20世紀を代表する作家のひとりで、形而上絵画を代表する作風で知られる、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)の展覧会が、東京・上野の東京都美術館で開催されています。日本では約10年ぶりの大規模展です。
イタリア出身の両親のもと、1888年にギリシャのヴォロスで生まれたジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico)の作家としての基礎は、父親の没後、1906年に家族で移り住んだドイツ・ミュンヘンで築かれます。この地で彼は、フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)の哲学や、スイス出身で象徴主義の画家のひとり、アルノルト・ベックリン(1827-1901)、シュルレアリスムの先駆者のひとりに数えられるマックス・クリンガー(1857-1920)らの作品に触れ、大きな影響を受けます。1909年以降はイタリア・ミラノやフィレンツェに移り住み、簡潔明瞭な構成で広場や室内を描きながらも、歪んだ遠近法や脈絡のないモティーフの配置、幻想的な雰囲気によって、日常の奥に潜む非日常を表した絵画を描き始めます(後に自ら「形而上絵画」と名付けたこの頃の作品群の誕生には、イタリア・フィレンツェ滞在時の体験が大きく影響していることが、作家自身の言葉でも明らかになっている)。
やがて、詩人で美術評論家のギヨーム・アポリネール(1880-1918)の目に留まり、彼を介して、フランス・パリにて活動中だったシュルレアリストをはじめとした前衛画家たちとも交流。デ・キリコの「形而上絵画」は、サルバドール・ダリ(1904-1989)やルネ・マグリット(1898-1967)といった同時代の作家、および芸術運動にも大きな影響を与えました。
デ・キリコは、初期の形而上絵画、マヌカンや剣闘士をモチーフにした作品、さらにはルネサンスやバロック時期の技法を取り入れ従来の作風とは異なるネオ・バロック、そして晩年には新たな形而上絵画へと推移しながら、1978年にイタリア・ローマで90歳で没するまで、実に多彩な作品を残しました。絵画意外にも彫刻、挿絵、舞台芸術なども手掛け、本展にはそれらの作品が100点以上、世界各地から集結しています。なかでも「形而上絵画」は世界中に散らばっているものがまとまった数で揃っており、本展は、約70年にわたるデ・キリコの幅広い創作活動を総覧できる、極めて貴重な大規模展となっています。
会期:2024年4月27日(土)~8月29日(木)
会場:東京都美術館 企画展示室
所在地:東京都台東区上野公園8-36(Google Map)
休室日:月曜(7月8日[月]、8月12日[月・休]を除く)、7月9日(火)〜16日(火)
開室時間:9:30-17:30、金曜は20:00まで開室 ※入室は各日とも閉室30分前まで
※土・日曜と祝日、8月20日(火)以降は日時指定予約制(ただし、当日の空きがあれば入場可)
観覧料:一般 2,200円、大学生・専門学校生 1,300円、65歳以上 1,500円、高校生以下無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳に提示で所有者本人と付添い1名まで無料。
※高校生、大学生・専門学校生、65歳以上は、学生証や年齢などを証明できるものの提示要
問合せ先電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、朝日新聞社
後援:イタリア大使館、J-WAVE
特別協賛:大和証券グループ
協賛:ダイキン工業、大和ハウス工業、竹中工務店、NISSHA
協力:ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団、メタモルフォジ財団、イタリア文化会館、日本航空、日本貨物航空、ルフトハンザ カーゴ AG、ITAエアウェイズ
展覧会公式サイト
https://dechirico.exhibit.jp/