FEATURE
Selection of 30 World Church Architecture
FEATURE2024.12.25

記事でめぐる世界の名建築 - 教会建築編 -

近代から現代まで、海外の建築家が生み出した祈りの空間30選

祈りの場としてだけでなく、美術と建築の粋を結集した教会建築は、時代や地域を超え、訪れる人々を魅了してやみません。本記事では、近代から現代に至るまで、建築家が手がけた海外に建つ教会建築を厳選して30紹介します。

今でも数多くの建築を手がけるアメリカ最大級の建築設計事務所SOMが1962年に手がけた建築から、近代建築の三大巨匠の1人ル・コルビュジエが74歳の時に設計し、死後41年経った2006年に完成した教会など、どれも建築好きにも、旅好きにも、一度は訪れてほしい名建築ばかり。

記事を通して世界のさまざまな教会建築をめぐり、その魅力の一端に触れてみてはいかがでしょうか。

北アメリカ

【アメリカ・ニューヨーク】
〈聖ニコラス教会〉

設計:サンティアゴ・カラトラバ
竣工:2022年

アメリカ・ニューヨークのワールドトレードセンター跡地に建つ〈聖ニコラス教会〉は、9.11にて失われた教会を、世界的に活躍する建築家サンティアゴ・カラトラバが再設計を行った建築です。

礼拝のための聖域としてだけでなく、この街が耐えてきたこと、そして前進していることを振り返る場として設計された、サンティアゴ・カラトラバにとって初となる宗教施設のプロジェクトです。

サンティアゴ・カラトラバ公式サイト:https://calatrava.com

ワールドトレードセンター跡地に建つ光り輝く教会、9.11にて失われた教会をサンティアゴ・カラトラバが再設計した〈聖ニコラス教会〉アメリカ

【アメリカ・ニューヨーク】
〈ファースト・ユニテリアン教会〉

設計:ルイス・カーン
竣工:1969年

ニューヨーク州のロチェスターに建つ〈ファースト・ユニテリアン教会〉は、20世紀を代表する建築家の1人ルイス・カーンが設計しました。

礼拝堂の周りにはいくつかの教室が配されており、礼拝堂と教室をつなぐ回廊を学習、思考、疑問、発見のプロムナードとして位置付けて設計された建築です。

ファースト・ユニテリアン教会 公式サイト:https://rochesterunitarian.org/

【アメリカ・カリフォルニア】
〈ウェイフェアズチャペル〉

設計:ロイド・ライト
竣工:1949年

〈ウェイフェアズチャペル〉は、フランク・ロイド・ライトの息子であるロイド・ライトがカリフォルニア州ランチョ・パロス・ベルデスに設計した、太平洋に面した崖の上に建つ幾何学的なデザインが特徴の建築です。

ロイド・ライトによる「周囲の風景が神聖な空間を定義することを可能にする繊細な囲い」をコンセプトとしたデザインにより、自然の風景を空間に取り入れています。

ウェイフェアズチャペル公式サイト:https://www.wayfarerschapel.org

【アメリカ・カリフォルニア】
〈天使のマリア大聖堂〉

設計:ホセ・ラファエル・モネオ
竣工:2002年

〈天使のマリア大聖堂〉は、「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞を1996年に受賞した、スペイン人建築家ホセ・ラファエル・モネオがカリフォルニア州ロサンゼルスに設計した大聖堂です。

ベージュ色のカラーコンクリートや、外観だけでなく内観にもみられるさまざまな角度で構成された多面的な形状が特徴的な建築となっています。

ホセ・ラファエル・モネオ 公式サイト:https://rafaelmoneo.com

【アメリカ・カリフォルニア】
〈ガーデングローブ・コミュニティ教会〉

設計:フィリップ・ジョンソン
竣工:1979年

〈ガーデングローブ・コミュニティ教会〉は、フィリップ・ジョンソンにより「世界最大のガラス建築」として設計された、クリスタル・カテドラルの愛称で親しまれてきた建物であり、2019年には〈キリスト大聖堂〉に改名されました。

