イトーキから、法人・個人向けのワークチェア〈SHIGA(シガ)〉が発売されました。プロダクトデザイナーの柴田文江氏がデザインを担当しています。
イトーキと柴田氏がタッグを組んだワークチェアの誕生は、イタリア人デザイナーが手がけたワークチェアの名作を柴田氏がリデザインし、2020年のローンチ以降、高い人気を誇る〈vertebra03(バーテブラゼロサン)〉以来となります(柴田氏のプロフィールは後述)。

〈SHIGA〉
新ワークチェア 開発の背景
ワークスタイルの多様化と自由化が進み、テクノロジーの進歩によって、働く場所に対する社会の常識や人々の価値観が大きく変わりました。そして今、場所を問わずに仕事ができるからこそ、改めて「オフィスの価値」が見直されています。
デザインされた空間が与えるインスピレーション、長時間でも快適に過ごせる機能的な家具、そして人と人とが自然につながる場としての空間。イトーキは、こうした変化を見つめ、ミニマムなフォルムのなかに、長時間の着座でも快適なエルゴノミクスに基づく機構を内包した、美しさと快適性を両立するチェアの必要性を感じ開発に至りました。(イトーキ プレスリリースより)

イトーキのものづくりの知見を集結して開発されたワークチェア〈SHIGA〉は、イトーキの主要製造拠点である関西工場がある滋賀県(近江八幡市)にちなんで名付けられました。
同社が長年培ってきた設計技術と生産技術により、〈SHIGA〉の特徴であるコンパクトな座面下をはじめ、ミニマムなデザインと機能性を両立させているとのこと。背と座をつなぐ支柱部分にも軽快さを持たせつつ、長時間でも快適に使用できる強度と安全性、そして多彩なバリエーションを実現しています。
〈SHIGA〉に着座したときの心地よさを支えているのは、座面下に収められた極薄のメカボックスです。ワークチェアの多機能化によってメカボックスが大型化しがちなところ、〈SHIGA〉では必要な機能だけに絞り込み、ミニマムなデザインとエルゴノミクスを考慮したロッキングの両立を実現しているとのこと。
ロッキングには、イトーキで最も多くのタスクチェアに採用されている「アンクルムーブ・シンクロロッキング」を採用。くるぶしを支点に、背と座が連動して傾きます。後傾時に座全体が後方下にスライドすることで、自然な姿勢変化をしなやかに支えてくれます(最大で15度)。これにより、体の動きに追従しつつ、安定した座り心地を保ちます。

くるぶしを支点に背と座が連動して傾く「アンクルムーブ・シンクロロッキング」


メカボックスの裏にはビスを一切見せないノイズレスな仕上げを追求

座面下の操作レバーを1本化、昇降や背固定をシンプルに行える構造を採用。レバー先端のプッシュ式ボタンで背もたれの初期角度を固定でき、昇降脚タイプは、羽根つきレバー部分を回転させることで、座面の高さを調整できる(90mm範囲)

アームレストには重厚感と上質感を演出するアルミを採用。アジャスタブル肘は、肘あて前方のボタンを押しながら操作することで、好みの高さに調整することができる(90mm範囲)
柴田文江氏がイトーキとともにデザインした〈SHIGA〉は、人間工学を軸としつつも、従来のオフィスチェア・タスクチェアにみられるエルゴノミックなフォルムからは一線を画したデザインとなっているのが特徴です。
エルゴノミクスに基づいた3次元のカーブをシンプルなスクエアのシルエットの中に内包。“存在を主張せず、使う人の姿を引き立てる”ことを意識した、ノイズの少ない形状と、身体をやわらかく支える快適性、この2つを両立させています。

また、従来のタスクチェアが纏っている重厚さを抑え、さらに背と座の間にわずかな余白を設けることで、光と空気を通すような“抜け感”が、〈SHIGA〉にはあります。
背もたれは「double」と「triple」の2タイプを用意。チェアを複数個並べた際には水平ラインが連続し、整然とした印象とともに空間に拡がりをもたらします。

〈SHIGA〉展開イメージ

〈SHIGA〉 展開イメージ

〈SHIGA〉 展開イメージ

〈SHIGA〉 展開イメージ
オフィスだけでなく、コロナ禍以降に定着したリモートワークでの利用を踏まえて開発された〈SHIGA〉は、リビングや書斎に置かれても、家庭のインテリア空間に違和感なく溶け込むフォルムと、多彩なバリエーションをラインナップしています。
7タイプの本体仕様に加え、張地は洗練された印象の単色(8色)や軽やかなツートーン(7色)から選べるオリジナルファブリックを採用。また、北欧を代表するテキスタイルブランドの1つ、Kvadrat(クヴァドラ)社のファブリック(3色)と、上質な雰囲気の本革(2色)を用意。フレーム仕上げは、サテン塗装(3色)、アルミミラー、グロス塗装(3色)の7種。これらの組み合わせは約500通りにのぼります。

素材が持つ質感と、上質で落ち着いたカラーリングが調和したバリエーション

〈SHIGA〉バリエーション例

主な機能:アンクルムーブ・シンクロロッキング、背もたれ角度固定(初期位置)
サイズ
double:W635×D530×H780~870(SH415〜505)
double/p:W635×D530×H920~1010(SH465)
triple:W635×D565×H920~1010(SH415〜505)
カラーバリエーション
本体カラー:7色
背座張地カラー:全20色(3種類)
価格(共に税込)
double・double/p:133,430円から
triple:145,750円から
発売日:2025年12月1日
※問い合わせはイトーキまで
SHIGA(シガ)特設ページ
https://www.itoki.jp/special/shiga/index.html
東京・京橋にあるイトーキのショールーム「ZA SALON TOKYO(坐サロン 東京)」にて、11月中旬より〈SHIGA〉を展示中です。前述の〈vertebra03〉などとともに、実際に座り心地や機能性を体験することができます(利用は要予約)。
ZA SALON 詳細・予約受付
https://www.itoki.jp/consumer/showroom/zasalon/
デザイナー プロフィール
柴田文江氏
山梨県出身。甲州織物を営む家庭に育つ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、大手家電メーカーを経て、Design Studio Sを設立、代表を務める。
エレクトロニクス商品から日用雑貨、医療機器、ホテルのトータルディレクションなど、国内外のメーカーとのプロジェクトを進行中。
これまでの主な受賞に、iF金賞(ドイツ)、red dot design award、毎日デザイン賞、Gマーク金賞、アジアデザイン賞大賞・文化特別賞・金賞など。著書に『あるカタチの内側にある、もうひとつのカタチ』(2012年、ADP)がある。
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科教授(2014-2022年)。2022年より多摩美術大学美術学部統合デザイン学科教授を務める。Design Studio S ウェブサイト
http://www.design-ss.com/