FEATURE
Interview with Keiji Ashizawa
ARC-X | TECTURE MAG
FEATURE2021.03.29

Special Interview: ARC-X - Creates space, Fits into space

芦沢啓治インタビュー:空間をつくる、空間になじむ。ARC-X で空間を整える

FEATURE2021.09.30

Special Interview with Keiji Ashizawa: Latest case study of ARC-X

【インタビュー動画】芦沢啓治「空間に馴染み 引き締めるARC-X」

落ち着きのある、上質な空間をどのようにつくるか。
リアルな空間に身を置くときに感じ取る印象や雰囲気は、デザインのコンセプトとともに、ディテールまで細心の注意を払って整えることに大きくかかっている。

質感の高い住宅や別荘、ホテルなどの施設を設計する芦沢啓治氏(芦沢啓治建築設計事務所代表)は、空間のトーンをどのように整えているのか。

また、家具などのプロダクトデザインも多く手掛ける芦沢氏は、空間に表出するプロダクトをどのように選び、納めているのか。

芦沢氏が設計した〈Karimoku Commons Tokyo〉にて、人工大理石を磨いた上質な質感をもつ「ARC-X」の製品を確かめながら、語っていただいた。

Movie & photographs: toha

■トーンを調整して上質な空間をつくる

「空間全体でどういう材料が使われて、どういう空間になるのかということは考えます」という芦沢氏。

「空間に出てくる素材や色、ディテールなどを踏まえて全体をイメージして、あるいはサンプルをすべて机の上に並べてプロジェクトごとの方向性を決めます。それが空間のトーンというか、“色”になります」。

芦沢氏は普段の設計で、空間のトーンをどのように整えているのだろうか。
「自分は、空間にノイズがあまりないほうがいいと思っていて、まずはノイズをなくす方向で設計します。ただ、ノイズを完全になくせばいいのかというと、そういうことでもなくて。例えば、ここのリノベーション事例では、天井のブレースなどを現しています。ブレースを隠すために天井を張ると、今度は天井高が低いことが気になってしまう。また、ブレースには建物の特性のような面白さが現れているので、残す判断をしました。リノベーションでは、選択の仕方を考えることになります」と芦沢氏は語る。

今回のスペースでは、既存の鉄骨の柱や梁、ブレースといった要素を明るめのグレーで塗装している。
芦沢氏はその意図を「通常は鉄骨に塗るような色ではないグレーを塗ることで、壁の存在感に寄せました。フローリングの床と組み合わせることで、ふわっとした印象の見せ方にしています」という。

 

■空間に取り入れるプロダクトの選び方

建築やインテリアのほか、家具やプロダクトのデザインも手掛ける芦沢氏は、モノが空間に置かれたときの佇まいを重視する。

「製品が空間に出てくるようであれば、きちんとデザインされたものを選ぶことが重要です」という芦沢氏は、空間設計でプロダクトを選ぶ際のポイントについて次のように語る。
「最もインパクトがあるのは、サイズです。例えば、照明器具ではフォルムやデザインもさることながら、ボリューム感は大切な要素です。
製品は、空間の中で動かないからですね。考えすぎなんじゃないか、ということもあるんですけど、サイズやボリューム感、どのような質感をしていて、どういうエッジやディテールを持っているかという情報を頭の中に入れておきます。そのうえで設計をしていくことができるようになれば、何か考えられているな、という空間にはなりますよね」。

芦沢氏は「ARC-X」の洗面器を目にして、次のように感想を口にした。
「手や顔を洗うという機能がきちんと現れていて、すごく使いやすいだろうなと思います。
白くてどこまでも、光と影でできたような質感ですよね。すごくきれいな質感だと思います。何か他のモノも映り込まないですし。自分は、モノの形がはっきりと分かって、光と影が出てくるほうが好みですね。
この洗面器はカーブがものすごく柔らかいから、そこに自然光が入ってくるといいな、と思います。それと、ツヤのないテクスチャーで、上からシュポッっと照明の光が当たると綺麗だろうなとか。とても良い印象ですよ」。