スチールトラスのフレームに取り付けられた10,000以上のガラスパネルで構成された建築であり、内部は125m×62mの無柱空間に3000もの席が収納可能な空間となっています。

キリスト大聖堂 公式サイト:https://www.christcathedralcalifornia.org

【アメリカ・マサチューセッツ】
〈MITチャペル〉

設計:エーロ・サーリネン
竣工:1955年

マサチューセッツ工科大学のキャンパスに建つ〈MITチャペル〉は、アメリカで活躍したフィンランド人建築家エーロ・サーリネンが設計した〈クレスゲ礼拝堂〉という名でも知られるチャペルです。

「チャペルとして望ましい自己完結型の内面的な感覚を暗示している」とサーリネンが説明する円筒形の建築であり、アーティストのハリー・ベルトイアによる金属彫刻が、建物唯一の窓である天窓からの光を反射し、存在感を放つ空間となっています。

MITチャペル 公式サイト:https://studentlife.mit.edu/cac/event-services-spaces/event-spaces/mit-chapel

【アメリカ・インディアナ】
〈ノース・クリスチャン・チャーチ〉

設計:エーロ・サーリネン
竣工:1964年

インディアナ州コロンバスに建つ〈ノース・クリスチャン・チャーチ〉は、エーロ・サーリネンが設計した最後の建築です。サーリネンの死後、ロッシュ・ディンケルー&アソシエイツ(Roche Dinkeloo & Associates)が設計を引き継ぎ、1964年に完成させました。

頂部に十字架を掲げる高さ58.5mの尖塔が特徴的な建築であり、低く広がる六角形の屋根が尖塔の高さをより際立たせています。

【アメリカ・アーカンソー】
〈ソーンクラウンチャペル〉

設計:E.フェイ・ジョーンズ
竣工:1980年

〈ソーンクラウンチャペル〉は、アメリカ建築家協会による「20世紀の建築トップ10」の1つに選ばれたチャペルです。近代建築の三大巨匠の1人フランク・ロイド・ライトに師事したE.フェイ・ジョーンズが設計しました。

ジョーンズは敷地の自然環境保護のため、2人の男性が森の中を運べる大きさを超える構造要素はつくらないことに決め、さらに木材や敷石といった素材には地域固有の有機材料を使用して建設するといった、現代で主流になりつつある環境配慮型のデザインを組み込んだ建築でもあります。

ソーンクラウンチャペル 公式サイト:https://thorncrown.com/

【アメリカ・コロラド】
〈USAFA カデット・チャペル〉

設計:SOM
竣工:1962年

〈USAFA カデット・チャペル〉は、同じくSOMが手がけた空軍士官学校のキャンパス内に建てられた礼拝堂です。キャンパスの他の建物とは対照的な、アルミニウムによる17の尖塔が連続して並ぶ記念碑的な建物となっています。

100個の四面体で構成された建物であり、四面体を覆うステンドグラスのパネルにより拡散した光が建物内に入る、空軍の強力なシンボルであり、モダニズム建築の表現の可能性を示す建築です。

SOM 公式サイト:https://www.som.com/

南アメリカ

【ブラジル・ブラジリア】
〈ブラジリア大聖堂〉

設計:オスカー・ニーマイヤー
竣工:1970年

〈ブラジリア大聖堂〉は、1988年にプリツカー賞を受賞したブラジルの建築家オスカー・ニーマイヤーが設計した、コンクリート柱16本で構成された直径70mの双曲面構造が特徴的な建築です。

約4,000人を迎えることができる大空間であり、ブラジルの守護聖人であるアパレシーダの聖母に捧げる双曲面の王冠として設計された、ブラジルの首都ブラジリアのシンボルとなっている大聖堂です。

