山口情報芸術センター(Yamaguchi Center for Arts and Media: YCAM)および山口市中央公園にて、「中園町で逢いましょう」と題したイベントが10月6日まで開催されています。
YCAM(通称:ワイカム)では、2022年度の1年間にわたり、市民参加型のアートプロジェクト「meet the artist(ミート・ジ・アーティスト)2022:メディアとしての空間をつくる」を実施しており、本イベントはその成果を披露するものです(”会場の床面には解体現場であった家の間取りをブルーシートで再現し、また、建具などを固定するための建築的な仕組みは用意せず、30分に一回、人間が建具を運び所定の位置に立てて支えるパフォーマンスをおこなう。”という空間デザインは砂木によるもの。展示コンセプトの詳細はこちら)。
※本稿の写真はYCAM 1Fホワイエでの展示および設営風景(提供:山口情報芸術センター[YCAM])
開催趣旨
山口の古民家から考える、記憶の継承と公共空間のあり方
アートプロジェクト「meet the artist」では、これまで、市民をはじめとするプロジェクトメンバーや専門家らとともに、山口市内にある空き家を解体・改修し、一時的な文化施設へと転換する試みを進めてきました。その成果発表として実施する今回のイベントでは、最終的に解体した古民家の一部を会場となるホワイエに再現しています。そして、その内部で、古民家をかつて構成していた部材を、さまざまなクリエイターらと什器や家具などに変換する作業を展開するとともに、プロジェクトの取り組みを紹介するさまざまな資料もあわせて展示しています。
国内外の実践者も交えて考える「場」が持つ可能性
「中園町で逢いましょう」は、展示と、廃材の利活用の2つから構成されます。
展示では、プロジェクトの過程で調査した山口市内の空き家問題の現況や、このプロジェクトを通じて模索してきた空き家の利活用モデルについての資料、プロジェクトで最終的に解体した古民家の部材(廃材)などが展示され、会場となるホワイエにプロジェクトで使用した古民家が断片的に再現されます。
廃材の利活用では、古民家を構成していた木材や瓦、粘土といった部材を加工して、屋台などの構造物、皿や箸などの食器、ベンチやゴミ箱、植木鉢などの什器などのプロダクトへと変換していくプロセスが提示されます。これらのプロダクトの制作には、山口県内で活躍するクリエイターらも多数参加しており、来場者は生み出されたプロダクトを購入できるほか、そのプロセスに参画することもできます。
「公共空間」や「場」という言葉が持つ意味合いが大きく変化する現在だからこそ、あらためて多様なバックグラウンドの人々とそれらの持つ社会的意義を再考するとともに、「場」が持つ記憶を継承する方法を検討していきたいと考えています。(以上、本展プレスリリースより)※会期中は関連イベント(プロジェクトの過程で開催していたディスカッションイベントやレクチャーなどのイベント)も各種開催
会期:2024年9月13日(金)〜10月6日(日)
開場時間:10:00-17:00
休場日:火曜
会場:山口情報芸術センター 1Fホワイエ、山口市中央公園
入場料:無料
主催:山口市、公益財団法人山口市文化振興財団
後援:山口市教育委員会
協賛:中特ホールディングス、金子技建、ファブラボやまぐち、アワセルブス
助成:令和6年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
技術協力:YCAM InterLab
参加クリエイター:入江 真、かしわ製作所、下寺孝典、杉山裕也、垂井美穂、俵種苗店、舛井岳二
空間デザイン:砂木(木内俊克+砂山太一)
企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]
山口情報芸術センター[YCAM]ウェブサイト
https://www.ycam.jp/