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[ミラノデザインウィーク2026]モノと生命の境界を「調律」する 山崎タクマが自身を“モノ”として展示する「Becoming Object」

モノと生命の境界を「調律」する

[ミラノデザインウィーク2026]山崎タクマが自身を“モノ”として展示する「Becoming Object」

物質の質感や存在性を調律し、モノと生命の境界を探る「物質調律家」として活動する山崎タクマ氏が、ミラノで開催中の「SaloneSatellite 2026」に出展します。10年以上にわたり継続してきたプロジェクト「Bio-Vide(バイオ・バイド)」の最新作として、作家自身を空間の中の静的な“モノ”として配置する「Becoming Object」を発表。身体・データ・物質の異なる層を対比させ、新たな知覚の形を提示します。

家畜獣医師の記憶と「Bio-Vide」

山崎タクマ氏の創作の根底には、家畜獣医師であった父の背中を見て育った幼少期の記憶があります。「生命が食べ物(モノ)へと変換される」という原体験は、彼の中にモノと生命を分かつ境界への深い興味を植え付けました。2014年に始動した『Bio-Vide』は、生物学的な定義ではなく、人が対象に対して抱く「有生性(アニマシー)」に光を当て、素材開発や造形を通じて、その揺らぎを可視化し続けてきたプロジェクトです。

今回の展示の核心は、これまで“観察者”であった作家自身が、自らを“モノ”の側に置く反転の試みにあります。展示空間には、彼が独自に開発し特許を取得した「落ち葉の板材」で組まれた双子の椅子が置かれます。その一脚に、落ち葉の仮面を纏った山崎氏自身が座り、彫刻のように静止します。肉体という生命を物質の秩序の中に押し込めることで、観客は「そこにいるのは人か、モノか」という知覚の混乱を経験し、モノが持つ静かな雄弁さを肌で感じることになります。

空間を構成するのは、物理的な身体だけではありません。もう一脚の椅子には、生成AIによって生み出された仮想の植物「PromPlant / HeartBeat」が配置されます。物理層として、落ち葉を再構成した「物質」としての椅子、身体層として、モノとして振る舞う「作家自身」、そして、データ層として、心拍から生成された「デジタルな生命像」。これら三つの層を対置させることで、山崎氏は現代における生命の在り方を多層的に浮かび上がらせます。

伝統の感性と、宇宙を支える技術の融合

この実験的なインスタレーションを支えるのは、日本の高度な製造技術です。シルクスクリーン印刷の「ふつか印刷」や、航空宇宙部品の加工を担う「SPACEAGENT」との共創により、落ち葉という繊細な素材を、インダストリアルデザインの精度を持つ構造体へとつくりあげました。山崎氏が掲げる「Industrial Artistry(工芸的工業)」の思想は、合理性の極致である技術を用いて、極めて情緒的で哲学的な「生命の気配」をミラノの地に描き出します。

開催概要

展示名:Bio-Vide : Becoming Object
会期:2026年4月21日(火)〜4月26日(日)
会場:Rho Fiera Milano(Pavilion 7、E35)
所在地:Rho Fiera Milano, Strada Statale del Sempione, 28, 20017 Rho, Italy(Google Map
主催:TAKUMA YAMAZAKI DESIGN 合同会社
技術協力:ふつか印刷、SPACEAGENT株式会社

 

参照元: @press TAKUMA YAMAZAKI DESIGN 合同会社 リリース

 

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