【ブラジル・リオデジャネイロ】
〈リオデジャネイロ大聖堂〉

設計:エドガー・デ・オリヴェリア・ダ・フォンセカ
竣工:1979年

〈リオデジャネイロ大聖堂〉は、ブラジルの建築家エドガー・デ・オリヴェリア・ダ・フォンセカがリオデジャネイロの旧市街に設計したピラミッド形の大聖堂です。

直径106m、高さ75mの建築であり、立った状態で20,000人が収容可能な64mの高さを誇る内部は、十字の天窓まで伸びる色鮮やかなステンドグラスが特徴的な空間となっています。

リオデジャネイロ大聖堂 公式サイト:https://catedral.com.br/

【ブラジル・マリンガ】
〈マリンガ大聖堂〉

設計:ホセ・アウグスト・ベルッチ
竣工:1972年

〈マリンガ大聖堂〉は、ブラジルのパラナ州マリンガのダウンタウンに位置する、高さ124m、直径50mの円錐形状のローマカトリック大聖堂であり、南米全体で最も高い教会です。

ロシアの人工衛星スプートニクにインスピレーションを得た円錐形の教会デザインは、物質世界から離れ、神に近い住居として表現しています。

リオデジャネイロ大聖堂 公式サイト:https://catedral.com.br/

ヨーロッパ

【フランス・ロンシャン】
〈ロンシャンの礼拝堂〉

設計:ル・コルビュジエ
竣工:1955年

〈ロンシャンの礼拝堂〉は、フランスのフランシュ・コンテ地方のオート=ソーヌ県ロンシャンに近代建築の三大巨匠の1人ル・コルビュジエが設計した礼拝堂です。

コルビュジエによる晩年の代表作の1つであり、〈サヴォア邸〉が象徴する「近代建築の五原則」を用いた作品とは異なり、カニの甲羅をモチーフとした屋根など、曲線を多用した彫刻的な造形の建築です。

Site Le Corbusier 公式サイト:https://sitelecorbusier.com/

【フランス・フィルミニ】
〈サン・ピエール教会〉

設計:ル・コルビュジエ
竣工:2006年

〈サン・ピエール教会〉は、〈ロンシャンの礼拝堂〉と同じくル・コルビュジエが設計した教会です。最初の設計図は1961年につくられましたが、地盤問題や資金難などから図面の変更や建設の中断が重なり、コルビュジエ死後41年経った2006年に完成しました。

四角錐の形をベースとした高さ33mの建築であり、不況によって荒廃していたまちの復興計画の一環として建てられました。内部では、その有機的な形状によりエコーを生み出す優れた音響効果や、さまざまな形状の開口部により日の光に応じてその表情を変えます。

Site Le Corbusier 公式サイト:https://sitelecorbusier.com/

【フランス・ランシー】
〈ノートルダム・デュ・ランシー教会〉

設計:オーギュスト・ペレ
竣工:1923年

19世紀後半から活躍したオーギュスト・ペレは、当時はまだ新しい技術であった鉄筋コンクリート構造により芸術的な表現を追求し、「コンクリートの父」と呼ばれるフランスの建築家です。

〈ノートルダム・デュ・ランシー教会〉はオーギュスト・ペレの代表作の1つであり、シンメトリーを基調とした古典的な構成と鉄筋コンクリート構造の融合を成し遂げた作品となっています。

ノートルダム・デュ・ランシー教会 公式サイト:https://www.notredameduraincy.fr/

【スペイン・バルセロナ】
〈サグラダ・ファミリア〉

設計:アントニ・ガウディ
竣工:建設中

〈サグラダ・ファミリア〉は、19世紀後半から活躍した建築家アントニ・ガウディがバルセロナに設計した、カトリック教会のバシリカです。2005年には「アントニ・ガウディの作品群」を構成する物件としてユネスコの世界文化遺産に登録されたものの、着工から100年以上が経過しても今なお建設途中という珍しい建築となっています。

当初は完成には300年以上を要するとも言われていた〈サグラダ・ファミリア〉ですが、3Dプリンタやコンピュータによる設計技術の進歩など、近年のIT技術が駆使されたことにより、ガウディの没後100年にあたる2026年には、高さ172.5mあるメインタワー「イエス・キリストの塔」が完成すると発表されています。

