2020年9月29日初掲
2021年2月17日会期延長、会場風景画像に差替、動画追加
2020年8月1日(土)にプレオープンし、同年11月6日(金)にグランドオープンを迎える文化複合施設〈角川武蔵野ミュージアム〉内のギャラリースペース「エディット アンド アートギャラリー(EDIT & ART GALLERY)」の第1回展覧会の概要が発表されました(2020年9月29日プレスリリース)。
同ギャラリーは、〈角川武蔵野ミュージアム〉の館長を務める松岡正剛氏の独自のセレクトで構成される4階「エディットタウン」の中央部分に設けられた“ホワイトキューブ”の空間で、同ミュージアムを象徴する施設で、現在配架作業が進められている「本棚劇場」と同じフロアにあります。
この「エディット アンド アートギャラリー」のこけら落としの展覧会として、国際的に活躍してきた日本人とオーストラリア人によるアーティストユニット、米谷健+ジュリア(Ken + Julia Yonetani)の二人による「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」が11月6日より開催されることがこのほど発表されました(角川武蔵野ミュージアム2020年9月29日プレスリリース)。
米谷健+ジュリアの二人はこれまでに発表してきた作品のテーマとして、社会問題、特に環境問題を扱ってきました。代表作の1つ《クリスタルパレス》(2012年〜)は、ウランガラスを素材とし、妖しく発光する作品です。美しさの一方で、その素材が原子力発電と深い関わりを持つものと気づいたとき、その美しさは見るものに全く違った印象を与えます。原爆、原発事故を経験した日本において、この作品と向き合うことは特別な意味を持つこととなるでしょう。
《クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会》は、ウランガラスでつくられたシャンデリアのインスタレーション作品。シャンデリアの1つ1つに原発保有国の名前がつけられており、シャンデリアの大きさは、その原発からつくられる電力の総出力に比例しています。2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて制作が開始され、現在32カ国分が完成しています。
二人が2020年に発表した新作《Dysbiotica》は、磁器土による作品群です。表面は、微生物、珊瑚のようなパーツで覆われています。私たち人間の世界が、微生物の秩序の上に成り立っていることをモチーフにしており、地球規模で進んでいる珊瑚の白化現象も想起させます。「Dysbiotica」とは腸内細菌のバランスが崩壊する「Dysbiosis」からの造語。人と環境の共生世界の崩壊を表現したネーミングは、あたかも、2020年のコロナ禍を予見したかのよう。自然界のバランスを壊す主体として、私たち人間に問いをつきつけているとも受け取れます。
サイエンスや伝説にも関心を持つ米谷健+ジュリアの作品は、人間の想像力を取り戻し、新たな世界を創造する起点となることを目指す〈角川武蔵野ミュージアム〉の理念にもつながるものです。現代アートの重要な要素である社会性への関心が高く、美とユーモアと毒を併せ持つ米谷健+ジュリアの作品が、リアルと空想を行き来する場である〈角川武蔵野ミュージアム〉の「エディット アンド アートギャラリー」のグランドオープンを飾ります。
サブタイトルの「だから私は救われたい」の「私」とは、アーティストの健とジュリアであると共に、私たち、あるいは地球の生命体全てであるのかもしれません。環境破壊、気候変動、パンデミック、経済動向など、無数の不安と共に生きている私たちは、古来より救い主を求め、その姿を描き、刻んできました。
現代に生きる私たちはどのように不安に立ち向かっていくのか?
「救われたい」思いはどのよう果たされるのか?
この、私たちに向けられた永遠の問いを、美しくも毒のある彼らの作品群は喚起させることでしょう。
なお、米谷健+ジュリアの大規模な個展が日本で開催されるのは、今回が初となります。さらに、出展される《最後の晩餐》(2014年)と《大蜘蛛伝説》(2018年)は、国内初公開となる注目の作品です。
米谷健+ジュリアの二人は現在、京都の限界集落に住み、作品制作と並行して農業にも取り組んでいます。土の改良を進めるなかで「微生物」への関心を強め、その経験が作品制作にも生かされています。
本展に関連して、「微生物」をテーマにした、子供向けワークショップとトークイベントのほか、米谷健+ジュリアのこれまでの活動を振り返るアーティスト・トークの開催が予定されており、開催日時など詳細が決まり次第、角川武蔵野ミュージアム公式ウェブサイトで発表されます。(en)
# 角川武蔵野ミュージアム YouTube公式チャンネル《Dysbiotica》:米谷健+ジュリア展・作品解説/ Ken + Julia Yonetani from Kadokawa Culture Museum(2021/01/14)
会期:2020年11月6日(金)~2021年3月7日(日)5月31日(月)
開館時間:10:00-18:00(金・土曜 10:00-21:00)入館は閉館30分前まで
休館日:火曜(但し、祝日の場合は開館)
会場:角川武蔵野ミュージアム4F「エディット アンド アートギャラリー」(埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 ところざわサクラタウン内)
入館料:下記公式ウェブサイト参照
※入館は日時指定の予約制(当日の会場でのチケット販売なし)
※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止など諸般の事情により、スケジュールが変更される可能性があるため、最新の開館状況は会場ウェブサイト・SNSなどで確認してください
※会期変更に関するアナウンス(2021年2月16日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000008143.000007006.html
主催:公益財団法人角川文化振興財団
角川武蔵野ミュージアム 公式サイト https://kadcul.com/