東京の秋を彩るデザインとアートの祭典「DESIGNART TOKYO(デザイナート トーキョー」が10月30日に開幕、11月8日に最終日を迎えます。
今年のメイン会場「AUTUBAHN」での取材に続いて、プレスツアーで回ることができた、サテライト参加を含むいくつかの会場をレポートします(特記なき会場は11月8日最終日|特記なき画像とバナーを除き、TEAM TECTURE MAG撮影)。
「DESIGNART」は、東京というまちを移動して、普段は足を向けない企業の社屋やイベントスペースに入れるのも魅力の1つ。銀座4丁目にある王子ホールディングス本館1Fエントランスでは、日本を代表する製紙会社とwe+(ウィープラス)によるリサーチプロジェクトの初披露が行われています。
「私たち王子ホールディングスは、紙をつくるだけでなく、国内外で森林経営にも取り組んでいます。森を資源として語るだけではなく、私たちと森の関係性に焦点をあて、改めて考え直すきっかけをつくりたいと考え、ウィープラスにプロジェクトの企画と、それを人々に伝える表現の部分、展示デザインもお願いしました」(王子ホールディングス プロジェクトメンバー談)

Forest: Perspectives by Oji Holdings Corporation 展示風景
日光を模して光をあてた木を中心に円形に組まれた展示(展示デザイン:we+)
主催:王子ホールディングス(以下、一部で王子HDと略)
企画・制作:we+(ウィープラス)、王子マネジメントオフィス クリエイティブ本部 / 王子の森活性化推進部
会場:王子ホールディングス本館 エントランス
開場時間:平日 9:00-17:30 / 土日祝 9:00-19:00
関連トークイベント:11月7日 17:00- (ゲスト:佐野文彦)
https://www.designart.jp/designarttokyo2026/exhibitions/13780/

今回のプロジェクトに「森の観察者」として参加した、we+のほか、デザイナー、造形作家、音楽家、陶芸作家、料理人ら9組それぞれの視座からの「森」が表現されている(森の観察者:貝山伊文紀、田中堅大、中山なつき、ホールアース自然学校、前田エマ、三上奈緒、村瀬健一、王子ホールディングス)
グラフィックデザイン:NEW Creators Club
ライティング・編集:HATO文化編集部
翻訳:大場千穂
写真:小川真輝、村瀬健一
動画:村瀬健一
サウンド:田中堅大
施工:椿や

展示について解説するwe+(ウィープラス)の林 登志也氏。「we+の場合、腐りかけている木の内側を素材にできないかと考え、紙漉きの要領で分散したものを漉いて、接着剤を一切使わずに木の繊維の絡み合いだけでシートマテリアルをつくりました。我々はやはりそういうものづくりの視点で森を見るのですが、事業者である王子HDは腐木を森を育む栄養と捉える。ほかにも、鹿の目から見た森のイメージを写真家が考えたり、料理家にとって森は食べものの宝庫であり、そこに石を3つ組めば竈門ができて、煮炊きして出た灰などを肥料として森に還すとか、9組それぞれのアウトプットになっています」
「今回のプロジェクトでは、王子HDが静岡・朝霧にもっている社有林でリサーチを行っています。森はとても多様で複雑で、数回足を踏み入れただけではとても理解できません。森とは何か?という定義は地域によって異なり、森林定義についてカウントしている海外の研究者によれば900以上ある。そんな森について伝えようとしたとき、我々デザイナーは森で採取したモノからつくったアウトプットという表現になるのですが、それだけでは絶対に何かが欠落してしまうと思い、さまざまな職能の皆さんに参加してもらい、彼らの視点とともにここで提示したいと考えました。
王子HDさんでは計画的に植林をしていて、1サイクルが70年から100年と長い。木は植えてから70年後にようやく原料として使えるようになるからです。洋紙も和紙も、針葉樹や広葉樹といった異なる種の木からつくられるのですが、展示にある枝の1つ、モミの木は、約70年前に製紙のために植林されたものです。でも近年、技術の進歩などもあって今では材料にとして使われなくなっています。とはいえ、生物多様性の観点からすれば、森の中にモミの木があるのは決して悪いことではない。70年前に紙づくりのために植えた木が、今では別の役割を森の中で担っている。そんな知られざるストーリーに触れたりして、森について考えるきっかけになればと、今回の展示空間をデザインしました」(林氏談)