サグラダ・ファミリア 公式サイト:https://sagradafamilia.org/en/

【イギリス・ロンドン】
〈Genesis 水に浮かぶ教会〉

設計:Denizen Works
竣工:2020年

〈Genesis 水に浮かぶ教会〉は、その名の通りロンドンのリー・ナビゲーション運河に浮かぶ、移動型の教会です。「ジェネシス」という名の、運河移動に合わせた幅の狭いナロウボートを使用し、画期的な「動く屋根」を搭載しています。

機動性と適応性を兼ね備えた「ジェネシス」と名付けられた本プロジェクトは、竣工から25年にわたり、東ロンドンの運河ネットワーク周辺で発展していくコミュニティとのつながりを生み出すことをミッションとして活動していきます。

Denizen Works 公式サイト:http://www.denizenworks.com

Genesis 水に浮かぶ教会 / Denizen Works

【イタリア・シチリア島】
〈涙の聖母教会〉

設計:ミシェル・アンドロー、ピエール・パラ
竣工:1994年

〈涙の聖母教会〉は、国際コンペが開催され、ミシェル・アンドローとピエール・パラットの設計が選ばれた高さ103mの教会です。

神に対する人間性の概念と高揚感を構造的に表現することを目的としてデザインされたおり、その形状には、母が子供たちを父のもとに導くために迎え入れる天幕や、空から地面に落ちた巨大な涙など、さまざまな意味が込められた建築となったいます。

涙の聖母教会 公式サイト:https://www.madonnadellelacrime.it/

【ドイツ・ネヴィゲス】
〈ネヴィゲスの巡礼教会〉

設計:ゴットフリード・ベーム
竣工:1968年

〈ネヴィゲスの巡礼教会〉は、1986年にプリツカー賞を受賞したドイツの建築家ゴットフリード・ベームが設計した、ドイツ西部の人気の巡礼地に建てられた大聖堂です。

第二次世界大戦後の荒廃したドイツを再建するための取り組みの一部として計画された建築であり、他の教会がモダニズム様式で建てられていく中で、〈ネヴィゲスの巡礼教会〉は森の中に山のようにそびえ立つ、一見すると教会であるかも分からないギザギザ状のコンクリート建造物です。

ネヴィゲスの巡礼教会 公式サイト:https://www.mariendom.de/Startseite/

【ドイツ・メッヒャーニッヒ】
〈ブラザー・クラウス野外礼拝堂〉

設計:ピーター・ズントー
竣工:2007年

〈ブラザー・クラウス野外礼拝堂〉は、スイスの建築家ピーター・ズントーを地域に暮らす農家の夫婦が招き、私的に寄贈され建設された礼拝堂です。モノリスのような外観は、視界の開けた野原で堂々とした存在感を放っています。

特に珍しいプロセスで生み出された建築であり、まずいくつもの丸太をテント状に組み上げ、コンクリートをその外側へ層状に充填して硬化した後、丸太を燃やすことにより内部空間をつくり出しており、内部のざらざらとした暗い表面が、このプロセスを物語っています。

ピーター・ズントー 公式サイト:https://zumthor.bjorkan.no/project/bruderklaus/

【ドイツ・ベルリン】
〈カイザー・ヴィルヘルム記念教会〉

設計:エゴン・アイアーマン
竣工:1961年

〈カイザー・ヴィルヘルム記念教会〉は、ドイツモダニズムの第一人者である建築家・家具デザイナーのエゴン・アイアーマンが設計した教会です。

第二次世界大戦の最中、元々の記念教会が大きな被害を受けたため、戦争に対する記念碑として塔の遺跡を保存し、新しい4つの部分(身廊、塔、礼拝堂、ホワイエ)からなる建物群をエゴン・アイアーマンが設計しました。内部に入ると、2万枚のステンドグラスが青い光を放つ、幻想的で荘厳な空間に包まれます。

