつ〈PixCell-Memorandum〉が初公開されます。同作は、名和が国内外の都市で撮影した写真を断片化し、それらを“画素”に見立てて再構成したイメージの表面に、無数のセルを敷き詰めた平面作品です。都市の記憶の断片は視点に沿って現れては消え、あらたなイメージを絶えず描出し続けます。(本展プレスリリースより、文中敬称略)

〈PixCell-Random〉(detail) © Kohei Nawa | Sandwich Photo: Nobutada OMOTE

〈PixCell-Flamingo〉(detail) © Kohei Nawa | Sandwich Photo: Nobutada OMOTE

〈Spark〉(detail) © Kohei Nawa | Sandwich Photo: Nobutada OMOTE

〈Dune#69〉 © Kohei Nawa | Sandwich Photo: Nobutada OMOTE

〈Throne (p_pyramid) 〉 © Kohei Nawa | Sandwich Photo: Nobutada OMOTE

出展作家:名和晃平
会場:seeen Harajuku
所在地:東京都渋谷区神宮前6-1-7(Google Map)
会期:2026年11月1日(日)〜11月28日(土) ※会期中、休館なし
開場時間:12:00–18:00
入場料:無料(予約不要)
https://seeen.jp/harajuku








Kohei Nawa
彫刻家 / Sandwich Inc.主宰 / 京都芸術大学教授
1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003 年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。2009 年「Sandwich」を創設。感覚に接続するインターフェイスとして彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸に創作を続ける。彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。近年では、アートパビリオン〈洸庭〉など、建築のプロジェクトも手がける。2015年以降、ベルギーの振付家ダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品〈VESSEL〉〈Mist〉〈Planet [wanderer]〉〈Mirage〉を制作。2018年にフランス・ルーヴル美術館ピラミッド内にて彫刻作品〈Throne〉を特別展示。2023年、フランス・セーヌ川のセガン島に屋外彫刻作品〈Ether(Equality)〉を恒久設置。近年の個展として、「Sentient」(SCAI THE BATHHOUSE、東京、2025)、「Photon Camp」(Pace Gallery、ロサンゼルス、2026)がある。
kohei-nawa.net
@nawa_kohei
彫刻家・名和晃平が主宰するクリエイティブ・プラットフォーム。サンドイッチ製造工場をリノベーションした建築を拠点として、2009年に京都・伏見で活動を開始。現在では近隣に「Annex」「Maxima」、東京・代官山に「DR」といった拠点を加え、複数の場が連携しながら成長を続けている。そこは作品制作やプロジェクト進行を担うスタッフたちのスタジオ/オフィスをはじめ、素材の可能性を実験するラボ、制作用の機器や道具を開発する工房、各地の企業や伝統技術の担い手と協働するためのハブといった、多様な役割を有している。さらに、学生とアートの現場をつなぐ実践的教育プログラムや、国内外のアーティストやコラボレーター、ゲストを迎えるレジデンスなどの取り組みも行っている。その活動は狭義のアートにとどまらず、建築、インテリア、デザイン、ファッション、パフォーマンスなどへと広がっており、さまざまな領域の才能が互いに影響し合いながら、実験的なプロジェクトを日々進行している。
sandwich-cpca.net
※本稿の画像はすべて Sandwich および seeen Harajuku 提供