FEATURE
Special report: Kadokawa Culture Museum
【内覧会Report】角川武蔵野ミュージアム
FEATURE2020.11.13

Special report: Coverage of the media preview

隈研吾デザイン監修〈角川武蔵野ミュージアム〉11/6 グランドオープン!【Report】

隈研吾デザイン監修〈角川武蔵野ミュージアム〉11/6 グランドオープン!

埼玉県の東所沢・ところざわサクラタウンに、〈角川武蔵野ミュージアム〉が11月6日グランドオープンを迎えました。施設のデザイン監修を隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所 主宰)が手がけた、図書館、美術館、博物館が融合した文化複合施設です。

【TECTURE MAG】ではこれまで、8月1日プレオープンと施設内「本棚劇場」の配架中の様子などをお伝えしてきました(これまでの記事一覧はこちら)。今回も11月4日に開催されたプレス内覧会を総力取材、撮りおろしの動画などで、この日公開された施設の多彩なコンテンツをレポートします!(en)

動画および撮影:toha(特記なき全ての写真)

メインエントランス チケットカウンター(photo: TEAM TECTURE MAG)

総合案内所とチケット売り場があるエントランスには、真っ白な巨大な本のオブジェにプロジェクションマッピングを施した「NAKED BIG BOOK」が登場。来館者を迎えます。京都・二条城でのライトアップイベントなどでも展示されている、クリエイティブカンパニーNAKED, INC.の細氷作。松岡正剛館長の「想像力とアニマに遊ぶミュージアム」から始まるメッセージから着想を得て制作されました。

「NAKED BIG BOOK」 ©︎角川武蔵野ミュージアム

さらにエントランスホールには、いま最も注目される6名のアーティストによるプロジェクト「コロナ時代のアマビエ」の第一弾となる、会田 誠氏の作品が展示されています(展示期間:2020年11月6日~12月末)。来年1月以降は、鴻池朋子氏、川島秀明氏、大岩オスカール氏、荒神明香氏と続き(6人目は未発表)、サクラタウン内にリレー形式で各氏アート作品が展示される予定です。

1階グランドギャラリーでは、企画展「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020」を開催!

プレオープン期間中、〈角川武蔵野ミュージアム〉のデザイン監修を手がけた隈研吾氏による竣工記念展「隈研吾/大地とつながるアート空間の誕生 ― 石と木の超建築」が開催された、1階のグランドギャラリーでは、グランドオープンの第一段企画の1つとして、アドバイザリー・ボードメンバーの1人、荒俣 宏氏(博物学・妖怪研究家)が監修した企画展「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020」が開催されます(会期:2020年11月6日[金] 〜 2021年2月28日[日] 会期延長 3月31日[水])。

気鋭のイラストレーターによる、原始から現代までを網羅する新しい妖怪絵巻や、全国各所から貸し出しを受けた貴重な民俗学・博物学の資料など、過去最大級の「荒俣ワールド」が展開されています。

会場では、企画第1弾の1つ、「みんなの妖怪絵 角川武蔵野妖怪絵コンクールより」も併催。所沢市内および近郊在住の小学生から募集した「所沢の妖怪」473点が展示されています。そのうち、上位に入賞した3つの妖怪絵は、会場でスマートフォンにダウンロードした専用アプリ「妖怪スコープ」を通して「見る」ことができます(下のスライド写真2枚:TEAM TECTURE MAG 撮影)。会期中、ミュージアムがある「ところざわサクラタウン」にも土日限定で姿をみせるとのことです。

館長松岡正剛氏が監修する4階「エディットタウン」は智のワンダーランド

〈角川武蔵野ミュージアム〉の4階「エディットタウン」はコンテンツが盛りだくさん。松岡館長独自のセレクトで構成される「ブックストリート」、企画展が開催される「エディット アンド アートギャラリー(EDIT & ART GALLERY)」、「荒俣ワンダー秘宝館」が配置され、最奥には、2層吹き抜けの大空間「本棚劇場」があります。

4階「エディットタウン」ブックストリート(photo: TEAM TECTURE MAG)

「ブックストリート」は、現代を代表する智の巨人・松岡正剛氏の監修により、世界を読み解くための「9つの文脈」に沿って、約2.5万冊の図書が収められています。ところどころには、具体的にどのような書籍があるのかを説明してくれるショートムービーをループで流すモニターも用意されています。

日本初の大規展示! 米谷健+ジュリア展の作品展は必見!