カイザー・ヴィルヘルム記念教会 公式サイト:https://www.gedaechtniskirche-berlin.de/

【オーストリア・ウィーン】
〈ヴォトルバ教会〉

設計:フリッツ・ヴォトルバ、フリッツ・G・マイヤー
竣工:1976年

〈ヴォトルバ教会〉は、彫刻家フリッツ・ヴォトルバが自身の集大成として、建築家フリッツ・ゲルハルト・マイヤーとともに、機能的で歩き回れるコンクリートの彫刻として設計された教会です。

ランダムに積み上がる152個のコンクリートブロックで構成された、一見すると教会の正面がどこにあるのかも分からない建築です。コンクリートの隙間に埋め込まれたガラスにより、建物内部に光が差し込みます。

ヴォトルバ教会 公式サイト:https://www.georgenberg.at/

【チェコ・南モラヴィア】
〈ネスヴァチルカの悲しみの聖母礼拝堂〉

設計:RCNKSK
竣工:2024年

プラハを拠点に活動する建築スタジオ RCNKSKが南モラヴィア州に設計した〈ネスヴァチルカの悲しみの聖母礼拝堂〉は、手斧で削り出した梁とCNC加工で製造された木製ラメラ構造(フレームが木の葉の編み目のように組み上げられた構造)で構成された、伝統と現代の技術を用いてつくられた建築です。

建物の構成は聖母マリアの歩みを表現したものであり、繊細な木造空間に配された小さな窓から、まるでヴェールのような光が来場者の上に降り注ぎます。

RCNKSK 公式サイト:https://www.rcnksk.com/nesvacilka/

CNCと手斧でつくる現代×伝統技術の木造チャペル〈ネスヴァチルカの悲しみの聖母礼拝堂〉RCNKSK、チェコ

【フィンランド・ヘルシンキ】
〈テンペリアウキオ教会〉

設計:ティモ・スオマライネン、トゥオモ・スオライネン
竣工:1969年

互いに建築家であるスオマライネン兄弟がヘルシンキの中心部に設計した〈テンペリアウキオ教会〉は、ここで結婚式を挙げるのがヘルシンキ市民の夢、とまで言われているフィンランドを代表する現代建築です。

氷河期から残る天然の岩盤をくり抜いてつくられたことから「ロックチャーチ」とも呼ばれる建築であり、岩肌がむき出しになった教会の中に足を踏み入れると、天から降り注ぐような神秘的な自然光が祭壇を照らします。

テンペリアウキオ教会 公式サイト:https://temppeliaukionkirkko.fi/

【フィンランド・セイナヨキ】
〈セイナヨキの教会〉

設計:アルヴァ・アアルト
竣工:1960年

北欧の近代建築に最も影響を与えた建築家の1人、アルヴァ・アアルトが設計した〈セイナヨキの教会〉は、〈ラケウデン・リスティ(フィンランド語で湖水地方の十字架という意味)〉とも呼ばれる教会であり、この名前の由来となった65mの高さを誇る十字形の鐘楼は、地元のランドマークとなっています。

教会内部は長さ47mあり、1200人が着席可能。一見シンプルな白い天井は優雅に波打っており、壁に並ぶパイプオルガンも相まって美しい空間をつくり出しています。床に敷き詰められた1つひとつ違う色をしたレンガは、人の人生を表現しているのだとか。

セイナヨキの教会 公式サイト:https://www.seinajoenseurakunta.fi/lakeuden-risti

アジア

【台湾・台中】
〈路思義教堂〉

設計:イオ・ミン・ペイ、陳其寬
竣工:1963年

〈路思義教堂〉は、台湾初のキリスト教系私立大学として設立した東海大学キャンパスの中心部に位置する礼拝堂です。〈ルーヴル美術館〉のガラスのピラミッドをつくったイオ・ミン・ペイと、台湾人建築家の陳其寬により設計されました。

4枚の壁が支え合うような形状の建築であり、それぞれの壁は中国の歴史や伝統文化と縁が深い黄色のタイルを纏っています。柱のないテントのような三角形の内部空間には、壁の間をつなぐガラス・カーテンウォールにより神聖な光が差し込みます。

