世界でも指折りの最大規模の奈良原一高コレクションを有する島根県立美術館にて開催中の展覧会。奈良原と親交が深かった、グラフィックデザイナーの勝井三雄とのコラボ作品を含む、戦後日本の写真史・デザイン史に残る名作が展示される。来場者には小冊子の配布もあり。会場の島根県立美術館は、菊竹清訓の代表作の1つ。今年6月にリニューアルオープンしている。
写真とデザインの世界で戦後の日本を牽引した写真家の奈良原一高(1931-2020)と、彼と深い親交があった、グラフィックデザイナーの勝井三雄(1931-2019)の作品を紹介する展覧会が、島根県立美術館にて開催されています。
奈良原は、地元の県立高校(松江高校、現在の松江北高等学校)の卒業生であることなどから、同市にある島根県立美術館では、奈良原の作品を重点的に収集してきました。2010年には、企画展「手のなかの空 奈良原一高1954-2004」も開催。このときの出品作品を含む、計305点の作品を、2020年1月に没した奈良原の遺族より寄贈された島根県立美術館では、合計775点という世界最大規模の奈良原コレクションを有するに至っています。
本展では、島根県立美術館の新たな収蔵品の中から、《ヨーロッパ・静止した時間》および《ジャパネスク》のシリーズ約110点が披露されます。
一方の勝井もまた、日本の戦後デザインを牽引したグラフィック・デザイナーの1人です。
奈良原とは親友の間柄で、2010年に前述の奈良原の企画展が開催された際には、勝井は島根まで足を運び、自らの作品を語る奈良原の文章の美しさに感銘を受けたといいます。これが契機となり、勝井がアートディレクターを務め、書籍『太陽の肖像 奈良原一高文集』(白水社、2016)が刊行されています(そのことが縁で、日本デザイン史に残るポスターや、奈良原と勝井が共作したカレンダーなどが、遺族から島根県立美術館に寄贈されている)。
本展では、1967年に制作された初期の作品から近作まで、勝井がグラフィックデザインを手がけた代表的なポスターなど、グラフィック作品89点が展示されます。勝井と奈良原が共作したカレンダーも見どころです。
さらに本展では、来場者特典として、12ページの冊子「写真家・奈良原一高の物語」が会場にて無料で配布されます。
会場の島根県立美術館は、建築家の菊竹清訓(1928-2011)の設計により、1999年3月に開館。昨年5月から約1年におよぶ大規模改修を終え、今年6月1日にリニューアルオープンしています。
会期:2022年9月2日(金)~11月28日(月)
休館日:火曜
会場:島根県立美術館 コレクション展示室4・5
所在地:島根県松江市袖師町1-5(Google Map)
開館時間:9月 10:00-日没後30分(展示室への入場は日没時間まで)/ 10-11月 10:00-18:30(展示室への入場は18:00まで)
※各日の日没時間は島根県立美術館ウェブサイトにて案内あり
観覧料金:一般:300円、大学生:200円、高校生以下無料
「ギャラリートーク」(担当学芸員による作品解説)
日時:2022年10月16日(日)14:00~(約60分)
会場:本展会場にて
講師:蔦谷典子(島根県立美術館 主任学芸員、本展企画者)
※聴講はコレクション展観覧料が必要
島根県立美術館 ウェブサイト
https://www.shimane-art-museum.jp/