イスラム文化の影響が見られるイベリア半島。白地にブルーの彩色が鮮やかな装飾タイル「アズレージョ」の技法を用いて、作品を制作している造形作家の石井 春氏の新作を中心とした作品展が、神戸の竹中大工道具館にて開催中、12月14日まで。
本展で作品を紹介する石井 春氏は、ある日、観光雑誌に載っていた、ポルトガルの装飾タイル・アズレージョの写真を目にしてその美しさに魅せられ、1995年に単身でポルトガルに渡って以来、アズレージョの技法を用いた作品をつくり続けている造形作家です。
神奈川・大磯にアトリエを構える石井氏ですが、今もポルトガルに通い続け、アズレージョを用いて作品を制作。その理由を石井氏は「日本とは土がまったく違う」と言い、現地の乾燥した地中海性気候の中で、工房の職人たちが修理しながら長年使い続けている電気釜での仕上がりもまた気に入っているとのこと。
広島・安芸でつくられる熊野筆を愛用し、作家本人は特別意識しないまでも、日本人の感性とともに醸成され、つくられる石井氏のアズレージョ。ポルトガル人から見れば「日本的」と評され、日本人から見れば「ポルトガルらしい」と指摘されるという氏の作品が、新作9点を中心に本展にて披露されます。
新作の多くは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大下のいわゆるコロナ禍において、渡欧ができない間に日本で構想を練り、2022年に制作された作品です。いずれも大型のものばかり。また、2019年にポルトガル国立水の美術館(Museu da Agua)にて展示された作品〈航海からの贈物〉も展示されます。
石井 春(いしい はる)氏 プロフィール
造形作家。1980年に創作活動を開始。1995年にポルトガルに渡り、現地にてアズレージョ制作を開始。
建築空間とコラボレーションした主なコミッションワークに、島根県立しまね海洋館アクアス(1999)、安田女子大学(2007)、京都水族館(2012)、オリックス劇場(2013)などがある。
2010年ポルトガル大統領よりメリット勲章を授与。ポルトガルの国立アズレージョ美術館や国立水の美術館に、作品が収蔵されている。
自然光も差し込む、竹中大工道具館1Fホールの会場に、新作〈一畳台目茶室〉〈しづく〉〈水面の景色〉ほかを展開。これらの作品に込められた制作意図や工程などを作家自身が語る、インタビュー映像もあわせて上映されます。
会期:2022年10月1日(土)~12月4日(日)
会場:竹中大工道具館 1Fホール
所在地:兵庫県神戸市中央区熊内町7-5-1(Google Map)
開館時間:9:30-16:30(入館は16:00まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日休館)
入館料:大人700円、大・高生・65歳以上の方500円、中学生以下無料(常設展観覧料を含む)
※会期中、INAXライブミュージアムとの相互割引あり
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、スケジュールが変更される場合あり
主催:竹中大工道具館
後援:在日ポルトガル大使館、日本ポルトガル協会、大阪日本ポルトガル協会、長崎日本ポルトガル協会
協力:ポルトガル国立アズレージョ美術館、INAXライブミュージアム、織部製陶、FORTUNA
※INAXライブミュージアムとの相互割引について
タイルをテーマとした企画展「Fashion On Tiles―あの時代、この国のおしゃれさん―」を10月15日より開催するINAXライブミュージアム(愛知県常滑市)の半券を、竹中大工道具館受付での入館チケット購入時に提示すると、当日料金からの割引あり(対象券1枚につき1名・1回限り有効、購入後の割引と、他の割引設定との併用は不可)
実施期間:2022年10月1日(土)~12月25日(日)
双方の割引料金の設定は、各館のウェブサイトを参照
詳細
https://www.dougukan.jp/special_exhibition/ishii-haru
展示だけでなく、空間や意匠など建築的な見どころも多い、竹中大工道具館の常設展も見られる「招待券」を読者にプレゼント!
『TECTURE MAG』への感想など、アンケートにお答えいただいた方の中から、上記ペアチケットを5組10名さまにプレゼントします(有効期限あり / 本展会期中は有効)。
応募締切:2022年10月30日(日)まで
※応募者多数の場合は抽選
※結果発表:チケットの発送をもって了
※発送に関する個々の問合せには対応しませんのでご了承ください
※発送完了後、都道府県を除く住所情報は削除し、データとして保有しません