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法改正で加速する意匠登録

ユニクロが横浜ベイサイド店と原宿店にて、三菱地所設計も「ゼロ動線病棟」で意匠登録

BUSINESS2020.12.03

ユニクロは、2020年4月にオープンした〈UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店〉の建物のデザインにおいて、今年4月1日の改正意匠法[*]施行以降に認められるようになった「建築物の意匠」の第1号登録を取得したことを、2020年12月2日付けのプレスリリースで発表しました。

*「特許法等の一部を改正する法律案」は、2019年(平成31)3月1日に閣議決定され、同年(令和元年)5月10日に国会で可決・成立し、同17日に法律第3号として公布済み。ほとんどの改正項目が2020年(令和2)4月1日より施行済み

特許・実用新案、意匠、商標に関する簡易検索ができるサイト「特許情報プラットフォーム」(J-PlatPat)で公開されている情報は以下の通りです(一部を抜粋、年号表記および記載の順はママとする)。

〈UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店〉の意匠登録概要
意匠登録1671773(文献表示
発行日:令和2年11月2日
登意匠に係る物品:商業用建築物
出願日:令和2年4月1日
創作者:佐藤可士和
創作者:藤本壮介
意匠権者:株式会社ファーストリテイリング

〈UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店〉実施例参考イメージ図

〈UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店〉実施例参考イメージ図

〈UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店〉は、スロープ状の屋上面が、すべり台やジャングルジム、ボルダリングやクライミング設備を備えた公園になっています。横浜や東京湾を一望でき、晴れた日には遠くに富士山が見えます。屋上面から店舗内の各フロアへのアクセスも可能で、公園で遊んだ後、気軽に買い物を楽しむこともできます。「PLAY」というグランドコンセプトのもと、ユニクロとジーユーの店舗を公園にするという、ユニークなビジョンをトータルプロデューサーの佐藤可士和氏が構築し、基本構想とデザイン監修を建築家の藤本壮介氏が担当しました。遊具は、教育玩具販売を手掛けるボーネルンド社と連携し、設置しました。

店舗名:UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店 / ジーユー UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店
所在地:神奈川県横浜市金沢区白帆6-5
売場面積:UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店 約660坪(地上1階、3階の半分)/ ジーユー UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店 約550坪 (地上2階、3階の半分)
オープン日:2020年4月13日

【TECTURE MAG】関連記事
藤本壮介×佐藤可士和〈UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店〉内覧会の様子[外部リンク](2020年4月10日)
https://mag.tecture.jp/culture/20200410-2033/

また、同社のプレスリリースによれば、今年6月に開業した〈ユニクロ 原宿店〉における、ユニクロのグラフィックTシャツブランドである「UT」の世界観を体験できるフロア「UT POP OUT」についても「内装の意匠」の登録が認められたとのことです。

〈ユニクロ 原宿店〉内観「UT POP OUT」フロア

〈ユニクロ 原宿店〉内観「UT POP OUT」フロア

〈ユニクロ 原宿店〉内装における意匠登録概要
意匠登録1673815(文献表示
発行日:令和2年11月30日
登録日:令和2年11月12日
意匠に係る物品:衣料品店の内装
出願日:令和2年4月1日
創作者:井上修輔
意匠権者:株式会社ファーストリテイリング

〈ユニクロ 原宿店〉の「UT POP OUT」は、同店1階の入り口を兼ねた世界最大級のUT専用の売り場として、同店トータルクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と共にデザインしました。さまざまなアーティストやブランドとコラボレーションした最新のUTアイテムを展示・販売しており、アートやカルチャーの情報発信拠点と位置付けています。アート作品のようにショーケースで陳列したUTの間をLEDのメッセージが走り、店舗奥の巨大スクリーンに最新のUT映像が流れる内装が特徴的です。

店舗名:ユニクロ 原宿店
所在地:東京都渋谷区神宮前1-14-30 WITH HARAJUKU 地下1階、地上1階
売場面積:約600坪(地下1階、地上1階/計2層)
オープン日:2020年6月5日

改正意匠法「内装の意匠」の登録第1号は、蔦屋書店が「本の小部屋」と同社CCCが呼ぶ、書架で囲まれた小部屋が連続する空間の意匠ですでに取得しています(後述)。

特許庁が管轄する産業財産権法に含まれる意匠法(意匠権)は、改正前は保護の対象を「物品」に限っていましたが、法改正によって新たに「画像」、「建築物」、「内装」のデザインについても登録ができるようになっています。今回のユニクロの意匠登録はこれらに含まれます。

このほか、三菱地所設計が手がけた病院事例における「ゼロ動線病棟」も先月、意匠登録されています(同社11月18日ニュースリリースPDF)。

三菱地所設計「ゼロ動線病棟」を導入した病院の病棟空間構成

三菱地所設計「ゼロ動線病棟」を導入した病院の病棟空間構成

三菱地所設計「ゼロ動線病棟」意匠登録概要
意匠登録1672637(文献表示
発行日:令和2年11月16日
登録日:令和2年10月27日
意匠に係る物品:病院
出願日:令和2年4月1日
創作者:谷 浩志、渡邊剛良、齊藤祐仁
意匠権者:株式会社三菱地所設計

三菱地所設計が意匠登録した「ゼロ動線病棟」とは、同社が「縁側廊下」と名付けた共用空間(廊下)を外壁側に配し、縁側廊下と一体とした採光規定などを利用して、病室の環境を向上させる計画。このほか、スタッフステーション(以下、SS)と各病室を直結させ、医療者の「看護動線」を “ゼロ”(最短)とする平面計画を総称しています。この「病室・廊下及びスタッフステーションの部分に係るもの」において「採光計画及び平面計画に意匠上の特徴がある」として申請、11月16日に発行(登録)とされました。

三菱地所設計「ゼロ動線病棟」を導入した病院の病棟空間構成

今回の改正意匠法において登録された「ゼロ動線病棟」図示

同社によれば、「専門的要件の重なる病棟の平面計画は、画一化していくことが多い中、そこに新たな手法を提案する意匠計画」であるという新規性が認められたとのこと。
なお、この「ゼロ動線病棟」を採用した病院〈キラメキテラス ヘルスケアホスピタル〉が、鹿児島市内に2021年2月1日に開院する予定です。

三菱地所設計では、今回の法改正について、「単に第三者を排除する、という目的だけではなく、当該建築作品を介した情報発信の手段として有益である」と考え、デザイン戦略として意匠法を活用していく方針です(同社ニュースリリースより)。「新規性があり、オリジナルなデザインである」という公的な認定を受けることができるだけでなく、利点として、「建築作品・デザインのオーナー・設計者・デザイナーを公示する機会が得られる」こと、これにより「建築物を介した、設計者側、施主側の社会的な露出を高めることができる」ことなどを挙げています。

建築における意匠登録の動きは、今後ますます加速していくものと思われます。(en)

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