そして芦沢氏はすぐに、製品の周りをデザインすることに思いが及んだ。
「洗面ボウルが美しければ、その美しいフォルムを見せられるような土台をつくりたいですよね。例えば今は木の板に載っていて、ものすごく綺麗に見える。この洗面器と同じ色にしても綺麗だろうし、異素材で組み合わせても綺麗でしょう。お互いにとって良いことになるというのが、重要だと思っています」と芦沢氏は語る。

■統一されたシリーズが生み出す空間のリズム

住宅では空間の中に現れる衛生機器が、インテリアのトーンを整えるうえでポイントとなることがある。

芦沢氏は「ARC-X」の洗面器のシリーズを例に挙げ、次のように説明する。
「ボウルのエッジの出方は、こちらは少し柔らかくて、隣の製品では少し角が立っています。『今回は柔らかい空間をつくりたい』と思う場合はこちらを選びますし、『少しだけピリッとさせたい』という場合は隣のほうを選びます。柔らかい印象のほうを選ぶ場合は、ハンドルなども丸いものを選んでいくように、関係性は考えますね。
同じデザイン言語でずっと統一していくと、普通は気づかないけれども、やはり落ち着くものです。空間で過ごす人が同じリズムで使えることは、とても重要ではないか思います」。

ARC-Xでは、面や角のつくり方で「Round square」「Square」「Round」の3つのシリーズをラインナップする。

さらにサイトでは、それぞれの洗面器に対して設置な可能な水栓金具を、自動的に提案してくれる。
設計者にとってもクライアントにとっても選びやすく、空間を整えやすい製品であるといえる。

芦沢氏は「製品からディテールを引っ張りながら洗面空間をつくっていくというアプローチでも、空間全体を整えられる気がしますね」と語る。

■シンプルでプリミティブな「ARC-X」の可能性

「洗面空間は、すごく機能的な場所なのですが、どこかスピリチュアルな世界観であってほしいですね。入った瞬間に、そこにいたいというか、身を委ねていきたいという想いが引き出される空間。その中のピースとして、ARC-Xはアリだと思います」と語る芦沢氏。

シンプルでプリミティブな存在感を持つ、ARC-Xのシリーズ。
どのような空間にも馴染みやすい製品であるが、芦沢氏は「逆に言うと、設計者にとって“挑戦状”のようなプロダクトではないか」とみる。

「このARC-Xが空間にあると、背中に置いているダルな洗濯機は浮いてくる。そうすると、建具で隠しておこうかな、という話になるのですよね。ARC-Xがあることで『これが空間づくりの基準となる』という強いメッセージを受け取る気がします。
僕は、そのほうがいいんじゃないかと思っているんです。例えば、『何でも載せられます』という棚があるとします。そうかといっていろいろと載せていくと、棚のフォルムがなくなってきて、家の中も片付いて見えなくなってしまう。最初から『この中で綺麗にしまってください』という棚のほうが、家は整って見えるでしょう」と芦沢氏は語る。

そして、芦沢氏はARC-Xのコレクションが、リーズナブルに設計者やクライアントに届くことに重きを置いていることにも注目する。

「今までのビジネスモデルでは、なかなかできなかった価格帯だと思います。非常に誠実な価格というんでしょうかね。そういったあたりが、今風だなと思います。
デザインとして価値の高いクオリティを、多くの人たちが使えるようになるという意味では、クライアントにとってはありがたい話です。若いデザイナーや建築家にとっても、予算のない案件でもきちんと価値のある空間として見えてくるというのは、非常にいいですよね。
自分も、若い頃にARC-Xがあったなら使ってみたかったし、これからいろんなところで使ってみたいと思います」。

トーンを細部にわたって整え、一体感のある上質な空間を生み出す。
その有力なツールとして、ARC-Xは幅広いユーザーや設計者に役立つものとなるだろう。
【  】

ARC-X(アークエックス)

流行に左右されることなく、普遍的な価値を備えた、水まわり製品シリーズ。

あらゆる多様性を受け入れ、どんな空間にもフィットすることで、空間づくりの可能性を拡げる。

https://arcx-shop.com

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