東海大学 公式サイト:https://www.thu.edu.tw/

【フィリピン・ビニャン】
〈サントゥアリオ・デ・ラ・サール〉

設計:CAZA
竣工:2022年

フィリピンのビニャン市に位置する〈サントゥアリオ・デ・ラ・サール〉は、大学のキャンパス内に自身やコミュニティ、自然と向き合う空間を生み出す教会です。

建物を囲む一連の細長い柱は、賑やかなキャンパスから静かで神聖なエリアへと移行する半屋外空間を生み出しつつ、空間を歩くという身体的なリズムを建築的に表現しています。ブルックリンを拠点に、フィリピンのマニラ、コロンビアのボゴタ、ペルーのリマにオフィスを構えるデザインスタジオ兼シンクタンク CAZAが設計しました。

CAZA 公式サイト:https://cazarch.com/project/santuario-de-la-salle/

賑やかな大学内に静寂と神聖さを生み出す教会〈サントゥアリオ・デ・ラ・サール〉CAZA、フィリピン

【タイ・ウムパーン】
〈聖ザビエル教会〉

設計:パコ・ガルシア・モロ
竣工:2022年

タイの中でももっとも辺境の地であるウムパーンに位置する〈聖ザビエル教会〉は、タイとミャンマーの間で今なお続く紛争地帯に住むカレン族のために、タイを拠点に活動する建築家 パコ・ガルシア・モロが設計した教会です。

世界最古の紛争地帯で栄えてきた民族のための礼拝の場であり、民族の特徴的な装飾モチーフを反映したグリッドで構成することで建築的に文化を受け継いでいます。

パコ・ガルシア・モロ 公式サイト:https://pacogarciamoro.com/index.php/oratory-of-st-xavier-in-umphang/

タイとミャンマーの間の紛争地帯に暮らすカレン族のための祈りの場〈聖ザビエル教会〉パコ・ガルシア・モロ

【インド・ケララ】
〈マッタンチェリー聖ジョージ正教会〉

設計:ウォールメーカーズ
竣工:2016年

インドのケララ州に建つ〈マッタンチェリー聖ジョージ正教会〉は、1615年に建てられ、長年の放置により荒廃してしまった教会を再建したプロジェクトです。土壌ベースのマテリアルであるアースブロックや版築壁、型枠を用いずにアーチやヴォールトを構築する古代のヌビアン・テクノロジーを用いた建築となっています。

泥と廃棄物に焦点を当てたさまざまなプロジェクトを手がける、インドの設計事務所ウォールメーカーズが設計しました。

ウォールメーカーズ 公式サイト:https://www.wallmakers.org/rust-1/y9cnj0cmtsp9tizcmqb0e86iy26sku

アースブロックと版築壁でつくる土の教会〈マッタンチェリー聖ジョージ正教会〉ウォールメーカーズ、インド

アフリカ

【南アフリカ・西ケープ】
〈ボスジェス・チャペル〉

設計:ステイン・スタジオ
竣工:2016年

南アフリカのブドウ園の中に建てられた〈ボスジェス・チャペル〉は、南アフリカ生まれのクッツェー・ステインによって設立された、ロンドンを拠点とする建築事務所 ステイン・スタジオが設計しました。

周囲の山脈のシルエットを模倣した穏やかな彫刻的な形状は、西ケープ州の田園風景に点在する歴史的な切妻屋根に敬意を表しています。また、屋根は薄いコンクリート・シェルでつくられており、屋根の各波が頂点に達するところでは、広いガラス張りのファサードの中央に十字架が掲げられています。

ステイン・スタジオ 公式サイト:http://www.steynstudio.com/projects/bosjes_chapel/

建築家たちの卓越したデザインが生み出した教会建築の数々は、単なる宗教施設の枠を超え、人々の心を打つ芸術作品でもあります。光や空間、素材に込められた祈りと創造性は、訪れるたびに新たな発見と感動を与えてくれるでしょう。

この記事で紹介した30の教会が、あなたにとって特別な旅の目的地となり、建築の魅力を再発見するきっかけとなれば幸いです。

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