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フローリングの仕上げ、機能にみる最新トレンド(1 / 3)

インテリアや用途を選ばない樹種・塗装仕上げが人気

PRODUCT2024.02.14

「TECTURE」に参加しているメーカーに取材し、フローリングの最新事情やトレンドを3回に分けて深掘りしていきます。第1回は、今流行りの樹種と塗装仕上げに注目しました。

着色なしでも人気! 木目の表情で選ばれ続けるオーク

オークの質感を感じられ、床暖房にも対応できて人気がある挽板フローリング(設計:note architects / 提供:東京工営)

フローリングで圧倒的に人気が高いのは、木目の表情、硬さなどトータルバランスのよさで選ばれている「オーク」「ナラ」です。
無垢フローリング、複合フローリングに関わらず、温かみのある中間色でインテリアを選ばず、どんな空間にもなじみやすい点で設計者やデザイナーだけでなく、施主にも好まれています。

素地の色と木の質感を残すオイル仕上げが人気

幅130㎜のヨーロピアンオークを植物オイルで仕上げた例(S邸 / 提供:マルホン)

無垢フローリングや本物の木を表層材に使用する複合フローリングでも定番のオークですが、その他の樹種においても、仕上げで特に人気があるのが、木目を活かす「オイル仕上げ」です。
オイル仕上げは元の素地より濡れ色が見られ、木目がくっきりと現れます。硬い塗膜が形成されないため、質感や素地の風合いが残るところが好まれている点です。
汚れやシミが付いてもサンドペーパーで削り取り、補修することができます。難しい手入れを必要としないので、「できる限り自然の素材にこだわりたい」「メンテナンスなど、手をかけながら長く使っていきたい」と考えるクライアントに好まれています。

木目を着色して引き立てるデザインも人気。アンティーク調にも

2㎜の挽板に木目が引き立つうづくり+白色着色し、アンティーク調に仕上がった複合フローリング(提供:ikuta)

目出し着色や拭き上げ(ワイピング、拭き取り)塗装なども、木目や節など木のもつ特徴を引き立たせられる仕上げで人気です。ホワイトアッシュやナラなど、木目のはっきりした樹種で特徴が出やすい手法で、白い塗料を使用すればほどよく明るさが増し、黒い塗料を塗り拭き取ると黒くくっきりと木目が現れ、アンティーク材のような味わいとなります。

目出し塗装は使用する塗料の色でも表情が変わる(提供:東京工営・左 / マルホン・右)

複数回、顔料を塗布~拭き取りを行い、導管に残った顔料が木目を引き立てる。(柏木工 東京ショールーム / 提供:朝日ウッドテック)

着色のトレンドは「グレージュ」

美観や意匠として全体に色味を付加する塗装では、無垢、複合フローリングともにベージュやグレーといったグレージュ系は数年来人気が高い傾向。ブラック系、グレー味のある茶色なども増えており、設計者へのヒアリングをもとに、グレー系・ブラック系の塗装に絞ってラインナップしているメーカーもあります。

ブラッシング加工+グレー系に塗装されたオークフローリング(設計:川島真由美建築デザイン / 撮影:矢野紀行 / 提供:東京工営)

長らく流行が続いている無彩色のインテリアや、ジャパンディと呼ばれる北欧と和の要素を取り入れたインテリア、白い壁や真鍮の金具にも合い、木の特徴を主張し過ぎず、洋風・和風を問わず採用しやすいのがグレージュ系の着色仕上げです。

着色には植物を用い、木材が含有するタンニンなどの成分に反応させて色を表現しているものもあります。本来の木目や色ムラを活かしながら渋さや深みのある色を出せ、無垢フローリングを選ぶクライアントに人気のある塗装です。

ヨーロピアンオークの無垢フローリングに草木染を施しブルーグレー調に仕上げた例(提供:マルホン / フリッツ・ハンセン / 草木染)

メンテナンス性もプラスした各社独自のマットな仕上げ

木質系フローリングでは、光沢、艶感のある仕上げに比べ、マットな風合いが好まれています。一般的にフローリングの着色に使用されるのは主にウレタンマット系の塗料で、耐久性がある一方、塗膜をつくるため木の素地感は薄れてしまいます。
ウレタン仕上げなど強度をもたせた塗膜には艶感の出るものが多くありますが、見た目もマットで、手触りも木の質感を残したものにニーズが見られます。

オイルとワックスをミックスした塗料(左)に比べ、樹脂塗膜を形成するウレタン仕上げは艶感が見られる(右)(提供:ウッドワン)

そのため、メーカーごとにオイル仕上げのようなサラサラとした手触りを残しながら、汚れや傷に対する強度を付加するUV塗装や、オイルとワックスをミックスして撥水性を高めたオリジナルの仕上げ材など、さまざまな特色を出しています。

オイルとワックスをミックスした塗料で仕上げたオークのフロア(提供:ウッドワン)

住宅、非住宅とも、人が歩行し、物を落としてしまうこともある床は、汚れや凹み、傷などは避けられません。しかし、人気のオイル仕上げのフローリングでは表面に厚い塗膜を形成しないため、日常のお手入れで水拭きがNG。住宅では自分たちで手をかけてメンテナンスすることも含めて人気の仕上げですが、年齢とともにだんだん手入れが億劫になってしまう方も少なくありません。

そのような背景から、水性ウレタンや液体ガラスコーティングなど、機能性の高い塗料も注目されています。樹脂塗膜をつくるコーティング塗装に比べてマットな仕上がりで、水拭きにも対応できます。

ウレタン仕上げ(右)に比べ、オイル仕上げ(左)に似た仕上がりになる高機能塗料もある(中央)(提供:マルホン)

今ではホームページに掲載されているデジタルカタログで、誰でも樹種や塗装別の仕上がり、施工イメージが見られますが、手触りや光の角度による艶感、樹種ごとの温かさや冷たさなどは分かりません。サンプルを請求したり、ショールームで実際に仕上げの違いも見比べてみたいものです。

オイル仕上げのフローリングにスチームクリーナーはNG

近ごろ、床材メーカーや施工者へ増えているのが「この床材はお掃除ロボットが使えますか?」といった問い合わせ。ロボットクリーナーは一度購入した世帯はその使い勝手のよさに、上位機種や2台目を購入する傾向があると言われるほど人気の家電ですが、フローリングとの相性には注意が必要です。

無垢フローリングに塗装仕上げをした床材では、ドライタイプのロボットクリーナーであれば注意しながら使用するのは可とされていますが、水を噴射しながら掃除する水拭きクリーナー、高温の水蒸気を使用するスチームクリーナーの使用は避けましょう。

無垢、複合フローリングに限らず、床に水がかかることで膨らんだり、表面は乾いても溝に入った水分が抜けにくいこともあり、表層材や接着剤がはがれたりする原因となります。

ロボットクリーナーは不在中に掃除が完了する便利な家電ですが、ドライタイプでも小さな硬いものを噛んだまま走行したり、ペットの排せつ物を通過して広げてしまったりする事例があるようです。
無垢や挽板、塗膜の薄い床などへダメージを与えることもあるので、クライアントの暮らし方を見据え、床材検討時にロボットクリーナー使用の希望があるか確認してみましょう。

 

取材にご協力いただいたメーカー(五十音順)

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〈大分県立美術館〉設計:坂茂建築設計(提供:東京工営)

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