PRODUCT
「い草のある生活」を世界の日常へ ミラノ生産体制で提案する新たな生活空間

「い草のある生活」を世界の日常へ

ミラノ生産体制で提案する新たな生活空間

PRODUCT

日本の家具メーカーADAL(アダル)は、2024年に初出展した世界最大級のデザイン見本市「ミラノサローネ」で伝統素材「い草」と現代的なデザインを融合させたコレクションを発表し、ヨーロッパのデザイン関係者から大きな注目を集めた。その反響を受け、2025年3月、ADALはイタリア・ミラノに現地法人「ADAL Europe S.R.L.」を設立し、欧州市場への本格的な進出を決断した。サステナブルな素材と暮らしの価値を再構築するというブランド理念を、世界に向けて具体化する新たな一歩となる。

ミラノサローネ2025 会場の様子 ©︎ADAL

地球規模でのサステナブルを追求、い草の未来を世界へ

い草が持つ空気清浄機能、調湿性、自然の香りといった特性は、現代社会の課題に静かに寄り添う力を持っている。そのい草の力を、日本国内に留めるのではなく、世界中の人々にとっての“新たな日常の一部”として位置づけたいとADALは考えている。日本でのい草産業を守ると同時に、世界の生活者とい草の価値を共有していく。その両立を目指す中で、製造の在り方も柔軟に進化させながら、ローカルとグローバルの架け橋、い草の未来をつなぐブランドとして挑戦を続いていく考えだ。

二度目のミラノサローネ挑戦と進化

2024年の初参加に続き、2025年もミラノサローネに出展。今回は現地法人設立後初の発表の場として、欧州市場での方向性とものづくりの姿勢をより鮮明に打ち出した。ブースでは「い草を、より深く、より現地へ」をテーマに掲げ、サステナブル素材を地域の暮らしに根付かせるためのデザインと運用提案を発信。昨年に続く連続出展でブランドとしての一貫性と市場参入への真摯な姿勢がより広く伝わる結果となり、現地での認知と信頼構築に向けた確かな一歩となったようだ。

ミラノサローネ2025 会場の様子 ©︎ADAL

生産と消費の距離を見直す、ADALの地産地消戦略

欧州市場に本格参入するにあたりADALが重視したのは、「マーケットと生産地の距離」を縮めるという視点だった。“国産”への強いこだわりを持ち続けてきた同社にとって、海外でのOEM生産は決して軽い判断ではなかったが、これまで一貫してこだわってきた“日本国内での製造”に加え、イタリアでのOEM生産体制の構築へと舵を切る運びとなった。

 

「私たちの目指すのは、“い草のある未来”を世界中に広げていくこと。そのために必要なのは、日本という枠を超え、現地の生活者に最も自然な形で寄り添うことでした」(ADAL広報)

 

素材の調達から製品完成のプロセスを現地で完結させることで、地球環境への負荷軽減や輸送エネルギーの最小化しながら、地域のものづくりの中にい草の価値を溶け込ませる。このサプライチェーンの見直しは、持続可能な製造体制の構築とともに、文化的・気候的背景の異なる土地で素材の魅力をどう生かすかという、ものづくりの本質を問い直す取り組みともなりそうだ。

一方で、日本国内のプロジェクトや指定物件への導入も拡大すべく、国内の自社工場と営業部門もより一層強化するとのこと。海外と国内、それぞれの市場の特性に応じたアプローチを展開することで、ADALは「い草のある未来」をより確かなものとして広げていこうとしているようだ。

ミラノサローネ2025 会場の様子 ©︎ADAL

ミラノ現地法人「ADAL Europe S.R.L.」設立

イタリア・ミラノに設立された現地法人「ADAL Europe S.R.L.」は、単なる営業拠点にとどまらず、欧州市場における製品開発と地域連携のハブとしての役割を担う。現地のライフスタイルやニーズを反映したプロダクト開発を進めるとともに、欧州各国のディーラーや設計事務所とのネットワークを広げ、パートナーシップを強化していく方針だ。今後は地域ごとに最適化された提案を通じて、い草を用いた家具が自然に暮らしの中に溶け込むことを目指しながら、地域性を尊重した持続可能なものづくりを実現していく構えだ。

 

Look into Nature ウェブサイト(JP)
https://www.adal.co.jp/lookintonature/

Look into Nature ウェブサイト(EN)
https://www.adal.co.jp/lookintonature/en/

Look into Nature 公式インスタグラム
https://www.instagram.com/adal_look.into.nature/

Look into Nature 公式YouTube
https://www.youtube.com/@LINADAL-dc2qi/videos

 

地域に根ざす素材と向き合い、その産業を未来へとつなげようとする姿勢には、単なるプロダクトデザインを超えた社会的な意義がある。

意匠性やデザイン性の追求にとどまらず、素材の生産背景や地域産業への眼差しを設計に取り入れることは、ひいては伝統の継承にもつながり、こうした視点を持つ設計姿勢は、サステナブルな価値観が求められる今の時代において重要な取り組みと言えるだろう。日本の伝統産業や素材に新たな光を当て、持続可能なかたちで次世代へと受け渡す取り組みに、設計という立場からどのように関われるか。そんな問いに対して共鳴する建築家やデザイナーにこそ、ADALの挑戦は一つの対話の入り口となるはずだ。


株式会社アダル 会社概要
本社所在地:812-0863 福岡県福岡市博多区金の隈3丁目13番2号 3-13-2
代表取締役社長:武野 龍
事業内容:営業用イス・テーブル・什器などの製造卸販売、その他、インテリア資材販売及び設計・施工、カグポンの販売

コーポレートサイト
https://www.adal.co.jp/

Look Into Nature掲載事例

PRODUCT

Look into Nature新作「HAORI」「MONN」「NAGARE」

ミラノサローネ国際見本市出展中
PRODUCT

「親和する風景」という新しい提案

伝統素材、い草を使ったサステナブル家具ブランド「Look into Nature」
PRODUCT

「Look into Nature ~答えは自然の中にある。~」

100%国産天然い草を使ったサステナブルな家具シリーズにラウンジチェアなど3モデルが追加

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

RECOMMENDED ARTICLE

  • TOP
  • PRODUCT
  • MATERIAL
  • 「い草のある生活」を世界の日常へ ミラノ生産体制で提案する新たな生活空間
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