福島県浪江町と、隈研吾建築都市設計事務所、伊東順二事務所、住友商事の4者が、「デザインの力による浪江町の復興まちづくりに関する連携協定」を締結したと発表しました。この協定は、今春に策定された「浪江駅周辺整備計画」をはじめとする、浪江町における多様な取り組みを推進し、浪江町の復興に寄与することを目的としています。
浪江町は、2011年3月に発生した東日本大震災および、被災した福島第一・第二原子力発電所の事故により、甚大な被害を受けました。道路の復旧や生活環境の復興は進捗している一方で、現在の町内居住人口は震災前の1割弱にとどまっており、新たな産業や雇用の創出、地域コミュニティ活動の推進など、持続可能で住みよい環境整備が急務となっています。
復興に向けたまちづくりを推進するため、先行して策定されている中心市街地再生計画、浪江駅周辺エリアの「まちづくりビジョン」などを踏まえ、帰還者や移住者を増やし復興を加速させるため、先の「浪江駅周辺整備計画」に基づき、4者間で協定が結ばれたものです。
本協定の主要項目
・建物や都市空間などのデザインに関すること
・都市空間デザインと水素や再生可能エネルギー利活用の調和と相乗効果、イノベーションを創出するまちづくりに関すること
・地場産業の振興に関すること
・町の活性化・情報発信に関すること
整備計画地の面積は約8ヘクタール。建物や街並みをデザイン・プロデュースを隈研吾建築都市設計事務所と伊東順二事務所が中心となって行い、4者が連携しながら、水素エネルギーや再生可能エネルギーの利活用と調和させ、相乗効果をもたらし、イノベーションを創出するまちづくりを目指します。2021年度中にマスタープランを作成。基本設計、実施設計を進め、2024年以降に各施設を順次整備していく計画です(上の画:駅周辺施設の構想イメージ図)。
浪江町は、古くから林業が盛んであり、日本最大規模のFLAM(福島高度集成材製造センター)が稼働するなど、県全体の木材産業を牽引しています。
今後も積極的に木材建築を進めるため、木材を基調とした建築作品で知られる隈研吾建築都市設計事務所が設計を担当し、全体の空間デザインを、美術評論家でアート・デザインのイベントやプロジェクトを数多く手がける、プランナー・プロデューサーの伊東順二氏が代表を務める伊東順二事務所が担当します。
住友商事は、自社の知見やネットワークを活用しながら、このエリアを中心とした、水素・再生可能エネルギーを地産地消する先進的な「リニューアブルエネルギー100パーセントタウン」を形成し、ゼロカーボンシティの取り組みを推進する役割を担います。
4者の協働により、浪江町が理念に掲げる「夢と希望があふれ 住んでいたいまち 住んでみたいまち」の実現に向け、計画を進める予定です。
吉田数博浪江町長コメント:
「隈先生、伊東先生に建物や街並みをデザイン・プロデュースしていただけますことはデザインの力により、町民の皆さまをはじめ、町に関係する方々や、新たに町を知る方々までも、町が復興に向けて歩みを続けている姿を目に見えるかたちで、新たな魅力とともに、しっかりとお伝えすることができます。また、住友商事様の水素や再生可能エネルギーの利活用アイデアにも期待しています。整備が完了した時のことを考えると、楽しみでなりません。」隈 研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所 主宰)コメント:
「浪江町の自然や文化を活かし、住んでいる方達が自慢したくなるような、そして復興につながるまちづくりを実現します。また、水素や再生可能エネルギー、木材を活かした環境モデルとして世界に発信できる未来のまちづくりを目指します。」伊東順二氏(伊東順二事務所 代表)コメント
「大震災直後から復興事業に関わってきました。胸を締め付けられるような無人の浪江町の光景を知る者としてこの素晴らしい歴史を持つ土地の新しいまちづくりに参加できることはこの上ない喜びです。伝統的な文化と新しい産業が融和した浪江町の未来を微力ながらサポートさせていただきたいと思っています。」森 肇氏(住友商事 エネルギーイノベーション・イニシアチブサブリーダー)コメント:
「隈先生、伊東先生とともに、浪江町の復興・まちづくりに携わらせていただけることを光栄に思います。今年1月に浪江町と締結した連携協定に基づき、水素や再生可能エネルギーの利活用およびイノベーションの創出を通じて、住民の方々のライフスタイルに根差したまちづくりに貢献していきます。」
住友商事プレスリリース(2021/09/05)
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2021/group/15060