アジール・フロッタン(Asile Flottant)とは、第1次世界大戦後のフランス・パリで、市内にいた難民の避難所として、救世軍からの依頼を受けたル・コルビュジエ(1887-1965)がリノベーションした船(ルイーズ・カトリーヌ号)のプロジェクト名です。もとは石炭を運搬するためのコンクリート船で、改修依頼があった当時、パリのコルビュジエの事務所で働いていた前川國男(1905-1986)がリノベーションを担当したという経緯があります。
難民のための「浮かぶ避難所」として、1995年まで使われてきましたが、老朽化が進んだため、一時は廃船の危機に。2006年に日仏共同で修復プロジェクトが立ち上がり、続く2017年には再生プロジェクトが始動して、日本企業による桟橋の寄贈などが進められていた矢先に、セーヌ川の増水によって船体が水没してしまいます。2018年2月の事でした。
「アジール・フロッタン(浮かぶ避難所)」を再び救うべく、前川國男を含む3人の建築家が共同設計した建物として知られる国際文化会館が助成・協力を決定。日本建築設計学会による「アジール・フロッタン復活プロジェクト」も始動し、LCの船再生委員会が発足。2020年10月には船体の引き上げに成功しています。
【TECTURE MAG】
ル・コルビュジエと前川國男がリノベーションした水没船「アジール・フロッタン(=浮かぶ避難所)」が再浮上に成功(2020/10/23)
https://mag.tecture.jp/culture/20201023-16280/
このほど、アジール・フロッタンに建築家として船の修復設計構想の段階から関わってきた遠藤秀平氏らによる、復活プロジェクトの報告会(第2弾)が、国際文化会館にて開催されます(会場での聴講申し込みはすでに締め切り、YouTubeでのライブ配信の聴講は可能)。
「白の時代」の建築という視点から、その位置付け、またその文化的意義や可能性について考察。また「難民のための建築」という視点から、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の脅威に直面し、全ての人々が感染難民予備軍となった現在において、建築の今後の役割についてもディスカッションを行います(ニュースリリース)。
開催日時:2021年3月12日(金)14:00-18:00
登壇者:
五十嵐太郎(建築史・建築評論家 / 東北大学大学院教授)
遠藤秀平(建築家 / 神戸大学大学院教授)
加藤道夫(建築理論 / 東京理科大学客員教授)
竹山 聖(建築家)
山名善之(美術史家 / 建築家)
タイムスケジュール:(予定)
14:15-16:30 第1部 チェーンレクチャー(25分×5=125分)
遠藤秀平(浮上報告)、竹山 聖、五十嵐太郎、加藤道夫、山名善之
16:40-18:00 第2部 シンポジウム:
モデレーター:五十嵐太郎
パネリスト:竹山 聖、加藤道夫、山名善之、遠藤秀平
参加費:無料
用語:日本語
会場:国際文化会館(東京都港区六本木5-11-16 / 定員60名先着順)、オンライン(YouTube)
※会場聴講は要申し込み(満員御礼・締切)、オンライン視聴は申し込み不要
オンライン配信URL:
https://www.youtube.com/watch?v=r7PZpvWO4Gc
主催:日本建築設計学会(LCの船再生委員会)
共催:国際文化会館
協力:アーキテクツ・スタジオ・ジャパン ほか
詳細・日本建築設計学会 公式ウェブサイト
http://www.adan.or.jp/