FEATURE
Study Series: Mitsuyoshi Miyazaki(2/5)
宮崎晃吉「アマチュアリズムからのクリエイティブを」(2/5)
FEATURE2021.06.23

Interview with Mitsuyoshi Miyazaki #02 Involved in the city from the perspective of learning and designing architecture

宮崎晃吉インタビュー#02「建築を学び設計する視点で街に関わる」

宮崎晃吉インタビュー「アマチュアリズムからのクリエイティブを」

FEATURE2021.06.21

Interview with Mitsuyoshi Miyazaki 宮崎晃吉「アマチュアリズムからのクリエイティブを」

#01 リスクを持ち寄って面白いことを仕掛ける
FEATURE2021.06.25

Interview with Mitsuyoshi Miyazaki #03 Demonstrate the creativity of creating a place

宮崎晃吉インタビュー#03「場所づくりのクリエイティビティを発揮する」
FEATURE2021.06.27

Interview with Mitsuyoshi Miyazaki #04 The desire to witness the moment a project is born

宮崎晃吉インタビュー#04「プロジェクトが生まれる瞬間に立ち会いたい」
FEATURE2021.06.29

Interview with Mitsuyoshi Miyazaki #05 Renovate the way you see things

宮崎晃吉インタビュー#05「モノの見方をリノベーションする」
FEATURE2021.07.13

Interview movie: Mitsuyoshi Miyazaki “Exhibit creativity from amateurism"

インタビュー動画&まとめ:「アマチュアリズムからクリエイティブを発揮する」

東京・谷中の地で設計事務所「HAGI STUDIO」を主宰しながら、同エリアでリノベーションした建物で事業を行っている宮崎晃吉(みやざき・みつよし)氏。

「最小文化複合施設」〈HAGISO〉、谷中の街をホテルに見立てた宿泊施設〈hanare〉、また西日暮里駅に隣接する商業施設〈西日暮里スクランブル〉など、その業態は多岐にわたる。

有名アトリエ系の事務所で設計に打ち込んでいた宮崎氏が、事業を立ち上げ、同じ街で活動を広げていった狙いはどこにあるのか。
建築を学んだ視点で街に働きかけられることは、どのようなものか。

具体的な事例をもとに、町医者のような立場で街と関わりながら、事業を持続的に発展させる秘訣を聞いた。

今回は#02「建築を学び設計する視点で街に関わる」です。

(取材:2020.07.06 〈西日暮里スクランブル〉にて、jk)

Photographs: toha(特記をのぞく)

■街に仕掛けを少しずつ埋め込んでいく

── 〈西日暮里スクランブル〉では、価値観やコミュニケーションを捉え直しているということですね。

宮崎:西日暮里駅では東京メトロの地下鉄駅に下りていくときの通路の壁に、〈西日暮里スクランブル〉と連動して「コミュニケーションウォール」というのをつくりました。駅員と、駅を利用する住人たち、そして僕らが〈西日暮里スクランブル〉で交流する、掲示板のようになっています。

そして、その向かい側にBECK’Sというコーヒーショップがあるんですけど、その客席の一部が、少し特別なスペースになっています。僕らが運営している「KLASS(クラス)」というスペースです。
そのスペースはコンコースなので、駅の中で賃貸借できず、使い方が特定されません。逆に言うと、あまりお金のことだけを考えなくていいんですよ。

そこで「まちの教室」というのをやっていて、例えば近所でダンススタジオをやっている人たちが社交ダンスを教えていたりとか、昆虫の標本づくりを教えたりとか、小さいドローンの飛ばし方を愛好会が教えたりとか。なんかちょっと、「なんでこんなところでやってるの?」という活動を、垣間見られる場所で。

今はコロナ禍でそうしたイベントをやりづらいのですけど、徐々に芽吹いてきたところです。そういう場所も、連動してこの駅の中に点在させるかたちでつくっていて。

再開発といっても駅全体を変える開発ではなくて、点を打っていくことで少しずつ人の流れとか、そこで起きる出来事とか光景を変えていく仕掛けを埋め込んでいるという感じですかね。そういう感じのプロジェクトに、結果的にはなっています。

JR西日暮里駅の通路部分の「コミュニケーションウォール」

■建築を学び設計する視点で街に関わる

── 面白いですね。建築的に街を見る視点というか。

宮崎:JRさんとは、一蓮托生(いちれんたくしょう)でやっています。なんでそんなふうにできているかというと、JRの中でも面白い担当者の方々がいて、建築学科出身だったりするんですよ。
そういう人たちとは馬が合って、「ここでちょっと駅になさそうな光景をつくろうぜ」といろいろ企んで、このプロジェクトが進んでいます。

「ここはなんのスペースだっけ?」というところをうまく活用したり、プログラムを思いついたり。
建築を学んだ人は、前提条件をまっさらにして場所のポテンシャルをよく考えてみると思うんですけど、そういう視点をもって見ると、駅はいつの間にか商業施設とニアリーイコールになっているけど、そうじゃない側面って昔はあったよねと。携帯がない時代は、掲示板ってすごい情報があって、いろんな街を映す鏡でもあって。

それで「コミュニケーションウォール」に今、組み込んでいるんですけど。けっこうみんな、チョークで好き勝手に書いてくれるんです。さすがに待ち合わせの情報は書かないんですけど、街の人の気配を映すような板になっていたりします。

「コミュニケーションウォール」

「コミュニケーションウォール」

通路の壁が広告で埋め尽くされるのと、自分が書き込んで参加できる場所があるのとでは、「自分の街だ」と思えるかどうかの違いが出ると思うんですよね。

目に入るものは誰かの持ち物で、消費的な何かを受け取っているだけという街に比べると、自分がちょっとでも参加できる余地がある街というのは、その街に愛着をもつことに寄与すると思っていて。そういう仕掛けを少しずつ、埋め込んでいるという感じです。

── 西日暮里駅の特性が、ちょうど合っていたのでしょうね。

宮崎:隣の日暮里はキャラが立っていますけど、西日暮里は通勤の乗り換えのために生まれた駅で、もともとここに街があったわけではないのですね。
でも、ターミナルというか交差点になったことで生まれてきた街という面白さがあって。
変な色が付いていないというのと、駅員さんがすごく面白くて。駅員さんがつくっているポスターがあるんですけど、高輪ゲートウェイ駅ができたときは自虐的に「山手線で一番新しい駅 いまのところは。」と掲げたり。

そういうことをしても許されるのも、山手線らしからぬ感じじゃないですか。そのあたりが、ちょっと緩くて肩肘張らなくていいなと思って。

(#03 場所づくりのクリエイティビティを発揮する に続く)

Photographs: toha

JR西日暮里駅構内「コミュニケーションウォール」

宮崎晃吉インタビュー「アマチュアリズムからのクリエイティブを」

FEATURE2021.06.21

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