建築家の押野見邦英氏(k/o design studio主宰)の編著、写真家の中道 淳氏(ナカサアンドパートナーズ取締役)の撮影による、書籍『サーフェスデザイン&テクノロジーの現在』が8月31日に彰国社から出版されます。
コンピューターの発展によって、デジタル情報をエンジニアリングや生産・施工まで共有し、モノづくりは新たな局面へ大きく展開している。新たなエンジニアリングを駆使した18の事例を、詳細図を中心に紹介するとともに、設計者をバックアップしている技術者へのインタビュー、これからのデジタル技術が建築にもたらすものを座談形式で収録する。(版元・彰国社ウェブサイトより)
『Contemporary Surface Design & Technology / サーフェスデザイン&テクノロジーの現在』中面 / 洗足学園音楽大学 Silver Mountain(k/o design studio+Kajima Design)
目次(註.カッコ内は設計者)
#AGBのデジタル・クラフトマンシップ 押野見邦英
#01 Louis Vuitton Maison Osaka Midosuji(大成建設一級建築士事務所[建築]、AS[外装]、PETER MARINO ARCHITECT、エイチアンドエイ[店舗内装]、LOUIS VUITTON MALLETIER)
#02 GINZA SIX House of Dior Ginza(銀座六丁目地区市街地再開発計画設計共同体[谷口建築設計研究所、KAJIMA DESIGN])
#03 すみだ北斎美術館(妹島和世建築設計事務所)
#04 ロロ・ピアーナ銀座店(AS)
#05 資生堂銀座ビル(竹中工務店)
#06 洗足学園音楽大学 Stage on the Lawn(k/o design studio)
#07 洗足学園音楽大学 Silver Mountain(k/o design studio+Kajima Design)
#08 上越市立水族博物館 うみがたり(日本設計 / 篠崎淳+河野建介+寺崎雅彦
#09 大分県立美術館 / OPAM(坂茂建築設計)
#10 渋谷フクラス(手塚建築研究所[デザインアーキテクト]、日建設計[マスターアーキテクト]、清水建設[設計・監理])
#11 香月メディカルビル(三菱地所設計/杉本宏之+荒井拓州)
#12 ミキモト銀座本店(KAJIMA DESIGN、内藤廣[外装デザイン])
#13 金沢海みらい図書館(堀場弘+工藤和美 / シーラカンスK&H)
#14 The Tender House(A.N.D.、乃村工藝社、竹中工務店)
#15 カンダホールディングス本社(竹中工務店 / 花岡郁哉)
#16 東京大学安田講堂 改修(東京大学キャンパス計画室[千葉学]・同施設部、香山壽夫建築研究所)
#17 全国信用組合会館(石本建築事務所 / 福地拓磨+舩越克己)
#18 i liv(アイリブ)(日建設計 / 大谷弘明+上原徹+大藤淳哉+府中拓也)
#エキスパートインタビュー(聞き手:押野見邦英)
・GRC – 鉄を目指して 櫻井正幸+藤田直明
・ガラスより – 自由な形へ 伊勢谷三郎+和久井智
・施工 – デジタルと現場の狭間で 谷口幸雄
・デジタルテクノロジー – 職人の精度や勘はどこまでデータに置換え可能か? 辰巳正樹+美村祥臣
・要素技術の構成設計 – あらゆる知見の統合へ 小野田一之+近藤悦生+市川隆柾
#鼎談 人間とデジタルテクノロジーが建築の海を渡るとき 押野見邦英+山梨知彦+櫻井正幸
掲載作品は、押野見氏が設計したことで知られる、洗足学園音楽大学〈Silver Mountain & Red Cliff〉のうち、自由曲面のフォルムが美しい〈シルバーマウンテン〉を含む18事例。
施工図を基にした図面は、写真同様のトーンとなるよう黒地に対する白線の構成とし、建築図面が本来持っている美しさの表現を追求したとのこと。
本全体はモノトーンでありながら、印刷ではインク4色(部分的にシルバーあり、計5色)を用い、写真集に引けをとらない再現性と、印刷物ならではの質感も追求し、オブジェクトとしての存在感ももたせた1冊に仕上げられています。
『Contemporary Surface Design & Technology / サーフェスデザイン&テクノロジーの現在』中面 図面 / 洗足学園音楽大学 Silver Mountain(k/o design studio+Kajima Design)
なお、本書は、ディテール9月号別冊として刊行されます。(en)
内田祥哉先生の著作『ディテールで語る建築』(彰国社,2018年)の中の「ポツ窓から柱間装置への60年」で「ヨーロッパの建築は外観、つまり姿の設計が主流だと言えます」と指摘されているように、日本の建築は長いこと外観といえば、柱間のデザインがエンジニアリングの要素とともに語られることが多く、近年になってようやく姿という建築全体の把握が問題とされるようになったものと思われる。大袈裟に言えば、建築のサーフェスデザインやテクノロジーという新たな概念の登場である。本特集では、そうした日本では認知度が低いサーフェスデザインやテクノロジーの言わば黎明期を今日まで支えてきた旭ビルウォール(以下,AGB)が、建築家とともに手掛けてきた最近の作品例を、その表現はもとより、建設インダストリー側の用語であるDfMA(Design for Manufacturing and Assembly)の観点からも解読してみたいと思う。(本編より)
『Contemporary Surface Design & Technology / サーフェスデザイン&テクノロジーの現在』表紙まわり(表4+背+表2)
『Contemporary Surface Design & Technology / サーフェスデザイン&テクノロジーの現在』
判型:A4変
総頁数:188ページ
ASIN:B09CRKKPVK
編著:押野見邦英
撮影:中道 淳
アートディレクション・デザイン:塩谷嘉章(SHIOYA Tokyo))
編集協力:AGB
版元:彰国社
定価:3,740円(本体3,400円+税10%)
発売日:2021年8月31日
彰国社ウェブサイト
https://www.shokokusha.co.jp/