「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」会場 ©︎角川武蔵野ミュージアム

「エディット アンド アートギャラリー」は、4階フロアの中心部に設けられたホワイトキューブ。オープニングを飾る展覧会は「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」。アーティストユニット米谷健とジュリアによる、日本初の大規模個展となります。

【TECTURE MAG】関連記事
角川武蔵野ミュージアムにて、アーティストユニット米谷健とジュリアによる日本初の大規模個展開催
(2020/09/29)
https://mag.tecture.jp/event/20200929-14439/

荒俣氏監修による「驚異の部屋」

4階エディットタウン「荒俣ワンダー秘宝館」 ©︎角川武蔵野ミュージアム

ストリートの右側にあるのが「荒俣ワンダー秘宝館」。荒俣氏監修による「驚異の部屋」です。手にとって見ることができる展示物もある「半信半疑の地獄」と、生物の美しさや不思議を体感できる「生命の神殿」に分かれています(下のスライド写真4枚:TEAM TECTURE MAG撮影)。中には、額縁だけが壁に掛けられたものも。こちらは(場内でここだけ特別に許可されている)スマートフォンのフラッシュ設定をオンにして撮影して鑑賞を。驚きとワンダーな瞬間が味わえます。


# 角川武蔵野ミュージアム YouTube公式チェンネル「荒俣ワンダー秘宝館 Hiroshi Aramata’s Wonder Hidden Museum」(2020/11/02)

高さ約8メートル、約3万冊を配架する圧巻の「本棚劇場」!

書棚に挟まれた「ブックストリート」の先には、2層吹き抜けの大空間が待っています。高さ約8メートル、約3万冊を配架する「本棚劇場」です。
KADOKAWA刊行物と、角川源義文庫、山本健吉文庫、竹内理三文庫、外間守善文庫など、貴重な個人の蔵書が収められています。

4階「本棚劇場」(photo: TEAM TECTURE MAG)

⾓川武蔵野ミュージアムは、アニメや漫画などの新しいカルチャーと、現代アートや⽂学・哲学・博物などこれまでのカルチャーを統合した、今までにないタイプのミュージアムとして活動していきます。 この巨⼤な⽯の塊の中には、私たちの知的好奇⼼を刺激する様々な施設が⼊りますが、その中⼼にあるのは「エディットタウン」という迷宮のような図書館です。 2020年11⽉にオープンするこの図書の街では、流れるようなデザインの⽊製の書棚に、数万冊の本が展⽰され、⼀番深部にそびえ⽴つ「本棚劇場」では、古今東⻄の名著本が私たちに語りかけてきます。 ⼈間の脳の構造がそのまま本棚になったような、不思議な図書館ができました。 隈 研吾(「隈 研吾/大地とつながるアート空間の誕生」展コメントより)

こちらの「本棚劇場」には、プロジェクターも設置されており、「本と遊び、本と交わる」をコンセプトとした、約3分間のプロジェクションマッピングも上映されます(上映時間:各時00分)。※本稿の動画で一部を収録していますので、そちらをご覧ください。

プロジェクションマッピング中の「本棚劇場」(photo: TEAM TECTURE MAG)

蔵書が並ぶ前のがらんどう空間、配架作業中の様子は、本誌レポートに掲載していますので、ぜひ見比べてみてください。配架中の様子は360度カメラで撮影したもので、迫力満点です。

【TECTURE MAG】関連記事
内覧会Report: 隈研吾最新作〈角川武蔵野ミュージアム〉
(2020/08/05)
https://mag.tecture.jp/culture/20200805-kadokawa-culture-museum/

ぐるりと本、本、本…! 360度カメラで捉える「本棚劇場」配架作業!!(2020/11/02)
https://mag.tecture.jp/feature/20201102-kadokawa-hondanagekijo/

4-5階を結ぶ階段も智の宝庫!見どころ多し!

