EXPO2025 大阪・関西万博 テーマ事業「いのちを高める」のシグネチャーパビリオン〈いのちの遊び場 クラゲ館〉は、小堀哲夫氏(小堀哲夫建築設計事務所)がデザインし、音楽家、数学研究者、STEAM教育家の中島さち子氏がプロデュースしています。1本の大樹がつくる木陰に人々が集まり、思い思いに過ごせるようなパビリオンです。
Photo: TEAM TECTURE MAG
日射抑制の役割をもち、万人万物のもつゆらぎの世界を表しているというクラゲのような膜屋根が特徴的な〈いのちの遊び場 クラゲ館〉は自生種による植生を施し、起伏に富んだ土手のようなプレイマウンテンと地上の「いのちのゆらぎ場」、地階の「いのちの根っこ」に大きく分けられます。
Photo: TEAM TECTURE MAG
プレイマウンテンを登った先にある「創造の木」は、4600本以上もの吉野杉の角材(木片)を粘菌のように組み合わせた構造になっており、会期後は移築、リユースが予定されています。
クラゲ館 建築コンセプト
パビリオンコンセプトはクラゲ:揺らぎのある遊び。漂うクラゲの神秘のような、言葉で説明しきれない何かがもつ魅力を表現し、いのちや創造性を象徴します。
多くの人々、多様な個性が、いのちやみらいにそれぞれの想いを馳せ、重なり合い、クラゲ館は誕生します。余白や揺らぎを持つ本パビリオンは、会期中の活動により更に成長し、人々の創造性がますます発露する場へと進化し続けます。
小さな部材が集まり構成されたパビリオンは会期後に移築・リユースされ、新たないのちとして生まれ変わる予定です。
みんなでつくり、未来に向かって生きていく建築・場を目指しています。生き生きとしたいのちの高まりを、旅路の中でも、クラゲ館においても、感じて頂きたいと考えています。
Photo: TEAM TECTURE MAG
土と水のカーテン
中世から現在まで生産が続く代表的な日本の6箇所の窯「六古窯」(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)のクレイバー(焼き物でできた細長いタイル)が並ぶ土のカーテンは、各地の焼き物の特徴が感じられます。裏には子どもたちのサインも隠されています。そこに流れる水が涼しさや揺らぎを感じさせ、来場者をお出迎えします。
Photo: TEAM TECTURE MAG
Photo: TEAM TECTURE MAG
プロデューサーが語る「パビリオンの推しポイント」
私たちは「創造性の民主化」と言ったりしているのですが、「つくる喜びをすべての人に!」ということで、遊びながら体験してもらえるものがたくさん揃っています。プレイマウンテンの上にある「いのちのゆらぎ場」では、五感で遊びながら、いろんな音に触れ合いながら協奏、共創してもらいます。ここまでは予約がなく入っていただけるところです。
そこから地下に入っていくと、世界の音を聴き、私を聴き、祭りや郷土芸能をフィーチャーして最後は皆さん一緒になって歩いて踊っていていただけるような、「わたしを祝う」という体験ができます。
ワークショップを日々行ったり、世界中の人とつながり合える場をめざしています。文化やいろんな立場の人が交じり合って、それで何が生まれるか。未来をみんなでつくる責任がある。自分も未来のかけらをつくることができる。自分1人だけじゃなくていろんな人たちと音楽をつくるように、協奏、共創しながら未来をつくっていくことができる、そういうワクワクを持ち帰れるような万博にしたいと思います。(完成披露・合同内覧会 会見より)
トップ写真:TEAM TECTURE MAG
※ 特記なきグレー囲み内のテキストは「シグネチャーパビリオン8館完成披露・合同内覧会」オフィシャル素材より