帝国ホテル 本館 xorium「AUTONOMA」
協力:帝国ホテル
クリエイター:xorium(エクソリウム)
会場:帝国ホテル 本館1F The Rendez-Vous AWA(ランデブー AWA)
開場時間:10:00-22:30
※17:00以降に鑑賞する場合は1ドリンクの注文要

xorium「AUTONOMA」

「MALLOW COLLECTION 2026」展示について解説するデザイナーの橋倉 誠氏
MEDICAL「MALLOW COLLECTION 2026」
会場:OKUROJI H05区画
開場時間:10:00-19:00
デザインディレクション: 橋倉 誠
展覧会デザイン:MAKOTO HASHIKURA DESIGN
企画・制作コーディネート:藤原彩花

okurioji G14区画 展示風景
クリエイター:作品キャプションの通り
会場:日比谷OKUROJI G13区画
開場時間:11:00-20:00

藤堂真也「MONUKE | Table Lamp Series」

坂本陽太郎「Schattenrequisit: Column」 部分

ITOMA「影を生ける」

「Industrial Romanticism 2」会場風景
概要:8社のインハウスデザイナーによるプロトタイプ展の第2弾
参加企業(参加デザイナー):シャープ(古井翔真、山本莉沙)、ソニーグループ(森本 壮、村井 薫、小坂真由)、TOTO(迎 義孝、中村亜湖、耿 海博)、パナソニック(根岸美月)、富士フイルム(亀井敬太、田口 雄)、ポーラ(中山雄介、松本亜弓)、三菱電機(大橋美紗子、南出由裕、本村祐貴)、ヤマハ
会場:アクシスギャラリー
開場時間:11:00-20:00(最終日は17:00閉場)
https://mag.tecture.jp/event/20261029-160933/

HAY TOKYO「TAKE A SEAT」

HAY TOKYO「TAKE A SEAT」
概要:ジャスパー・モリソンがHAYのために初めてデザインしたチェア〈Pack Chair〉と、アイスランド出身のデザイナー、グドムンドゥル・ルドヴィクがデザインした折りたたみ式チェア〈Backflip Chair〉を10月30日より展示(DEAIGNART TOKYO 2026 メイン会場「AUTUBAHN」EXHIBITIONでも展示)
会場デザイン:山本大介 / DAISUKE YAMAMOTO DESIGN
会場:HAY TOKYO
営業時間:11:00-20:00

21B STUDIO 個展「ハコ」会場風景
クリエイター:21B STUDIO(有村大治郎、コエダ小林、時岡翔太郎)
会場:TIRES GALLERY
開場時間:11:00-19:00
https://www.designart.jp/designarttokyo2026/exhibitions/13781/

有村大治郎・コエダ小林・時岡翔太郎の3名によるデザインスタジオ・21B STUDIO の有村氏がプレスツアーのために展示について解説

21B STUDIO 個展「ハコ」会場風景

21B STUDIO 個展「ハコ」会場風景

セイコーウオッチ「からくりの森」会場:LIGHT BOX STUDIO
主催:セイコーウオッチ
クリエイター:荒牧 悠(アーティスト)、鈴木康洋(デザイナー)、三好賢聖(デザイナー・研究者)、セイコーウオッチ
会期:2026年10月30日(金)〜11月23日(月)
会場:LIGHT BOX STUDIO
https://www.designart.jp/designarttokyo2026/exhibitions/13757/

荒牧 悠〈ムーブムーブメントメント / Move movement ment〉
「腕時計の針を眺める時、私たちは今現在の時間を示すものとして、時刻や経過した時間を読み取ります。秒針をダイヤルから離して長く伸ばしてみると、時刻を示すものから、時間をともなう動きそのものを眺めるものへと変わっていきました。機械式腕時計が細やかに刻む振動を、さまざまな形の線や点を付属させることで際立たせ、時間を見ているけれどいつの間にか時間を忘れて動きを眺めることになります。」

鈴木康洋〈時の花・時の模様 / Flowers of Time / Patterns of Time〉
「機械式腕時計の速度を制御する脱進機の歯車である『がんぎ車』は、一見すると歯車には見えず、その働きも想像しにくい独特な形状をしています。また、腕時計の歯車は軽量化によって性能が高められ、その過程で独自の造形へと発展してきました。本作品は、こうした機械式腕時計の歯車造形に着想を得て、歯車を「花」や「模様」のように見立てながら、実際に時を刻む機構として再構成した作品です。」

