「闇市と都市」髙島屋史料館TOKYOにて開催 - TECTURE MAG(テクチャーマガジン) | 空間デザイン・建築メディア
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「闇市と都市」髙島屋史料館TOKYOにて開催

「闇市と都市」髙島屋史料館TOKYOにて開催

[Report] Black Markets and the Reimagining of Tokyo 〜 戦後・東京の都市空間の形成過程を探る展覧会

2025年9月12日初掲、9月14日会場写真とテキスト追加

東京・日本橋の髙島屋史料館TOKYOにて、企画展「闇市と都市」が9月13日より開催されます。
会場の展示デザインを、RUI Architectsの板坂留五氏が担当しています。

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」展示品

新宿の和田組マーケット(1940年代後半、東京都公文書館提供)

「闇市と都市」展示概要

変化し続ける都市・東京。それは、昨日や今日に突然立ち現れたものではありません。ターミナル駅やその周辺、街にひかれた道路やささやかな路地、歓楽街の喧騒さえも、すべては歴史の堆積による必然の産物と言えるでしょう。
戦後80年を迎える今年、本展が取り上げるのは戦後の闇市です。その中でも、闇市の形成に重要な役割を果たした東京23区の空地に焦点をあてながら、とりわけ、闇市を起源として新興の盛り場へと発展した新宿に注目してみたいと思います。
戦中、空襲による延焼を防ぐために実施された「建物疎開」は、住宅密集地の家屋を強制的に解体撤去し、空地を生み出しました。この空地や戦争の焼け跡、さらには路上などが、戦後の混乱期において、暫定的・時限的に仮設の市場へと変貌します。これが、いわゆる闇市です。その後、役割を終えた闇市は、徐々に姿を消していきました。
戦争は都市の破壊者でもありましたが、同時に更新者でもありました。皮肉なことに、それは都市における物理的な新陳代謝を加速させた側面があったといえるでしょう。そして戦後に生まれた闇市は、やがて使命を終えつつも、その痕跡を都市の中に刻みました。東京の街並みを注意深く観察してみると、今日においてなお、かつてあった闇市の名残を随所に見出すことができます。
戦後、東京はどのように再生したのでしょうか。また、戦後の高度経済成長は、都市をどのように刷新させたでしょうか。本展では、戦後闇市を単なる「不法占拠」といったイメージを超え、闇市を経由して、猥雑なまでの活力を育んだ都市空間の形成過程に迫りたいと思います。(本展プレスリリースより)

 

主な展示品

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」展示品

東京23区内の建物疎開跡地に形成されたマーケットの分布(「帝都疎開事業一般図」1944年に2025年加筆)

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」展示品

吉村商会敷地内建物配置図(1951年頃、吉村商会所蔵0

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」展示品

有楽町の露店(撮影:菊池俊吉、1946年3月)

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」展示品

銀座4丁目付近の露店(衣川太一コレクション、1940年代後半)

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」展示品

新宿の和田組マーケット露店部の整理とその後の記録写真(1950年頃、東京都公文書館提供)

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」展示品

新宿駅東口駅前の火災保険特殊地図(都市整図社、1951年)

本展の監修者を務めるによる石榑督和氏(関西学院大学建築学部准教授)による初日のオープニングトークはすでに満員御礼。このほかにも関連トークや新宿街歩きイベントの開催を会期中に予定しているとのこと(詳細が決定次第、同館ウェブサイト、公式SNSにて発信)。

会場風景 / 展示デザインについて

髙島屋史料館TOKYO「闇市と都市」会場風景

敗戦直後から人々がたくましく立ち上がった闇市(あるいは自由市場)をタブー視せず、ポジティブに紹介する本展、露店やバラックといった仮設で商いが営まれた当時の雰囲気が醸し出されている(展示デザイン:板坂留五 / RUI Architects) Photo: TEAM TECTURE MAG

髙島屋史料館TOKYO「闇市と都市」会場風景

フロア中央部の2つの展示台はキャスター付きで、撤去しやすいようになっていた当時の商店をイメージさせる。展示台の多くは前回の企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」の什器をSDGzの観点もあり再利用したもので、手前のキャスター付き展示台は同展で展示された団地のベランダを模したオブジェを再利用したもの Photo: TEAM TECTURE MAG

髙島屋史料館TOKYO「闇市と都市」会場風景

画面左側:展示資料の留め具に丸く曲げた銅釘が使われている Photo: TEAM TECTURE MAG

髙島屋史料館TOKYO「闇市と都市」会場風景

展示解説やキャプションのテキストは裏紙に印刷されている(主催者挨拶文の紙は髙島屋の包装紙!) Photo: TEAM TECTURE MAG

「闇市と都市」開催概要

会場:高島屋史料館TOKYO 4階展示室
所在地:東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋S.C.本館(Google Map
会期:2025年9月13日(土)〜2026年2月23日(月・祝)
開館時間:10:30-19:30
入館料:無料
休館日:火曜(ただし祝日の場合は開館して翌日休館)、年末年始12月31日(水)〜1月2日(金)
主催:高島屋史料館TOKYO
監修:石榑督和(都市史・建築史 / 関西学院大学建築学部准教授)
グラフィックデザイン:原田祐馬、山副佳祐(UMA /design farm)
展示デザイン:板坂留五(RUI Architects)
担当学芸員:海老名熱実(高島屋史料館TOKYO)

髙島屋史料館TOKYO 企画展「団地と映画 ―世界は団地でできている」

高島屋史料館TOKYO ウェブサイト
https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/

高島屋史料館TOKYO 公式X
https://x.com/shiryokantokyo

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