施設は5階建て。これまで非公開だった5階も今回のプレス内覧会でグランドオープンに先駆けて公開されました。
「本棚劇場」の横にある階段室から最上階を目指します。

階段の途中にも気になる本が並んでいますが、グッと我慢して階段を昇ります(階段室内の書棚の写真:TEAM TECTURE MAG撮影)

武蔵野台地の魅力を再発見する5階フロア

5階には、武蔵野台地の魅力と歴史などを伝える展示施設「武蔵野回廊」と「武蔵野ギャラリー」、レストランとカフェがあります。4階の「本棚劇場」から抜けてくると、一転して明るい色調の空間が目の前に広がります。

5階「武蔵野回廊」は白、本棚劇場側は黒でカラーリングされている(photo: TEAM TECTURE MAG)

「武蔵野回廊」には、「武蔵野再発見」をテーマに、民俗学者の赤坂憲雄氏が監修・選書した、約3,000冊が並びます。地理、歴史、文学、ルポルタージュ、写真集など、幅広いジャンルの本が、選者のコメント付きで展示・収蔵されています。

「武蔵野回廊」の本棚も、隈研吾氏によるデザイン。武蔵野の雑木林をイメージしています。本棚の制作は、宮城県石巻市に拠点を構える石巻工房が担当しました。約300枚ある面陳パネルの一部のパーツを、所沢市在住の親子を招いて10月に開催した木工教室で作成しています。

本棚および床材には、地元・埼玉県の「西川材」を採用。回廊に用意されたソファとテーブルにも西川材のヒノキが使われています。

〈角川武蔵野ミュージアム〉では、共に5階にある「武蔵野回廊」と「武蔵野ギャラリー」での展示を通して、「武蔵野」を再定義することをテーマとした企画展示を今後も継続して行う予定です。

「武蔵野ギャラリー」では柳田國男と角川源義を紹介

「武蔵野ギャラリー」のオープン記念展示では、柳田國男(1875-1962)と、角川書店の創立者で俳人でもあった角川源義(1917-1975)にスポットをあてます。

「武蔵野ギャラリー」の壁に展示された大迫力のアートワークは、人気イラストレーター・Toy(e)氏の手によるもの。武蔵野台地に残る「ダイダラボッチ」伝説をもとに描かれました。

そのほか、今回の展示には、最新のAR(拡張現実)技術も用いられています。台地の起伏をを正確に再現した武蔵野立体地形図の展示では、用意されたQRコードをスマホなどの端末で読み取り、地形図につけられたマークにカメラを向けると、画面にダイダラボッチの姿が! マークされた土地に伝わる逸話に基づいた映像が表示されます(上のスライド写真の4枚目のみ:TEAM TECTURE MAG 撮影)

レストランでは石の器で食もアートも味わえる!

ミュージアムのメインダイニング「SACULA DINER」では、所沢産食材をふんだんに使って、施設のコンセプトと同じく“多様性”のあるオリジナル料理を用意。一部のコース料理は「石の器」で供されるとのことです。

飲食施設はこのほかに、5階のレストラン前にスタンド式のカフェと、1階にカジュアルな「KadoCafe」があります下のスライド写真4枚:TEAM TECTURE MAG 撮影)

4階「エディット アンド アートギャラリー」で展覧会を開催中のアーティストユニット、米谷健+ジュリアによる作品は、2階エントランスホールにも2010年の作品〈ウルトラブッダ〉が展示されているので、お見逃しなく! ミュージアムショップも関連商品やオリジナルグッズを各種取り揃え、展示に負けず劣らず見応えがあります(下のスライド写真の3枚目:TEAM TECTURE MAG 撮影)

スタッフの制服はビームス(BEAMS)が制作 ©︎角川武蔵野ミュージアム

ところざわサクラタウン俯瞰 ©︎角川武蔵野ミュージアム

角川武蔵野ミュージアム
グランドオープン:2020年11月6日(金)
所在地:埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 ところざわサクラタウン内
開館時間:日~木曜 10:00-18:00(最終入場 17:30)/ 金・土曜のみ 10:00-21:00(最終入場 20:30)
※5階レストラン営業時間 11:00-22:00(L.O.21:30)
※完全事前予約制(入館人数制限あり)
休館日:毎月第1・第3・第5火曜日(祝日の場合は開館・翌日閉館)
利用料金:下記ミュージアム公式ウェブサイトを参照

角川武蔵野ミュージアム 公式ウェブサイト
https://kadcul.com/

ところざわサクラタウン 公式ウェブサイト
https://tokorozawa-sakuratown.jp/

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