三好賢聖〈時のエレメント / Elements in Time〉
「昨年制作した〈時のムーブメント〉を発展させ、今年は機械式腕時計のパーツや、それらに着想を得たフォルムを用いた楽器をつくりました。がんぎ車や極小ねじを収めたガラスの器と、ぜんまいのようにしなる金属の帯が、セイコーウオッチのムーブメントに由来する6・8・10振動のリズムで音を奏でます。腕時計を精密につくるなかで生まれた形やサイズ、弾性は、打楽器のアンサンブルとしてどのような音を聴かせてくれるのでしょうか。」

三好賢聖〈時のエレメント / Elements in Time〉展示風景

セイコーウオッチ デザイナー〈時のダンス / Dance of Time〉
「自動巻機構をもつ機械式腕時計は、日常の何気ない腕の動きでぜんまいを巻き上げ、そのぜんまいがほどける力で針を動かしています。本作品では、腕の代わりに風の力で回転錘と呼ばれるおもりを回し、そこで生まれたエネルギーが、針の軸に取り付けた人形の身体へと伝わり、生き生きとしたダンスを披露します。風によって命を吹き込まれ、踊り出す小さな人形たち。その姿は、機械式腕時計もまた、人の日常の動きによって命を吹き込まれ、人と共に時を刻んでいることに気付かせてくれます。」

セイコーウオッチ デザイナー〈1/6秒の世界 / The World of One-Sixth of a Second〉
「6振動の機械式腕時計の秒針は、1秒ごとではなく、機械内部の振動に合わせて1/6秒ごとに時を刻んでいます。本作は、人が認識するにはあまりに短い「1/6秒の世界」を、秒針の動きを原動力とした絵のコマ送りによって可視化しています。心拍や瞬きなど、人が無意識に繰り返す生命活動と機械式腕時計の細かな運針を重ね合わせ、生命が鼓動の連なりによって営まれるように、時計もまた精緻な律動を積み重ねながら時を刻んでいることを表現しています。」

石巻工房コレクション展「Moving Forward」
会期:2026年10月17日(土)〜11月15日(日)
営業時間:10:00-18:30(L.O.18:00)
会場・グラフィックデザイン:Keiji Ashizawa Design
スタイリング:中田由美
https://mag.tecture.jp/event/20261030-160948/


両社のデザイナーによる共同研究の様子(主催者提供)
主催:シチズン時計 デザイン部、ヤマハ デザイン研究所
会場:HOME/WORK VILLAGE 2階スペース+MIDORI.so Ikejiriギャラリー
開場時間:金土日・祝日 11:00-21:00(最終日 18:00閉場)
https://www.designart.jp/designarttokyo2026/exhibitions/13758/

シチズン×ヤマハ デザイン展「FIND RHYTHM」展示風景

シチズン×ヤマハ デザイン展「FIND RHYTHM」展示風景

シチズン×ヤマハ デザイン展「FIND RHYTHM」展示風景

作品解説のシートをまとめると冊子になるようにデザインされている

会場は旧池尻中学校をコンバージョンした複合施設
今年の開催エリアに新たに加わった池尻では、上記・HOME/WORK VILLAGEのほか、GREEN BOX IKEJIRIも今年初めて参加しています。池尻の住宅街で築70年以上の民家をPONDEDGE建築設計事務所がフルリノベーションした1棟貸しのハウススタジオ兼ギャラリーです。

〈GREEN BOX IKEJIRI〉のフルリノベについてプレスからの質疑に応じる鈴木淳平氏(PONDEDGE建築設計事務所 代表)
展示内容:インドのテキスタイルデザイナー・ Morii Darshan による作品展示 / 近隣のOFS galleryで開催中の「POSTERS 新作展」サテライト展示 / Studio KINOKOによる展示「かたちと機能の戯れ」
会場:GREEN BOX IKEJIRI
開場時間:12:00-20:00

3F 展示風景

3F展示会場からの見下ろし

〈GREEN BOX IKEJIRI〉1Fからの見上げ

1F展示風景
会期:2026年10月30日(金)〜11月8日(日)
注.会期が異なる会場あり
エリア:銀座・日比谷・六本木・外苑前・表参道・原宿・代官山・池尻
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会
発起人:青木昭夫(MIRU DESIGN)、川上シュン(artless)、小池博史(NON-GRID)、永田宙郷(TIMELESS)、アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)、マーク・ダイサム(Klein Dytham architecture)
DESIGNART TOKYO 公式ウェブサイト
https://www.designart.jp/designarttokyo2026/
SNS ※作品の詳細や出展者へのインタビュー動画などあり
Instagram:@DESIGNART_TOKYO
X:https://twitter.com/DESIGNART_TOKYO
Facebook:https://facebook.com/designart.jp
Text and photos taken on the day were by Naoko Endo / TEAM TECTURE MAG